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ある音楽家の異世界暮らし  作者: 雨晴罔象
~第2楽章~ 目標と敵
23/37

〈第21音〉到着! ナンヨウ

やっと本編更新です。

◆ソアン=ガルヴァ◆


『ようこそ、タントロイへ!』


 木で作られた看板の先に、のどかな風景が広がっている。


「やっとついたな」

「あ〜疲れた〜」

「ナタリーさんもお疲れさま」

「労いの言葉、ありがとうございます」


 新鮮な空気の中、一息つく。


「さて、宿を探すか。ナタリーさんはどうする?」

「そうですね……」


 彼女の仕事はここまでだ。帰るにしても宿で休んでからの方が良いと思うが。


「ソアンさんについていってもよろしいでしょうか?」

「「え!?」」


 その返しは予想していなかったから俺は驚いた。ついでにハヅミも驚いた。


「それは嬉しいが……、仕事の方もあるんじゃ?」

「それに関しては店主から、『この仕事が終わったら妹さんを探しにいってあげなさい。心配してると思うよ』と言われまして、長期休暇をいただきました」

「そうか、それならいいが……。ハヅミもそれでいいか?」

「……いいよ」


 もしかして、ハヅミはナタリーさんが嫌いなのか?

 まあいいか、いいって言ってるし。


「じゃあ、よろしくお願いします」

「はい。こちらこそ。ハヅミさんも、よろしくお願いします」

「うん、よろしく」

「……」


 改めて言葉を交わし、宿を探す。


「部屋が空いてるといいんだが」

「まあ、空いてるとは思うけど……」


 確かに人通りは多いとは言えないな。


「悪いところじゃないんだけど、なんでこんなに人が少ないんだろう」


――――――――――――――――――


「さて、部屋もとれたし観光にでも行くか」


 部屋は俺が1人部屋、ハヅミとナタリーさんが2人部屋をとった。


「本当に2人部屋でよかったの?」

「うん。いろいろ聞きたいこともあるし」

「? そうか」


 まあ会ったばかりだし、交流も大事か。


「ナタリーさんも観光行く?」


 部屋の扉の前にいるナタリーさんに声をかける。


「あ、いえ、私は遠慮しておきます」

「……わかった。夕方には帰ってくるから」

「わかりました」


 というわけで2人で行くことにした。


「ハヅミはナタリーさんとうまく行けそう?」

「ん~、最初の方は緊張したけど、いい人そうだなってのはなんとなくわかってきた」

「それならよかった」


 俺もほとんど初対面だったけど、ちゃんとした人だなっていう印象だ。


「で、観光ってどこにいくの? 件の遺跡?」

「それについてなんだけどな」


 クリフに聞いたところここに目当ての遺跡はあるようなのだが、正確な場所は分からないという。


「そうだよなクリフ?」


 と宙に浮くクリフに聞く。


「ええ、なので遺跡の場所を住人達に聞く必要があります」

「ということだそうだ」

「なるほど。だからここに」


 俺たちは今、冒険者協会とやらの目の前にいる。

 情報を仕入れるならここだろう。


「こんにちは~」

「あ~いらっしゃい。ナンヨウ冒険者協会へ」


 ドアを開けると優しそうなおばあさんが椅子に座ってこちらを見ていた。


「珍しいね、こんな若い人が来るなんて。依頼を受けに来たのかい?」

「いえ、冒険者登録をしに来ました」


 冒険者として登録しておくことで情報も手に入りやすくなるだろうからね。


「ほうそうかい。2人とも登録するのかい?」

「はい」

「お願いします」

「わかった。では少し待っておれ」


 数分後、掲示板にある依頼を見ているとおばあさんが戻ってきた。


「お待たせ。ではこの紙にサインをしてくれ」

「登録ってこんなに簡単にできるんですね」


 『ソアン=ガルヴァ』と書きながら聞く。


「うん。意外と簡単でびっくりした」

「見てわかると思うけど、ここはさびれたところでね~。私1人でやってるからそんなに複雑なことはできないのよ」


 ちょうど人がいない時間かと思ったけど、ほんとにいないのか。


「まあ、来る人もいないから問題ないんだけどね」


 ほっほっほ、と高らかに笑うおばあさん。笑えませんよ……。


「ほい、これで登録は終わりだよ」

「ありがとうございました。実はもう1つ聞きたいことがありまして」

「なんだい?」


 俺達は『遺跡』のことについて聞いた。


「そうね、あれのことかしら」

「あれって?」


 ハヅミが不思議そうに尋ねる。


「『ナンヨウ渓谷』よ」

楽しんで頂けたでしょうか。良ければ誤字脱字、アドバイス等、教えてもらえると嬉しいです。

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