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ある音楽家の異世界暮らし  作者: 雨晴罔象
~第1楽章~ 仲間
21/37

〈第20音〉次の街へ

第1楽章ラスト。

◆ソアン=ガルヴァ◆


「ありがとうございましたー!」


 諸々の手続きを終わらせ俺たちは店を後にした。


「えっと……久しぶり」

「お久しぶりです」


 き、気まずい……。ナタリー=ローランの方はそうでもないみたいだが。

 助けを求めるためにハヅミの方をチラッと見ると、


「ジーーー」


 ナタリー=ローランをめっちゃ睨んでるんだが。なんで?


「ハヅミ、なんでそんなにナタリー=ローランのことを睨んでるんだ?」


 気になって小声で尋ねる。


「うぇ!? な、何でもないよ! ただ、どんな人なのかな~、と思ってただけだよ」

「そ、そうか」


 その割には目力がすごかったんだが。


「ソアンさんでしたっけ」

「あ、ああ、どうした?」


 ナタリー=ローランに話しかけられ、多少戸惑いながらも応対する。


「私の運ぶ荷物はどちらに?」

「あ~、荷物は全部貸しロッカーに入れてるんだ。盗まれても嫌だしね」


 異世界に来て学んだこと。

 荷物をほんの少しでも置きっぱなしにしておくと、すぐに盗まれる。(実体験)

 元の世界と同じ感覚ではいけない。


「なるほど」

「それと、ナタリーさん、そんなにかしこまらなくてもいいよ?」

「これが素ですので。ソアンさんこそ、私に対して「さん」付けしなくていいですよ」

「いや、なんか外しにくい……」

「そうですか」


 そんな話をしていと、


「着いた。ここに預けているんだ」


 目的地に着いた。


「ハヅミ、荷物とるの手伝ってくれる?」

「わかった」

「私も手伝います」

「いや、ナタリーさんの仕事はここからナンヨウまで荷物を持っていってもらうことだ。荷物の運び出しは仕事に含まれていない」

「……わかりました。では待っています」

「うん。多分十数分で終わるから」


 ナタリーさんには外で待ってもらい、2人で荷物を運び出す。


「よし、これで最後だ」


 十数分後、最後の荷物が運び出される。


「ところでナタリーさん、これ全部持っていけるの?」

「安心してください、ハヅミさん」


 そういうと、ナタリーさんは荷物を全て浮かした。


「え、どうやって浮かしたの!?」

「私のスキル、『飛行』を使いました」

「それって自分以外にも使えるんだ」

「鍛錬の結果です。もともとは自分自身にしか使えませんでした」


 さすが、宮廷魔導師候補だ。


「ところで、私を雇わずとも馬車を使えばよろしかったのでは?」

「それがな~」

「ちょうど使える馬車がなかったんだよね~」

「なるほど、そういうことでしたか」

「じゃあ出発しようか。ナタリーさん、疲れたらいつでも言ってくれ」

「わかりました。2日程度ならもつので」


 さすが、宮廷魔導士候補だ。


 王都を出るための手続きを行い外に出る。門番の人には、外に出るのは危ないぞと散々言われたが、大丈夫ですの一点張りで通してもらった。


「魔族なら倒したのに、なんであんなに注意されるんだろう」

「魔族は言ってしまえば魔力の塊だからな。その魔力に引き寄せられ魔物が寄ってくるんだよ」

「なるほど……、ってそれヤバいんじゃ!?」

「それなりにな。おっと、さっそく魔物が来たぞ」

「出たー!」


 イノシシ型の魔物が3匹程、こちらに近づいてきた。なにもせずに通れる可能性は無さそうだ。


「ナタリーさんは荷物を守ってて。ここは俺が」

「その必要はありません。『火球(ファイヤーボール)』」


 火の玉が魔物に当たり、魔物が倒れる。


「さ、行きましょう」

「一瞬じゃん……」


 ナタリーさんは何事もなかったかのように歩き出す。

 それからというものの、出てくる魔物はナタリーさんに焼かれたり、風で切られたり、石をぶつけられたりでことごとくやられていった。


「俺たち、ただ歩いてるだけだな」

「だね~」

「そういえば、ナンヨウとはどういうところなのですか?」

「あ、それ私も聞きたい」


 持って当然の疑問をぶつけられる。


『クリフ、ナンヨウってどういうところなんだ?』


 俺も知らないから唯一知ってそうなクリフに聞く。


『あまり栄えてはいない土地ですが、緑豊かな落ち着くところですよ』

『そうなんだ』


 俺のナンヨウに対する好感度が10上がった。


「俺も詳しくは知らないが、栄えてはいないけど、緑が豊かなところらしい」


 ナタリーさんにはクリフのことは言ってないので、そこら辺をぼかして伝える。


「なるほど」

「静かで良いところみたいだね」

「だな。ところでナタリーさん」

「はい?」


 ここでずっと気になっていたことを聞く。


「妹さんは?」


 はた、とナタリーさんが動きを止める。


「妹は、どこにいるかわかりません」


 悲しみを隠すかのような淡々とした口調が返ってきた。


「そうだったのか」

「まあ、そこまでは心配していません。あの子は私よりしっかりしているので」

「すまない、変なことを聞いてしまって」

「気にしないでください。大丈夫ですから」

「……妹さん、見つかると良いね」


 とハヅミ。


「はい。ありがとうございます」


 ナタリーさんはそう言って微笑みを浮かべた。

楽しんで頂けたでしょうか。良ければ誤字脱字、アドバイス等、教えてもらえると嬉しいです。


次は、間奏を1つ挟んで第2楽章が始まります。

タントロイ編、どんな物語になるのか。私も知りません。

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