表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある音楽家の異世界暮らし  作者: 雨晴罔象
~第1楽章~ 仲間
15/37

〈第14音〉理由

はい、遅くなりました!

すいません!

◆ソアン=ガルヴァ◆


 その翌日。


「あんちゃんら、着いたぞ!」


 外から御者の声が聞こえ、馬車の幕を上げた。すると、


「うわぁ……」


 これはハヅミの声だ。その声が表すように、王都の現状はそれはもうボロボロで酷い有様だ。家は崩れ、畑は荒れてしまっている。その周りではモンスターがうろうろしている。


「本当なら王城周辺まで送っていくんだが、この有様だ。ここまでしか行けねぇ」

「気にしなくていいよ。本当にありがとう」

「そう言ってくれるとありがてぇ。あんちゃんら、気をつけてな!」


 御者と別れ、俺は王立第一学園に向けて歩き出した。


「え、本当に行くの!? モンスターがうようよ居るのに」

「危なくなったらすぐ逃げるから大丈夫だよ」

「でも……! うん、まあ……、止めても無駄か。分かった付いて行くよ」


 呆れた顔のハヅミが後ろをついてくる。もう行くって決めてたからね、止まらないよ。


「今からハヅミを、売っていた奴隷商のとこに行くんだけど、場所は分かるんだよね?」

「うん、ここから歩いて半日くらいかな」


 俺はその言葉を聞いた途端、立ち止まる。

 前方には3体のモンスターが行く手を阻んでいる。


「半日以上かかりそうだな」


 と剣を構える俺。


「そうだね……」


 と身構えるハヅミ。


「初めての実践だけどいけるか?」

「大丈夫」


 落ち着いた声でハヅミが返答する。


「そうか分かった。じゃあいくぞ!」

「グオー!」


 俺たちが行動し始めるのとほぼ同時にその3体も俺たちに向かって駆け出した。

 俺は『旋律(メロディー) ニ長調(Dメジャー)』を発動。水の刃を周囲に纏い敵に立ち向かった。ハヅミはハヅミで、後方で攻撃の準備をしている。


「ふぅー、まとめていくよ! 『重圧(アトモスプレッシャー)』!」

「ガッ!」


 俺の左前方の敵が潰れる。しかし他2体は攻撃の範囲外だったのだろう、無傷で襲い掛かってくる。


「はっ!」

「ギャッ!」


 と俺は2体のうち1体を水の刃で切り裂き、もう1体を手持ちの剣で切ろうとした。

 が、


「『重圧(アトモスプレッシャー)』!」

「グ!」


 その必要はなく、最後の敵はハヅミに倒された。


――――――――――――――――――


「『科学者』、かなり使えるようになってるね」


 モンスターの魔石を集めながら話しかける。


「うん。でも最初の攻撃で3体とも倒そうと思ったのに1体にしか当たらなかったよ」

「最初は誰だってそんなものだよ。これからこれから!」


 魔石を集め終わると、俺たちは再び奴隷商のところへ向かい始めた。


 ズ―ン!


「え、何の音!?」


 音が気になったのだろう。ハヅミが後ろを振り返った。瞬間、動きが止まる。


「あ~ドラゴンだな」


 遠くの方で赤色の翼を携えたドラゴンが空から降りてきたのが見えた。


「d、ド、ドラ、ドラゴン!?」

「ドラゴンを見るのは初めてか?」


 ハヅミが後退りしながらおびえた声を出す。


「初めてもなにも、普通は人生で1回見るか見ないかでしょ!? 見るとしてもワイバーンみたいな小型のやつよ!」

「そうなのか。俺の住んでたプロムではよく見たよ。といっても5年に1回くらいだが」

「プロム……? 初めて聞く名前だけど、それは見すぎだよ!」


 そうこうしていると俺たちに気づいたドラゴンが


「グゴアアァァァァァァアアア!」


 と咆哮を上げ俺たちに襲い掛かってきた。


「キャーー!!!!」


 悲鳴を上げるハヅミの横で静かに


「『旋律(メロディー) ロ長調(Bメジャー) アレグロ』」


 を唱え、ドラゴンに急接近。


「『転調(モデュレーション) ニ短調(Dマイナー)』」

「ガ!?」


 圧倒的な水量でドラゴンのバランスを崩し、


「『転調(モデュレーション) ロ長調(Bマイナー) フォルテ』」

「ゴゴアァァ……!」


 で自分の攻撃力を底上げ。剣でドラゴンを切り裂いた。


「ふぅ」


 一息つき、ちらとハヅミの方を見てみると、


「あわわ、あわわわ、わ」


 といった感じでわなわなしている。


「どらごんがどらごんがでた。でもいない。そあんくんがたおした? どうやって?」

「まあ、落ち着け」

「はっ!」


――――――――――――――――――


「それで、小さいころからモンスター、さらにはドラゴンのような強いやつを相手してきたから戦い慣れていると」

「そうだ」


 ハヅミが俺の強さについて知るために、小さい頃のことを問い詰めてきたから、丁寧に応えた。


「そりゃ私の購入代金聞いても驚かなかったわけだよ」

「というと?」


 なぜここでハヅミの、購入代金の話が出てくるんだ?


「10000ジュリーがどれくらい大金か分かってる?」


 あ~そういうこと。


「普通の人の年収と同じくらいなんだよ!? それを驚かないのは不思議だなって思ってたけど、まさか『小さい時からモンスターを倒しまくってお金を貯めてたから』という理由だったとは……」

「戦いの練習がてらな。それにお金はいくらあっても邪魔にならないだろ?」

「普通の人は戦いの練習がてらでドラゴンは倒さないって!」


 激しいツッコミが入る。


「まあ、こんなに強い人に付いて行けるのはありがたいから、とやかくは言わないけど」


 ……十分とやかく言ってる気がするぞ?


「それじゃ出発し……」

「あ、そうだ」


 あることを思い出し、ポンっと手をたたく。


「どうかした?」

「えっと……」


 カバンの中に手を突っ込み目的のものを探す。「デジャブ」と誰かがつぶやく声が聞こえた。


「これこれ!」

「どれどれ?」


 取り出したものをハヅミに見せる。1つはさっきのドラゴンの魔石。

 そしてもう1つは、


「幻影装置だ」


 この2つを使ってハヅミにはあるトレーニングをしてもらおう。

楽しんで頂けたでしょうか。良ければ誤字脱字、アドバイス等、教えてもらえると嬉しいです。


(ソ):ソアン

(ハ):ハヅミ


(ハ)なんとなく分かってたけど、ソアン君の幼少期はすごいな~。

(ソ)そうかな~。普通だと思ってたけど。

(ハ)そうだよ! 年収の数倍をその年で持ってるってどういうことよ……

(ソ)まあ、稼げた、から、

(ハ)はあ、強いって羨まし……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ