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とりとめもなく  作者: nayuta
40/46

脇道23 :私が迷惑掛けた戦艦たち-1

戦艦山城改造 貧乏、もといリーズナブル風味

戦艦比叡改造、大和要素特盛り


半年ぶり?の更新がこれです。

読んでくれる人が少ないとはいえ、あんまりですよねえ。

みてみんに投稿した戦艦たちのコメントをアップします。

以前にもやりました、まあリサイクルですか・・・・・。

投稿後に気がついた事を、追記の形で追加しているのも前と同じです。


好き勝手改造していますが、一応は当時の技術力でも出来たであろう、普通の(?)改造です。

コンセプトはまあ、私の趣味ですね。

俎上に上がった戦艦たちにとってはいい迷惑でしょうが。





戦艦山城改造 貧乏、もといリーズナブル風味





挿絵(By みてみん)


戦艦 山城改 リーズナブル仕様 1


挿絵描くの飽きたので。



以前、投稿した 山城 高速戦艦案、大体の大きさが合ってるだけで 山城 が欠片もない代物でした。

一応、艦橋の形とか背の高い 山城 の面影を持たせたつもりですが。

まあ、バーベットの位置から何から何まで変えてしまったら、山城 とは言えませんよね。



イタリアの戦艦にコンテ・ディ・カヴール級という戦艦があります。

1914年、第一次世界大戦中に竣工された古い弩級戦艦ですが、改装後に近代戦艦に生まれ変わっています。

その方法が何というか、かなり貧乏くさい?

書いて良いのかな?「私の愛した戦艦」という、とても素敵な名前のサイトに教えていただいたのですが。

主砲なんて砲身をボーリングして30.5cm砲を32cm砲にボアアップしている。

元々はドイツのポケット戦艦、フランスのダンケルク級、という流れからの対抗戦力が必要、という事だったらしいのですが。

お金がなかったらしくて、プリエーゼ氏が工夫を凝らしています。

凄いなあ、とまあ、感激した訳です。

流石イタリア。



(追記)

プリエーゼ氏ではなくてロートウンディさんという人だそうです。

因みに工期も費用も新造した時と変わらなかったそうで・・・・。

世界の艦船 イタリア戦艦史より。

何やってんでしょうね。

流石イタリア。

(追記終わり)



なので、まあ、その手法で 山城 も改造してみようかな、と。

史実の第二次改装になるべく逆らわない積もりですが、一応近代戦艦にしてみるつもりですので。


挿絵(By みてみん)


戦艦 山城改 リーズナブル仕様 1 側面前部拡大


まず、コンテ・ディ・カヴールと同じように中央の砲塔を1基潰します。

コンテ・ディ・カヴールでは砲塔跡地を機関スペースに充てて出力を3倍にしていますが、まあ長門と同じ出力にしておきます。

で、後部艦橋とカタパルトを持ってきます。

そうすると。

天城型巡洋戦艦(八・八艦隊の)になってしまいました。

砲塔配置が、ですが。

砲塔数は6基から5基へと、ひとつ減ります。



一見、攻撃力が落ちたように見えますが。

射界の狭い3,4、6番砲塔のある6基と、広い射界を持つ5基。

1基少なくとも5基の方が良いと思います。

特にカタパルト。

アメリカ海軍では被弾時の損害軽減のために艦尾に置いていたようですが、山城のはただ置く場所がなかったからでしょう。

あれ、6番砲塔の射界、かなり妨げていますよね。

カタパルトいらないかな、とも思ったのですが一応仕様で。


挿絵(By みてみん)


戦艦 山城改 リーズナブル仕様 1 側面後部拡大


副砲砲郭は全て潰して、最上級の15.5cm3連装砲塔を片側2基、両側で4基を舷側に置きます。

山城 の副砲の片舷砲力は7門ですが、砲塔に納められて発射速度の高い6門の方が戦闘力は向上するでしょう。

船首は伸ばしました。

コンテ・ディ・カヴールでは、従来の船首の外側に新しい船首を貼り付けたそうです。

なので、同じ事を。

シアはそれほど上げていませんが、フレアはとても大きく取りました。

凌波性が向上するでしょう。

大和型の船首の先行確認用という感じです。

バルバスバウも使っています。



主砲と砲塔を変えました。

従来の砲塔より、少し重いぐらいの重量という設定(妄想?)です。

この時期、砲身の製造方法に革新がありました。

砲身というものは装薬の爆圧によって砲弾を加速させる装置です。

当然、砲身にも爆圧、膨らもうとする力が掛かります。

それが過大なら砲身破裂という事になりますが、破裂しなくても砲身が膨らめば爆圧は砲弾の隙間から逃げるし、ライフリングもまともに噛まない。

つまり、ちゃんと飛ばない。

なので、膨らまないようワイヤーでぐるぐる巻いて、さらに外筒を被せて、とひたすら丈夫に作ります。

そうなると重くなって砲身が垂れる。

下向きに曲がる、撓むのですね。

45口径以上の長さだと垂れた砲身が発射時に振動して、まともに着弾しなかったそうです。



この膨らむ力を砲身の内部残留応力で抑える、という自己緊縮法(オートフレッタージ法)というものが開発されました。

(前からあったのかな?)

砲身を分厚くしなくても膨らまない。

砲身は軽く出来、長くしても垂れない。

日本海軍では最上型の60口径15.5cm砲が、確かそうだったはずです。

他には高角砲の砲身にも使われましたが、戦艦の主砲には使われなかったそうです。

大口径砲に使えるかどうかよく判らないのですが、ビスマルクの主砲がそうだったという話があったような。



(追記)

自己緊縮法(オートフレッタージ法)はフランスで開発されたそうで。

ビスマルクに使われていなくても、リシュリュー級には使われていたでしょうね。

オートフレッタージ法と4連装砲塔で主砲周りの重量を軽くして、その分装甲と機関に重量を割り振ったのがフランスの35000t級戦艦の手法だったわけです。

随分と大胆というかアバンギャルドな・・・・。

(追記終わり)



日本では多分、大和の46cm砲(とてつもなく大変な砲だったそうです)の開発でリソースがなかったのでしょうね。

で、それが開発できたとして、55口径38.1cm連装砲です。

砲身を薄く出来た分、口径を上げられた、という事ですね。

むやみにボーリングした訳ではありません。

砲の外形が同じぐらいなので、従来のバーベットに納まったということにしています。



(追記)

と言うより。

普通、砲身のボーリングなどしないでしょう。

これ、最低の方法です。

砲身の厚みは発射される砲弾に必要な爆圧、とう圧(とうは月偏に唐)に耐えられるギリギリの厚みのはずです。

余計な厚み(必要以上の強度)は砲身の重量過大、砲身の垂れになって命中精度を悪化させます。

つまりよほどバカな設計でもしていない限り、切削して拡げる余裕などないはずなのですが。

プリナーゼ氏がボーリングした理由は、当時イタリアでは砲身の製造が出来なかったからだそうです。

厳密にはイギリスメーカー(ヴィッカースとか)のイタリア現地工場でしか作れなかったそうです。

もっとも、数年後に竣工したヴィットリオ・ベネト級の15インチ砲は、新戦艦の15,16インチ砲の中でも優れた砲だったそうで。

そちらの開発でリソースがなかったのかもしれません。

後は古いイギリス製の12インチ砲身だったから、最新の計算で余裕が見つかったとか。

安全率こんなに要らないよね、とか、無駄な部分があったからでしょうか。

一応、大戦中に海戦をしているのですから、使えない事はなかったのでしょう。



ですが。

普通、砲身が作れるところなら砲身ごと交換するでしょう。

口径が上がったら砲身はともかく、チャンバー、薬室や尾栓は作り直しですし。

バーベット、作り直しにならないかな?

バーベット、砲塔の直径は砲耳から後ろの長さで決まります。

昔の砲塔、仰角がせいぜい15°ぐらいのものなら砲の後ろが甲板より下に下がりませんが、仰角が大きくなると砲尾は甲板より下、バーベット内まで下がります。

砲身が後座する分も含めて、それだけの長さがバーベット内に納まるようにバーベット径は設計されていますが。

普通、バーベット直径はギリギリに小さく設計されます。

口径をアップしてチャンバーの長さや後座量が増えたら、今までのバーベットに納まるかなあ。



長門型もそうですが、山城型の砲も自由仰角装填だったはずです。

つまり仰角が30°でも35°でも砲弾が装填できる構造です。

ですが、長門型では装填後に砲弾がずり落ちる危険性を防ぐため、装填は4°だったかな、そこら辺の固定仰角装填でした。

自由仰角装填では砲身の後ろに砲弾を押し込むランマーが付いて、一緒に俯仰します。

固定仰角装填に変更すれば、ランマーは砲塔後部、バーベットからはみ出したところに設置できます。

大和型の砲塔がそういう形です。

自由仰角装填の山城型の36cm砲のランマーを砲塔後部に移す事により、砲尾とバーベットの間に余裕が出来ます。

なので、38.1cmに口径を上げても長くなった砲身後尾が従来のバーベットに納まった、というバックストーリーです。

(追記終わり)


挿絵(By みてみん)


戦艦 山城改 リーズナブル仕様 1 上面前部拡大


砲塔も新しくしています。

「戦艦大和、主砲のメカニズム」というYou Tubeの動画があります。

それによると、大和の砲塔は極めて先進的な半自動装填システムを採用しています。

46cm砲のくそ重い砲弾約1.5tを30秒内外で装填できるそうです。

それをスケールダウンして使っている、と。

砲弾が軽い、などなどの理由で3.5発/分ぐらいの発射速度が出るのではないかな、と思います。

山城の発射速度が1.5発/分ですから、倍以上を期待します。



大体、山城の12門という主砲門数は、ある意味「致し方なく」という事だと思います。

昔の駐退機、発射によって後座した砲身を戻す装置ですね、これの出力が足りなくて斉発、一斉打ち方、全門発射すると砲身が戻るのにえらく時間がかかったそうです。

なので、基本的な砲戦は斉射、交互打ち方だったそうです。

連装砲塔の砲身を代わる代わる上げて砲撃するシーンですね。

あれ、格好良いのですが発射速度を上げるためにしていたのではなく、やむを得ずだったらしいです。

それで、情報が見つからず確証はないのですが、有効な散布界を形成する最小砲弾数が6発だったのでしょう。

ドレッドノート以降の戦艦で最小砲門数が6門以下のものは、寡聞にして知りません。

シュペーやレナウン級、青葉級重巡、伊勢型の航空戦艦改装時も主砲6門残せ、とあったそうですから。

あっ例外があった。

でも、ハッシュハッシュクルーザーはねえ、バルト海作戦の地上砲撃用だったみたいです。

装甲なんて紙切れみたいで、明らかに敵戦艦と撃ち合う事を考えていなかったようで。

つまり山城の12門は、交互打ち方前提だったので6門の倍の12門。

長門の時は駐退機の出力不足は解消していたので、斉発が可能だったそうです。

なので、この戦艦も38.1cm砲10門斉発可能です。


挿絵(By みてみん)


戦艦 山城改 リーズナブル仕様 1 上面後部拡大


などなどのバックストーリーをでっち上げて、描きました。

速度関係で特に仕掛けなどはしていませんが、長門と同じような艦幅で同じ出力。

バルバスバウを付けて船首を伸ばしましたから、長門に追随できる程度には速度が出るでしょう。

つまり高速戦艦たる長門型と戦隊を組める、有力戦艦です。

(レイテでは遅かったので裏口に回されましたし)

主砲口径は1ランク落ちるけど、加賀型に準ずる攻撃力を持ちます。

38.1cm砲は、アイオワ級やサウスダコタ級など元からの16インチ砲戦艦には無理でしょうけれど、装甲仕様が14インチ砲のコロラド級やノースカロライナ級には通用するでしょう。

テネシー級以前の14インチ砲艦には優位に立てるはずです。

まあ、装甲次第ですが。

主砲塔1基分の重量は余っていますから、どうとでも。

これ以上は、”カタログ数値をいじるだけ”になるので意味ありませんし。

煙突がマック風仕様なのは可哀想なフランス戦艦へのリスペクト、マストの形状は大和の先行試作かな?



主砲の発射速度が倍になるという事は、実質戦艦が1隻増えた、という事です。

苦労して、しかも軍縮条約を掻い潜って、戦艦を増やすより、よっぽど楽で国庫に優しい戦力アップだと思うのですけど。









戦艦山城改造 貧乏、もといリーズナブル風味 修正




少し修正案を。

副砲の配置が余り良くなかったので、というより明らかなポカだったので。


挿絵(By みてみん)


戦艦 山城改 リーズナブル仕様 2


3番砲塔の跡地の弾薬庫使えるかなあ、と思って余り考えなしに副砲塔を配置したのですが、増設分の高角砲を置く場所がない。

3番、4番砲塔(元の4番、5番砲塔)の爆風を浴びる事を覚悟して、3番砲塔の横に高角砲群を置いたのですが。

あれ?こっちに置いた方が副砲の射界広く取れるよね。

ということで移設しました。

弾薬庫は3番、4番砲塔の弾薬庫の間に置けばいいや、と安直に考えて。

これで高角砲や機関砲の射撃指揮装置も爆風を避けられます。



実際、砲の配置は難しい問題です。

うまく配置しないと折角砲を積んでもあまり役に立たない。

(追記)

ネルソン級は後方、首尾線から言えば150°、ギリギリまで旋回させて斉射すると、艦橋の中身がシェイクされて負傷者多数になったそうです。

なのでその角度での砲撃は禁止。

最上型は首尾線方向、真っ正面に向けて砲撃すると、2番砲塔の爆圧で1番砲塔が壊れたとか。

なので、仰角15°以下での砲撃は禁止になりました。

(追記終わり))

それどころか下手をすると攻撃力を削ぐ事にもなりかねません。

でもまあ、そこが知恵の絞りどころで軍艦デザインの最も楽しいところでもあります。


挿絵(By みてみん)


戦艦 山城改 リーズナブル仕様 2 側面前部拡大


今回の改造案では、主砲はそのままの位置を使ったので悩む必要はなかったのですが、正直オリジナルの位置が悪い。

前案でも書きましたが、3番、4番、6番の射界が狭すぎです。

主砲の配置でまず考えるのは、射界の確保です。

砲塔の構造的には、バーベットを中心に水平方向360°旋回可能です。

しかし、上部構造物(艦橋や煙突)によって制限(旋回が妨げられたり、射線が通らなかったり)されます。

世界初の砲塔艦、アメリカ北軍のモニターは360°射撃可能だったそうですが。



この射界、つまり撃てる範囲をできるだけ広く取ることが、主砲配置にとって重要な事です。

海戦において、艦隊運動次第でどのような態勢で打ち方始めになるか判らない。

自分の有利な態勢で如何に敵を射程に入れるかが、艦隊運動のキモですが必ずしもうまくいくとは限りません。

日本海海戦でも東郷平八郎の第一戦隊ですら、艦隊運動を失敗して無駄な時間を費やしている。

不利な態勢でも全門斉射ができれば、砲撃戦を有利に進められます。

それと中心線上配置の主砲群は真横には全門斉射可能ですが、実は余り良くない。

発射後の反動で横揺れが激しくなるそうです。

できれば斜め前か斜め後ろに撃つのが良いそうですが。



日本の戦艦の場合、前後に背負い式に搭載された砲塔は、いずれも砲塔正面から左右150°の射界を確保しています。

(扶桑型はWikiによると左右110°だそうですが。あれ?)

艦橋やその他の上部講造物の平面形がいずれも30°の斜めになっているのは射界確保のためです。

最も、1番主砲は船首のシアライン次第では方位0°真っ正面には、仰角をかけないと船首をぶち抜く。

大和以外の日本戦艦やキングジョージ5世級の船首が、凌波性が悪い、つまり甲板上に波を被る事を承知の上で真っ直ぐなのは、仰角0°で撃つためです。

もっとも建造技術の問題もあったのでしょうけど。

山城の場合、射界が狭いように思います。

6番主砲塔の前にあったカタパルトは明らかに射線を塞いだでしょうし、艦橋、煙突、後部艦橋に挟まれた3番、4番砲塔は少なくとも前後60°は射界が制限されたはずです。


挿絵(By みてみん)


戦艦 山城改 リーズナブル仕様 2 側面後部拡大


他にも気をつけるのは、きちんと主砲が旋回するスペースがあるかどうか。

砲塔の前、砲身の方ばかり気を取られると、砲塔と後ろの上部構造物を近づけ過ぎて砲塔後部がぶつかったりします。

以前、ある小説の挿絵に戦艦の平面図が載っていた事がありましたが、主砲塔が隣り合わせに2基搭載されていました。

これ、どうみても旋回するときに隣の砲塔にぶつかるよな、と。

砲塔の後ろに張り出している部分、測距儀室や装填機のある部分ですが、ここは張り出していないと砲塔自体の重量バランスが取れないそうです。

取れていないと旋回がスムーズでないのはもちろんですが、片舷砲戦などで全砲塔を指向すると艦自体が傾くそうです。



他にも爆風の問題。

大和の46cm砲の発射時爆風は甲板上の人間を殺すそうですが、口径がそれほど大きくなくても爆風は脅威です。

愛宕級の重巡の主砲でさえ、水偵を破壊するほどの威力があります。

大和では発射時に甲板の機銃員は艦内に退避するのですが、その際機銃の照準器を外して持ち込んだそうです。

爆風は砲口を中心に弱まりながら大凡環状に広がるみたいですが、砲口間近に精密機器たる射撃指揮装置を置けばどうなるか。


挿絵(By みてみん)


戦艦 山城改 リーズナブル仕様 2 上面前部拡大


砲塔は重量物ですから、トップヘビーにも気を遣わなければなりません。

背負い式3段砲塔はアトランタ級防空巡にありますが、あれは軽量な38口径5インチ砲だから出来たのであって、戦艦の主砲でそれをやれば確実に転覆します。

大和級はそれを避けるために、甲板を凹ませてまで1番主砲塔を低くしています。

主砲だけでなく副砲もなるべく低く。

高角砲や機銃の場合、あまり上の方に配置すると弾薬の揚弾が厳しくなります。

まさか、弾薬担いで階段を登った等という事はないと思いますが、それ専用の揚弾エレベーターが必要です。



砲塔の配置も船体に対しなるべく等分に。

ネルソン級や利根型は前方集中配置をしていますが、重量が船の前部に集中したせいで酷く操艦が難しくなったそうです。

利根型は砲塔自体あまり重くなかったので、それほどではなかったそうですが。

フランス戦艦はどうだったのだろう?


挿絵(By みてみん)


戦艦 山城改 リーズナブル仕様 2 上面後部拡大


集中防御方式の近代戦艦は当然、それ以前の戦艦でもバイタルパートをできるだけ小さくしなければなりません。

多砲塔戦艦はある程度、バイタルパートが広くなるのは仕方ありませんが。

史上最多砲塔の戦艦は英国エジンコートの7基(フライホークからプラモデル出ていましたね)ですが、山城もそれより1基少ないだけの6砲塔です。

今回はバーベットの位置をいじっていないのですが、できれば後ろ2砲塔はもう少し中央に近づけたかったところです。

重量バランス的にも。

(以前、投稿した航空戦艦の主砲塔位置は、仕方なかったとはいえ酷いなあ、と。

下手すると操舵室に弾薬庫が来る。

まあ、弾数最小限の搭載なので弾薬庫は小さい、とごまかしますが)



と、まあ。

描いた方はいろいろ考えてはいますが、所詮ただの絵です。

それなりに格好が付いてれば良いかな、と。










戦艦比叡改造、大和要素特盛り




この間まで帆装ハイブリッド船の絵を描いていたのですが。

コンセプトは面白いと思うし、現代の貨物船構造もいろいろ勉強できて面白かったのですが。

絵としては面白くない。

シンプルに、かつ効率よくコンテナを積めるように考えた結果。

直線だけで描く事になりました。

なので、憂さ晴らしの八つ当たりですかねえ。

ごめんなさい、比叡。


挿絵(By みてみん)


戦艦比叡 改 大和要素特盛り


比叡という戦艦は金剛級巡洋戦艦4姉妹の2番目でしたが、ロンドン条約の時に改装が遅れていたせいでみそっかす、練習戦艦になりました。

機関を一部撤去され、4番主砲塔も外されたそうです。

何処の世界でも次女というのは損な役回りなのでしょうか。

その後、員数外という事で他の3隻に行われた改装もされずに、皇室ヨットのようなお召し艦任務に就いたりしていましたが。

太平洋戦争前に戦力に復帰させるため、最後に大規模近代改装を行いました。

そうして機動部隊のお守りに酷使されたあげく、日本戦艦で最初にソロモン海に沈みました。

因みに、艦種は最後までみそっかすの練習戦艦のままだったそうです。

不憫な。



改装が一番最後という事で、比叡は大和の先行試作、テストベッドとなり各種新規要素が盛り込まれました。

結構有名な話だと思います。

艦橋は大和と同じような塔型構造となり、方位盤も同じ構造にしています。

ですが、余り大和とは似ていませんよね。

確かに戦力として考えるならば、先行した3艦と余り違うと使い勝手が悪いでしょうが。

少し、物足りない。

ということで。

大和の要素をもう少し、ではなく特盛りで盛り込んでやったら、というテーマで描いてみました。

比叡にとっては迷惑でしょうが。



もうひとつテーマがあって、大和級の要素を盛り込んでも大和の亜種しない、というものです。

大和級は本当に良く出来た戦艦です。

全てに置いてバランス良く、かつ高度にまとめられています。

造形的にも美しいと言えるでしょう。

日本の戦艦は大和級で終わりましたが、大和級以降に戦艦が建造されたなら大和級の改良、拡大、になるのは当然だと思います。

紀伊も尾張も駿河も近江も大和級に似るのは仕方がない・・・・。

ですが。

絵を描く方としては余り面白くない。

言うなれば大学のレポートの作成に、良く出来た先輩のレポートを参考にする、またはカット&ペーストするという感じでしょうか。

誰が描いても同じようになるものを、わざわざ描いても仕方ないですし。

と、いうような事を考えて描いてみたのがこの比叡です。


挿絵(By みてみん)


戦艦比叡 改 大和要素特盛り 側面前部拡大


主砲は前回のリーズナブル山城に使った55口径38.1cm自己緊縮砲オートフレッタージです。

因みに長砲身は砲口初速を早くするためではなく、装薬を節約して低い爆圧、とう圧(とうは月偏に唐)で従来と同じ初速を得るためです。

多分、出来ると思うけど浅薄な知識による判断ですので、違っていたらすみません。

砲口初速を上げて射程を伸ばしても砲戦指揮装置が対応していなければ命中は望めませんし、水平部を狙うならば初速は余り速くない方がいいでしょう。

砲弾重量が増えれば同じ初速でも自動的に射程は伸びますし。


挿絵(By みてみん)


戦艦比叡 改 大和要素特盛り 側面後部拡大


それを3連装砲塔に納めて1番砲塔と3番砲塔に搭載しました。

バーベットは長門級の45口径41cm連装砲塔と同じものを使います。

もちろん大和級の3連装砲塔の先行試作です。



3連装砲塔というものはやっかいなものらしいです。

砲身を一個増やしただけ、では済まないようで。

イギリス海軍はネルソン級で初めて採用しましたが、故障が頻発したそうです。

史上初めて3連装砲塔を採用したのはイタリアで、次にアメリカがネバダ級で採用しました。

そちらがどうだったかは判りませんが。(資料が見つからないので)

でも、苦労したのではないかなあ、と。

(追記)

世界の艦船、アメリカ戦艦史にもイタリア戦艦史にも特に書かれていなかったので問題なかったのでしょうか。

ネルソン級の3連装砲塔は重量軽減のため、部品の強度が不足して故障が頻発したそうです。

なのでトラブルがあったとしても、3連装砲塔の構造が原因ではないかもしれませんね。

(追記終わり)

4連装砲塔でもイギリスのキングジョージ5世級、フランスのダンケルク級で故障が多くて対策に追われたそうです。


挿絵(By みてみん)


戦艦比叡 改 大和要素特盛り 上面前部拡大


日本海軍では最上級の15.5cm砲で初めて3連装砲塔を採用し、そのまま大和級にも採用しました。

両砲とも特に問題なく稼働したようで、最上級の3連装砲は傑作砲と言われたようですが。

ですが軽巡の砲から一足飛びに国運を賭けた戦艦の主砲に、それも史上最大と言える口径の砲に使うというのは大胆というか・・・・。

しかも大和級の装填システムは従来の長門級などのイギリス式、砲弾と装薬を同じ弾薬筺で揚弾する方法とは大きく異なります。

砲弾は揚弾筒で、装薬は昇降機で別々に揚げる方法は、おそらく独自開発だったと思います。

余裕があれば戦艦級の主砲塔で実用試験をしたかっただろうなあ、と。

と、言うことで実用試験のための3連装砲塔です。



2番砲塔、旧3番砲塔はバーベットをそのまま使い、リーズナブル山城と同じ連装砲塔を搭載しました。

連装、3連装砲塔混載です。

大和級の設計案の中には平賀造船官の提案した連装、3連装混載10門艦があります。

(追記)

3連装2基、連装1基のO案、F案、K案というものがありましたね。

後、夕張は連装、単装混載ですが、あれは砲塔ではない(砲の下にバーベットがない)ので参考にはならないでしょう。

(追記終わり)

ですが、混載の実績は日本海軍にはありません。

海外ではアメリカ戦艦のネバダ級や、イタリア戦艦のコンテ・ディ・カブール級等があるのですが。

もっともネバダ級の次は3連装4基で混載は採用していませんし、イタリアも新戦艦では3連装3基の統一砲塔です。

混載方式には何か運用上の問題があるのか、それを確認するための採用です。


挿絵(By みてみん)


戦艦比叡 改 大和要素特盛り 上面後部拡大


3番砲塔は従来の4番砲塔位置より大きく中央部に寄せました。

どちらにしろバーベットは作り直しですし。

1番砲塔、3番砲塔のバーベット交換と同時に、装甲方式を準・集中防御方式に変えます。

ネルソン級から始まった集中防御方式を、大和級も日本軍艦で初めて採用しています。

(追記)

ネルソン級から始まった、大和級が日本軍艦で初めて採用、これは語弊がありますね。

元々、軍艦に装甲を張り始めた最初期から、装甲は一様に張られていた訳ではありません。

重いものはなるべく節約しようとするのは当然でしょう。

ですから集中防御方式と言われるものは、従来なら薄いなりに装甲が張られていた箇所も思い切りよくバッサリなくし、その分バイタルパートを厚くした、という事だと思います。

(追記終わり)

ですが、この方式は重要防御区画、バイタルパートとそれ以外の部分との境目で強度的格差が生じます。

船舶は航行中は常に首尾線方向の曲げモーメントを受けますが、強度的格差があった場合そこに応力が集中する可能性があります

そうすると境目部分に歪みや亀裂、最悪は断裂などが発生したり。

他にも最上級で発生したようにバーベットが歪んで主砲塔が旋回しなくなる、など。

なので確認評価用としての準・集中防御方式です。

完全な集中防御方式にするには改造では無理だと思います。



同時に上部構造物も、従来の比叡のものより前後に圧縮しています。

大和級は既存の戦艦や各国の新戦艦と比べて、艦橋、煙突を含む上部構造物を小さくコンパクトに作られています。

バイタルパートを短くするためです。

同じスタンスのものがアメリカのサウスダコタ級戦艦ですが、あちらはコンパクトにしすぎてスペース不足などトラブルが発生したそうです。

どの程度までコンパクトに出来るか、図面上では気付かない実用上のデータを採るため、上部構造物をコンパクトにまとめてみました。



副砲は例によって最上級の3連装砲塔を4基、大和級と同じ位置に搭載します。

各国の新戦艦では、副砲を従来の砲郭方式から砲塔方式に変更しています。

主なものでフランスのダンケルク級やドイツのシャルンホルスト級、イタリアのヴィットリオ・ベネト級やイギリスのネルソン級。

軽巡の主砲塔を流用するのが一般的な手法ですが。

ですがこの方式の場合、砲塔下に弾薬庫につながるバーベットや揚弾システムが必要になります。

甲板に据え付けて、砲弾を揚弾装置から運んできて、手作業で装填する方式が従来の方法ですが、それと比べると船体の構造自体が大きく変わります。

日本では大和級が初めての採用でした。

ですので、先行確認することにします。



艦橋構造は史実の比叡でも大和級と同じ塔構造になっています。

が、形状自体は艦橋後部、各フロアにオープンデッキを持つ従来の艦橋と同じです。

大和級は艦橋後方も密閉されデッキも1つだけです。(いろんな機器、探照灯指示器とか、は貼り付いていますが)

なので更に大和級に近づけるため、同じような形状にしました。

(追記)

大和級の艦橋断面の後部形状は、艦橋周りの空気の流れをスムーズにするものだそうです。

従来の長門級などの艦橋後端部、首尾線に垂直に切り下ろした平面形ですと、高速航行時25ノット,4~50km/hで走るとその部分が負圧になって煙突の煤煙を引き寄せるそうです。

なので大和級は負圧が発生しないよう船の船尾形状のようにすぼまった形状になっているそうです。

デッキも少なくしたのでしょう。

それを確認するために比叡も同じ形状です。

(追記終わり)



一方、艦橋前面は別なアプローチです。

艦橋前面のデザイン目的は走行風と爆風の影響を逃がす、です。

下手なデザインだと、最大戦速時や主砲発射時に振動したり揺れたりするでしょう。

艦橋トップには40000m先を測定する測距儀などがあり、揺れや振動は大敵です。

大和級は影響を受けやすい平面垂直ですが、その両側をえぐったり凹ましたりして対応しています。

こちらの比叡は艦橋前面を後傾させ、断面を半円形にして爆風、走行風を逃がします。

半円形状は珍しいですが、アメリカのアトランタ級防空巡やイギリスのイラストリアス級空母の艦橋に使われています。

日本では改装前の青葉級(誤記修正:加古、衣笠級ですね、青葉級は最初から連装砲塔でした)の艦橋がそれで、案外平賀造船官の好みなのかもしれません。

大和の雄々しい感じの艦橋に対し、女性的な嫋やかな感じになるかなと思ったのですが。

よく判りませんね。



高角砲の数は従来の戦艦や重巡の4基に対し、倍です。

発達する航空機に対し、高角砲の数はどれぐらいが適当か。

載せられるだけ載せてみて効果を確認した、という設定です。

8基は多すぎる、という結論になったのでしょう。

でも、結局大和級は12基まで増設しましたが。

(武蔵は高角砲の数が足りなくて、高角砲座に機関砲を積んだそうですが。)



船体後部は大和級と同じような航空設備です。

ジブクレーンやエレベータ付き船内格納庫など。

でも、大和級より甲板位置が1段下なので、必要な容積の格納庫が設けられたかどうか。

まあ、史実の大和の格納庫も水偵などは入っておらず、ただの物置だったとか。

短艇格納庫も大和級を模していますが、甲板位置が低いので開口部は水面ギリギリです。

荒天時は開口部から水が流れ込んだでしょう。

防水扉はあったのでしょうか。



他にも大和級と同じ誘導煙突やマスト形状など。

艦首は盛大なシアとフレアとバルバスバウ。

大和級の新技術をてんこ盛りにして描いてみました。

まあ、大和級に似ているところはありますが、亜種にはならなかったようです。

やっぱり艦橋形状とプロポーションがキーでしょうか。

取り敢えず、それなりに見られるようになったと思うので、良しとします。


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