表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とりとめもなく  作者: nayuta
37/46

脇道20 :魅せられしもの  野球の話3

さて、魔球の話です。

前回の話は、これの前振りだったのですが。

長くなりすぎましたので切りました。



最初はカーブの事だったらしいです。

「魔球」のWikiにはそう、書いてありました。

明治の初めに来たアメリカのチームにカーブで手も足も出ずにやられて、それを見ていた記者かな?、その人が魔球と書いたとか。

その後、変化球という言葉が発明されると、魔球という言葉は使われなくなったようです。

それでも新しい変化球が発明されると、必ず誰かが魔球という言葉を使う。



魔球というのは何なのでしょう。

定義としてと言うか、ニュアンスとしてと言うか。

魔、人外の能力。

魔法、魔術、または悪魔の力、みたいな。

その様な力を借りたと思わせるほど、不可思議で難しくて誰にも打てないボール。

でも、誰にも打てなければ禁止になるんじゃないかな?

実際はどんな変化球が発明されようと、必ず打ちこなす人は出てきます。

正規の変化球が禁止された、という話は聞いたことがありません。



そう言えば禁止球というものは存在します。

いわゆる違反球。

ボールに唾やグリスなどという異物を塗ったり、削ったり傷を付けたり。

そんなボールを投げると、不可解な変化をして打てなくなるそうです。

アメリカのプロ野球の初期にはそんなボールがいっぱいあって、それで禁止になったそうです。

本当に打てなくなるんだろうか?

マンガや小説では、そういう球を駆使して成り上がるヒールな投手の話もありますが、本当でしょうか。

変化球に不慣れな時代だったから、打てなかっただけじゃないだろうか。

私は疑っていたりします。



さて、実際のところ、魔球が活躍するのは小説やマンガ、マンガが主流かな、創作物の中が多いです。

前述のWikiの中には創作物の中の魔球の一覧もありました。

いくつか大昔に見た覚えのある魔球の中には、球場が真っ暗になる魔球とか、7つに分かれる魔球とか。(うろ覚えです、ごめんなさい。)

絶対打てっこないだろう、という球が出てきて。

多分、これ格闘マンガの中の強さインフレと同じ現象なんだろうな、と思ってたりします。

そう言えば、野球ゲーム盤という玩具式ゲームには「消える魔球」という絶対打てない魔球があるそうです。

やったことがないので聞いた話ですが、そのボールはバッターの手前で穴が開いて盤の下に潜るそうです。

これは打てないよな。

そのゲーム盤、喧嘩にならないのだろうか。



ここで余談ですが。

白土マンガ以降、忍法は理不尽な真似は出来なくなったそうです。

いきなり話が真横にすっ飛んでいますが、大丈夫です、つながるはずです、多分。



対人戦闘がメインの創作物の中には、人間の能力を超える力が出てきますね。

修行や秘伝などによる眠狂四郎、剣豪小説やドラゴンボール、格闘マンガ。

異星人由来のスーパーマンやウルトラマン。

機械を組み込んだサイボーグ009や仮面ライダー。

機械そのもののアンドロイド、鉄腕アトムやキューティーハニー。

魔素を練ったり魔王の力を借りたりして、中距離核並みの威力もある「黄昏よりも昏きもの・・・・」魔法や魔術。

脳の未知の能力が発現する超能力者エスパー、超人ロック、バビル2世。

そういう数多のギミックの中で、実際の歴史があって、戦前から日本にあって、さらには現代では世界でも人気なのが、忍法、忍術です。

これも実際のところ、日本古来からの諜報機関一族による修行や秘伝らしいのですが。



忍者物は江戸時代から講談であったそうですが、その講談を本の形で出版したのが立川文庫だそうです。

その中のメインヒーローが猿飛佐助。

忍者界のビッグネームですね。

大阪夏の陣、冬の陣で徳川家康に特攻をかけた真田幸村(本名は信繁)の配下、真田十勇士の筆頭。

同僚に同じくビッグネームの霧隠才蔵。

彼らが後の公儀隠密、徳川家康子飼いの伊賀忍者服部半蔵こちらもビッグネームですねと繰り広げた戦いを描いたのが立川文庫なのでしょう。

そこでは分身の術とか変化の術とか、とても人間には出来ないような忍法が花盛りだったそうです。

Wikiを軽く当たっただけです。

調べれば底なし沼に引きずり込まれるのは目に見えていますので。

詳しくはご自分で底なし沼に踏み込むか、沼の住人(多分いっぱいいます)にお話をお聞き下さい。



余談の余談ですが、出版社講談社の名前はこの「講談」に由来しているそうです。

永井豪がマンガの中で熱く(半ばごますり気味に)語っておりました。

講談社の社歌も熱唱させてたな。



戦後になってマンガが隆盛すると、その中に忍者マンガも登場します。

貸本マンガ時代に「忍者武芸帳」を書き、その後「カムイ伝」「カムイ外伝」「サスケ」「ワタリ」を連載した白土三平もそのひとりです。

白土マンガはプロレタリア風味のドラマですが、子供向けの「サスケ」には忍術の解説が載っておりました。

私が見たのは確か「朧影の術」(うろ覚え、うろ覚え)だったかな。

なにやら蝋燭を使った幻灯機のような物で、昼間に等身大の人間像を投写するのだとか。

図解までありました。

かくて忍法は科学的裏付けを必要となり、骨董無稽な物は影を潜めることとなりました。

まあ、その分現代では魔法がブイブイ言わせていますが。



で、魔球界(そんなものあるのか?)における白土三平「サスケ」が、梶原一騎の「巨人の星」だろうな、と思う訳です。

(つながった)

「巨人の星」では「大リーグボール〇号」という魔球を3つ投げていますが、何れもストーリーの中で、その仕組みが謎解きという形で解説されていきます。

もちろん、実際には成立しない虚偽の理屈です。

右大リーグボール1号?

そんな亡霊、知らん。

ここからはネタバレ有り。



大リーグボール1号。

普通、打つ気満々のバッターでも、頭の上にビーンボールが来たら逃げますって。

ビーンボールを平然と見送るなんてあり得ない。

ボールが来る前は逃げる気などないのだから、ピッチャーは構えから予測することは不可能です。

だからでしょうか。

マンガやアニメではビーンボールの球筋ではなく、ストライクコースからホップしてバットにぶつかっていきます。

でも、そんな球投げられるなら普通にストライクコースに投げろよ、といいたい。



大リーグボール2号。

消える魔球です。

多分、一番有名な大リーグボールでしょう。

でも、多分この球、消えなくても打てない。

ストライクコースから降下して、地面すれすれで砂煙を巻き上げて、また上昇してストライクコースに戻る?

2段階の異なる変化をする変化球なんて、それだけで魔球です。

絶対打てっこない。

消える必要はないでしょう、ねえ。



大リーグボール3号。

前のふたつと違って、この球だけは実際に投げることが出来ると思います。

要は変化しないナックルでしょう。

投げられても意味ないと思いますが。

ただ、浮かんでいるだけの不安定な存在だから、プロの強打者のバットの風圧で逃げる?

それって、セットアップティーですよね。

バッティング練習のうちの。

コーチなんかがそっとボールを投げ上げて、頂点、ボールの上昇が止まった位置、ボールが空中に静止した状態、そこを打つ。

普通に打てますよ。

王選手がやっているのも見たことがある。

風圧でボールが逃げる事など、なかったと思いますけど。



所詮、フィクション、創作物の中の事ですから、その理屈が通っていようがいまいがどうでもいい。

読者が面白ければいいんです。

なので、私がこのように半ば揚げ足取り気味に虚偽を暴くのは、創作物の仁義から外れるのですが。

敢えてそれをやったのには、理由があります。

「巨人の星」の中で、ある「暴論」が展開されているからです。

なまじ魔球の説明が本当らしく書かれているから、読者の中には信じている人もいるかもしれない。

「巨人の星」の数年後に書かれた「メイプル戦記」でも同じような「暴論」が出てきますし。

これはつまり、信じられてる、常識化しているという事でしょう。



その「暴論」とは。

「身体の小さい人(体重の軽い人)の投げるボールは軽い」というものです。

もし、この「暴論」を信じて投手になるのを諦めた人が実際にいたとしたら。

これは罪深いことだろうと思います。

なので、「巨人の星」の虚偽を証明してみようと思ったのです。

実際のところ、これ誰かがいつかはしないといけないことだろうなあ、と前から思ってはいました。

本当はこんな誰も読まない様なエッセイではなく、「球辞苑」のようなテレビでやってくれればいいのですが。



さて、簡単な物理です。

飛翔物の持つエネルギーは、ニュートン力学によれば1/2×m×v^2です。

投げられたボールの質量とボールの速度で決まります。

そこに投げた人の体重は関係ありません。

体重136kgのサバシアであろうと、体重??kgの水原勇気であろうと、重量数百キロkgのピッチングマシーンであろうと、重さ数kgのパチンコであろうと。

同じ球を同じ速度で発射できれば、ボールの持つ運動エネルギーは同じです。

投げられたボールが妖怪子泣き爺のように、空中で重くならない限り同じです。

で、バットに作用する力は運動エネルギーです。

重いボールとしてバッターに反作用を与えるのも、軽いボールとして反作用を与えるのも、運動エネルギーです。

ですから、重い、軽い、というのは、運動エネルギーの大小に因るものではないのです。



じゃあ、何かというと。

ここからは私の推測です。

普通のバッターはジャストミートしたと感じても、実際には少し押し込まれた位置で打っているのではないか。

まず、この仮定が前提です。

この仮定の根拠として。

バッターはなるべく正確にミートポイントを見極めるため、ギリギリまでボールを見ようとします。

つまりバットの振り出しを、なるべく遅らせようとします。

ですが、振り遅れればどん詰まりの凡打になる。

なので、凡打にならないギリギリの振り遅れ気味、少し差し込まれた状態で打つのが常態になっているのではないでしょうか。

膂力のあるバッターはどん詰まりでも強引にヒットに持っていく、という話もあります。

つまり通常のヒットは、少し詰まり気味、重さを感じてある程度力で打っているのだと思います。



それがたまたま詰まってない、本当のジャストミートした時、バットに感じる反力はすごく軽く感じるでしょう。

プロの選手の話でも、本当に軽く感じると言いますし、私も経験があります。

一瞬、当たったかどうか判らなかったほど、軽く感じました。

つまり軽い球というのは、バッターに期せずしてジャストミートさせる球という事だと思います。

それの反対として、重い球というのは通常の詰まり気味より、更に詰まった状態で打った球だと思います。

バッターに期せずして詰まらせる球。

さて、ではその軽い球、重い球というのはどういう物なのでしょうか。



速い球に詰まったなら、速いから詰まった、と判るでしょう。

遅い球をジャストミート出来たら、遅いからうまく打てた、と判るでしょう。

ですからおそらく。

重い球というのは「速いと判らずに打った速い球」。

軽い球というのは「遅いと判らずに打った遅い球」なのだろうと思います。

バッターにほんの少しスピードを誤認させる球。

多分、ほんの少しです。

大きく誤認させられれば、タイミングを狂わせて空振りさせられますから。



では、バッターは球のスピードをどうやって測るのか?

自分でも散々バッティング練習しているくせに、何故判らないのかと言われるかもしれませんが。

よく判りません。

目の前を通過されれば、ピッチャーの投げた瞬間からその間までを体感時間で判ります。

「手が出ない」と、思う瞬間でもありますが。

でも、速い球、遅い球、と判断してバットを振り出すときは、ボールはミートポイントまでの半分も来ていないでしょう。

ピッチャープレート-ホームベース間18.44m。

球速160km/hで約0.42秒、半分の距離9mで約0.2秒。

普通のピッチャーの球速110km/hで約0.6秒と約0.3秒。

実際はピッチャーはプレートより前でボールを離しますし、球速も初速と終速で違いますから正確ではありませんが。

バットを振り出そうとする位置にボールが来たとき。

そこまでの速い球と遅い球の時間の差はほんの少しでしかありません。

おそらく0コンマ00秒の差になるはずで、多分判らないでしょう。



おそらくバッターは、ボールの落差で速いか遅いかを判断していると思います。

これも当たり前の物理ですが、推力の発生しない飛翔物は重力にひかれて落下します。

ただし速度の速いものほど、遠くまで飛びます。

ピッチャー-バッター間の一定距離で見れば、遅いボールは落差が大きく、速いボールは落差が小さい。

ピッチャーはいろんなコースに投げ分けますが、何球か見ていれば大体見当が付くのでしょう。

おそらく過去に対戦したピッチャーの球筋も参考にするでしょう。

そこから速いか遅いかを体感で判断しているのだと思います。

ですが野球のピッチャーの投球に関しては、落差を決めるのは速度だけではありません。

もうひとつ、マグヌス効果、揚力が関係してくるのです。



除夜の鐘、百八つは人間の煩悩の数だと言います。

長いベースボール、野球の歴史の中の、数多のピッチャーの煩悩が詰まった百八つが「ボールの縫い目」です。

白いボールの2枚の革を縫い合わせた赤い糸の縫い目は、百八つあると「巨人の星」で言っておりました。

「本当かなあ」とか思いながら、手元にボールがあるのに数えようとしない私は横着者です。



野球の公式球は直径、重量はもちろん、反発力まで正確に規定されております。

何時だったか、ボールの品質検査の動画を見たことがあって、樋のようなところから次々とボールが下の大理石の板に落ちて行くシーンを覚えています。

同じように縫い目の高さも規定されているのだろうか。

サッカーなんかはボールの縫い方が結構変わっているみたいですが、多分野球のボールは変わらないでしょうし、変えられないでしょう。

一体成形のはずの軟式のゴムボールにも、縫い目を模した突起が付いています。

丸い平滑な球体に突出した縫い目が、ボールを変幻自在に操るピッチャーの魔法の種です。



マグヌス効果というのはライフルの弾丸の弾道研究から見つかったそうです。

当時のライフルの弾は球形で、多分まともに真っ直ぐに飛ばなかった。

ここからは流体力学ですからうろ覚えです。

流体の中の円柱では、円柱の後ろに乱流が無秩序に発生し、そこで負圧が生じて円柱を無秩序な方向に引っ張る、だったかな?

円柱が回転していれば、円柱後ろの乱流の発生もある程度抑えられる。

で、流体の中で円柱が回転すれば円柱の左右を流れる流体の速度に差が生じ、速い流体の側が負圧になってそちら方向に円柱を引っ張る。

負圧が投げられたボールの上で発生すれば、それは即ち揚力です。


挿絵(By みてみん)

ボールの回転とマグヌス効果


普通のピッチャーがオーバースローで投げれば、ボールの回転は上側に負圧が発生する方向になります。

縫い目による突起は、ボール表面の空気の流れを加速させ、発生する揚力を増やします。

流石に重力を打ち消すほどの揚力を発生させるのは無理みたいですが

で、このボールの回転数の多寡によって揚力の強さも変わります。

おそらくほんの少しでしょうが。

そのほんの少しで、重い球と軽い球が決まるのだと思います。



球速とマグヌス効果が組み合った落差。

速い球でも、ボールの回転数が小さく揚力の小さい球。

遅い球でも、ボールの回転数が大きく揚力の大きい球。

ふたつの球は同じ落差で、バッターからは同じ球速に見えるはずです。

上が重い球、下が軽い球、だろうと推測します。

ボールの回転数は、ピッチャーがボールをリリースする瞬間のボールを切る?速度で決まると思います。

後は、ボール背面の負圧の多寡も多少影響するでしょうか。



ここで少しボールの投げ方について説明します。

弱肩の私が投げ方を解説するのはおこがましいと思いますが。

弱肩だから苦労して研究して苦労したんです。

強肩のやつらに判るものか・・・・。

失礼しました。



まあ、言葉で説明するのは難しいので、絵で説明しますが。

いや、絵もうまく描けてる自信がないのですが。

私は外野手だったので、外野のクイックスローの投げ方になります。

まず、ボールをキャッチして直ぐ右手で握ります。

この時、ボールを正しく握れないとコントロールも距離も出ません。


挿絵(By みてみん)

ボールの握り方


少し不気味な絵ですが。

人差し指と中指の指先の腹で縫い目を抑えます。

この握り方は4シームと言われる、一番安定して真っ直ぐ飛ぶ握り方ですね。

野手のスローイングに変化球は必要ありません。

反対側の縫い目、ちょうどボール中心を通って真っ直ぐの位置の縫い目を親指の第一関節で抑えます。

これで力を入れてボールを握る事が出来ます。

スローイング時はボールを結構な速度で振り回しますので、しっかり握らないとすっぽ抜けます。


挿絵(By みてみん)

ボールの投げ方1 握る


グラブで抑えたボールを素早く正しく握る。

これが意外と難しくて、プロでも握り直す事がままあります。(そして焦って暴投する)

コツはグラブでキャッチした時に、左手でボールの向きを確認する事です。

グラブ越しですが慣れれば存外に判るもので、その向きに合わせて右手を突っ込みます。

図は正しくボールを握って、グラブから抜き取りながら右肩を引いた状態です。

左腕は省略。


挿絵(By みてみん)

ボールの投げ方2 振りかぶる


そのまま肩を回して投球動作に入ります。

腕は最小限の高さに上げて、ボールを握った手首、スナップは内側に目一杯曲げます。

この時、肩を先に回して肘を残す様にします。

「胸を張る」という言い方もしますか。

この状態は肩から先、腕、肘をたわませる、しならせているのです。



スローイングで速い球を投げるには、筋肉を速く動かすだけでは出来ません。

実は肩から先を普通は曲がらない方、曲げてはいけない方に無理に曲げる必要があります。

ちょうど弓がしなる様に、多分腕の骨か肘関節、肩関節をしならせて力を撓めます。


挿絵(By みてみん)

ボールの投げ方3 振り下ろす


充分に力が蓄えられた状態で、腕を振り下ろします。

単純に筋肉で速く動かした時より、格段に速く振り下ろせるはずです。

この時、手首も振り下ろす時の反動で目一杯外側に曲げます。

イメージとしては、鞭の先端がしなるように、です。


挿絵(By みてみん)

ボールの投げ方4 ボールを放す


で、充分スピードが乗った状態で指を開いてボールを放します。

この時の感じは、そうですね。

テニスのラケットにボールを載せて、振り回して遠心力というか慣性力でボールが貼り付いて落ちないようにしている、というか。

指を開いて直ぐ放すのではなく、人差し指と中指にくっつけたまま振り下ろし。


挿絵(By みてみん)

ボールの投げ方5 ボールを切る


最後に指先で押し出すようにして、ボールを切る。

手首を内側に振る時に、ボールの縫い目をひっかくというか、回転を与えます。

この回転がボールにマグヌスの力を与え、負圧を減らして、伸びる球になります。



ピッチャーが肩や肘を痛めるはずです。

速い球を投げるためには、腕を曲げてはいけない方に撓ませる必要があるのですから。

ところで、いい加減メジャーも間違いを認めるべきではないでしょうか。

何の話かというと、登板間隔の話です。

先発ピッチャーの登板間隔は、日本のプロ野球ですと中6日、登板した日から6日間休み、ですが、メジャーは中4日でしょう。

日本から行ったピッチャーは、野茂投手も含めて、慣れるのが大変、なんて日本のマスコミはのんきな事を言っていますが。

これ、ピッチャー壊していますよね。



スポーツ医学の理論武装で、球数制限やセットアッパー、クローザーなどの分業制で大丈夫という事になっているみたいですが。

実際にはトミージョン手術が大流行りで、多数のピッチャーがこれを受けています。

おそらくはメジャー拡張期、1961年の16チームから1998年の30チーム、でピッチャーの数が足りなくなったのでしょう。

大抵の場合、新しく加わったチームは良いピッチャーがいなくて悲惨な1年目を過ごしますし。

(日本では楽天の1年目が有名)

それでピッチャー節約策として中4日が流行ったのではないかな、と。

で、そのままピッチャーの数が抑えられるので(選手の給料が抑えられるので)続けている、と。

でも、長い目で見た場合、結局のところピッチャーの稼働率が低下しているでしょう。

球団のデメリットも大きいはずで。

(休業補償?故障中も給料は発生しているはずですから)

やめた方が良いと思います。

日本では何ともなかったダルビッシュ有投手や松坂大輔投手、田中将大投手が軒並み故障しているのですから。



さて、脇道から復帰して魔球の話。

ピッチャーの変化球の種は、前述したマグヌスの力と、ボール背面に発生する負圧です。

マグヌス効果は球状、円柱状のものに等しく平均的に発生しますが、野球のボールの場合縫い目の部分で大きく発生するのでしょう。

つまりマグヌス効果、揚力はボールの回転により縫い目が上に来た時は大きく、それ以外は小さくなる。

ボールは変動する揚力によって、上下に階段状に落ちながら飛んでいる事になります。

それでも4シームは60°、120°、60°と比較的連続して縫い目が来ますが、2シームになると360°に一回、それも大きなマグヌス効果がある事になります。

落差の変動が大きい。

2シームが揺れるボールと言われるのが判る気がします。


挿絵(By みてみん)

ボールの回転 4シーム、2シーム


4シーム、ストレートの究極と言われるボール。

それがライザー、ライズボールと言われるものです。

Wikiによるとソフトボールの球種の様ですが、ノーラン・ライアンやランディ・ジョンソンのような速球投手のストレートがそのように言われていたと思います。

球速が速く落差が小さい。

ボールの回転も強く揚力も大きい。

ボール背面に発生する負圧も小さく、球速の低下も小さい。

従ってボールが落ちない。

バッターから見ればホップしてくる、浮き上がってくるように見えたでしょう。

殆どのバッターが打てなかったと言います。


挿絵(By みてみん)

ボールの回転 ストレート


さて、普通のストレートと言われる球、直球が上の2種です。

回転軸は飛行方向に直角、地面に平行ですね。

回転方向は一塁側から見て時計回り。

これが逆の回転、反時計回りで下側に引力が発生する球がいわゆるドロップ、今は落ちるカーブでしょうか。

球速は落ちないのにスッと下に落ちていく、懸河のドロップです。

堀内投手の得意球でもありました。


挿絵(By みてみん)

ボールの回転 ドロップ


回転軸が地面に垂直になった場合、マグヌス効果はボールの左右に発生します。

上から見て反時計回りの場合、ボールは右バッターから逃げる方向に曲がる。

またはバッターにぶつかるコースから鋭くストライクコースをかすめる。

元祖変化球、カーブです。

もっとも肩口から入ってくるカーブはカモですが。

回転方向が時計回りの球はシュート、右バッターの懐に食い込んでくる。

曲がりが大きいシュートはバッターのお腹に当たる。

カミソリと言われる所以です。


挿絵(By みてみん)

ボールの回転 カーブ

挿絵(By みてみん)

ボールの回転 シュート


さて、人間の投げる球が正確に回転軸を垂直に、または平行に出来る訳がない。

微妙に傾いて回転する球はプラスアルファの変化をします。

例えばカーブの回転軸がピッチャーから見て微妙に左に傾いていたら。

曲がりながら落ちて行くでしょう。

さらにボールの回転の向きです。

これはピッチャーの握りによって変えられるものですが。

4シーム回転も2シーム回転も縫い目は進行方向にほぼ正対しています。

従って揚力は真上に発生するのですが、縫い目が進行方向に斜めになっていたら。

ボールに働く揚力は右斜めと左斜めに順繰りに働く。

揺れますね。


挿絵(By みてみん)

ボールの回転 揺れるボール


スライダーはテレビで見る限り、進行方向に平行な軸を中心に回転しています。

ライフルの弾と同じ回転向きですね。

この回転は基本的にボールの動きに干渉しません。

背面に発生する負圧を低減するぐらいでしょうか。

一時期、ジャイロボールとかも言われましたが、球速が上がる要素は存在しませんが。

投げられた時のままの球速で落下していきます。

マグヌスの力、揚力が働かない分、普通のストレートより落下率が大きいかもしれません。

そこから行くと、遅いボールと誤認させる、重いボールなのかもしれませんが。

さて、この回転軸も人間が投げるものですから、微妙に進行方向からずれますと。

ほんの少しのマグヌスの力が働く。

手元で変化するとか言われます。

普通のストレートの振りして、絶妙にバットの芯を外す。

まるで小悪魔のような、スライダーは凡打製造球だそうです。


挿絵(By みてみん)

ボールの回転 スライダー


さて、マグヌスの力によらない変化球もあります。

ボールの速度はピッチャーの手元を離れた時(初速)と、バッターのミートポイントに来た時(終速)と違います。

空気抵抗だけではありません。

いや、全部ひっくるめて空気抵抗と言うのだったかな?

とにかく、物理から行くと空気抵抗、抗力Dはこうなります。

D=1/2×ρ×V^2×S×Cd

ρは空気の密度、Vは球速、Sはボールの面積、Cdはボールの抗力係数。

ρはその日の天候や球場の環境によって変わりますが、ピッチャーによって変わるものではありません。

ボールの面積や抗力係数(半球は0.34だそうです)は一定。

従って抗力に関係するのは球速だけです。

つまり、二人のピッチャーが投げたボールが同じ150km/hならば、ボールにかかる抗力は同じ、減速率も同じ。

はずですが。

現実には違いますね。



この減速率をコントロールしてバッターを惑わすのが、チェンジアップとかスプリット、フォークボールです。

種はボール背面に発生する負圧の力です。

負圧の力が大きいと初速と終速の差が大きい、減速率が大きい。

ボールがいきなり止まったように感じる、とは堀内投手のチェンジアップについてのあるバッターの感想。

重力に引かれてボールが落ちる落下量がピッチャーの手元から途中までは小さく、そこからミートポイントまでは大きくなる。

つまり、手元でストンと落ちるのがスプリット、フォークボールです。

ドロップ、落ちるカーブのように球速が変わらないまま(比喩的な意味で)、鋭く曲がり落ちるのとは違います。

フォークボールはその名の通り、ボールを指二本で挟んで投げる。

腕と手首を充分使ってボールをスピードに乗せて、指の間からすっぽ抜けさせる。

そうしてボールの回転を小さくして、ボール背面の負圧の力を大きくして。

ボールにブレーキを掛ける。



まあ、投げたことも投げられたこともないので、あくまでも想像ですが。

野球中継で観ても、ボールの変化などよく判らない。

解説の人はよく判りますよね。

素人では実際にバッターボックスに立ってみないと判らないのでしょう。

ついでに。

Wikiに「球種」という項目があって、そこにはいろいろな変化球について解説が載っているのですが。

どうも、私の書いている物と食い違っているみたいです。

なので、眉に唾付けて読んで下さいね。

(いいのか、そんな無責任で)



そう言えば、テレビの野球中継に不満があったのでした。

今の野球中継の画像はセンター方向から撮っていますよね。

まあ、確かにバッターボックスのバッターの表情などが判っていいとは思いますが。

でも、バックネット裏からの画像も欲しい。

大昔の野球中継はそうだったそうです。

バッターの視線で、ピッチャーの投げる球を観てみたい。

できれば、バッターのヘルメット辺りにカメラを仕込んで貰えないでしょうか。

そうすれば、プロのピッチャーのボールの凄さも体感できます。

ボールの変化もよく判る。

なにより視聴者がバッター視点でゲームを観ることにより、バッターへの感情移入が容易になると思うのですけど。

余談でした。



チェンジアップもフォークボールも回転が遅くなるとは言え、なくなる訳ではありません。

完全に回転をなくしたボールがナックルです。

ナックルボーラーは普通のピッチャーとは、明確に違います。

まるでキャッチボールのように、ゆっくりと投げる。

あれ、ゆっくりに見えますが球速で言うと100km/hを越えているそうで、素人の草野球ピッチャーの全力ストレート程度には速いそうですが。

ですが、プロのバッターから見れば止まっているように見えるほど遅いです。

でも、打てない。

ナックルボールが来ると判っていて皆打てないそうです。

あれこそ、魔球でしょう。



魔球と変化球はどう違うか。

プロのバッターはどんな変化球だろうと、来ると判っていれば打てるそうです。

ですから、どんなに優れた変化球を持っていても、7色の変化球を操れたとしても、しっかり読みを外したとしても。

それだけではプロでは勝てないそうです。

最強の変化球はストレート、という言葉を聞いたことがありますが。

ある程度速いストレートを持っていて、それをバッターに常に意識させていないと変化球は効果がないそうです。

ヤクルトの安田投手は「ガンバレ!タブチくん」にも出てきましたが、当に多彩な変化球を自在に操る技巧派投手でした。

ですが、安田投手も「遅いストレートを速く見せる」事に苦労をしたと言っていたと思います。



変化球投手だろうと速いストレート(または速く見えるストレート)は必須。

でも速いストレートを投げるには、努力だけでは覆せない身体的才能が必要です。

プロとして、その身体的限界にぶつかった時。

ピッチャーを諦めるか、それとも・・・・・。

「巨人の星」の星飛雄馬投手も、「メイプル戦記」の芹沢桜子投手も、「野球狂の詩」の水原勇気投手も、身体的才能の限界にぶつかりました。

そして、彼らが選んだのは魔球でした。

魔球と変化球はどう違うのか。

魔球とは、来ると判っていても打てない必殺の変化球です。

多分、身体的才能に恵まれない、でもピッチャーが好きで諦められない人たちにとって。

最後の希望、と言えるものなのかもしれません。



ナックルボールは動画などで見ると、スローモーションじゃなくても縫い目がはっきり見えるほど回転しないボールですが。

実はごくゆっくり、ピッチャーからキャッチャーに届くまでの間にせいぜい1回転ほど、回転しているそうです。

ゆっくり回転して、右側に縫い目が飛び出すと、そこに空気抵抗かマグヌス力かが働いて曲がる。

そのまま回転していくと、今度は左側に縫い目が飛び出して、逆に曲がる。

つまり例えば、右に曲がったかと思うと、今度は左に曲がる。

それが不規則な回転次第で、不規則に起きるそうです。

なるほど、打てないし捕れない。



ですが、ナックルボールも打たれる時があります。

多分、うっかり回転が付きすぎてしまった時などでしょう。

そうなれば不規則な変化は起きない。

大リーグボール3号でもあるまいし、不規則変化をしないスローボールなんてトスバッテイングのボールです。

難なく打てるでしょう。

ナックルボールは微妙なバランスの上に成立している、ある意味儚い魔球なのかもしれません。



実際のところ、ある程度のスピードで投げるボールの回転をほぼ完全に止めるのは、凄く難しそうです。

ナックルの握り方は確か親指の反対側の3本の指、人差し指、中指、薬指をボールに突き立てるようにしてたはずです。

そしてリリースの瞬間にその3本の指でボールを弾く。

そうするとボールの回転が止まるそうですが。

弾く力加減やバランスなど、神業クラスかもしれません。

で、失敗したら為す術なく打たれる。



ナックルボールはその握り方からか、回転を止めるための微妙なコントロールのためか。

どうしても球速は遅くなります。

スピードを付けるために手首を撓らせて投げたら、あの握り方だと絶対すっぽ抜ける。

回転を止めるための微妙な制御は、手首を振り回したら出来ないのかもしれません。

でも、妄想したくなりませんか?

初速160km/hのナックルボール。

回転しないから、おそらく減速率はチェンジアップよりもフォークよりも大きいでしょう。

剛速球が手元に来て急ブレーキがかかり、ナックルのように不規則な変化をする。

投げ方はナックルの変形です。

ボールに立てる3本の指のうち、中指だけを伸ばしてボールを抑える。

で、手首を充分撓らせてストレートのように振り下ろして、リリースの瞬間人差し指と薬指でボールを弾いて回転を止める。

凄く難しそうですが。

投げられたら多分、最強の魔球です。



もし、投げられる人が出てくるとしたら。

その人はきっと、身体的才能に恵まれない人、もしかすると女の子かもしれません。

140km/h後半の速球を投げられるならばプロで充分やっていけますから、そういう人はこんな難しい球を練習しようとは思わないでしょう。

ですから160km/hの高速ナックルボールはないかもしれませんが。



1試合の最多奪三振記録は日本プロ野球では19,メジャーでは21です。

1試合の最多限界奪三振数は3アウト×9イニング、27個と思われるかもしれませんが実は違います。

例え9イニングで試合が終わったとしても(延長戦は参考記録になる可能性がありますが)、振り逃げがあればいくらでも増えます。

振り逃げは三振として記録されますから。

最強の魔球、高速ナックルボールはバットに当てる事も難しいボールです。

そして、捕手が捕球することも。

(ナックルボーラーが登板する時は、捕手はまるで外野手のようなミットで捕逸を防ごうとします。

それでも、1試合にいくつもパスボールするようですが。)



才能に恵まれなかった。

それでもピッチャーを諦めずに努力して、難しいボールを身に付けて。

誰にも破ることの出来ない奪三振記録を打ち立てる。

きっと、誰もが魅せられる、鮮烈なシーンになるでしょう。

どんな魔球だろうといつかは打たれる日が来ます。

でも、その瞬間は永遠です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ