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とりとめもなく  作者: nayuta
28/46

脇道11 :アルバイトロボット、または100万円ロボット

ロボットを作りましょう。

そう聞いて

「うおっ」とのけぞる人は、もういないと思いますが。



私が子供の頃は、ロボットがいっぱいでした。

サブカルチャーの中に。

アトムと鉄人28号を始めとして、エイトマンなど。

それ以降もマジンガーZやガンダム、ロボットは続々と出てきて。

そう言えば素敵な言葉があったな。

ゾイドでしたっけ、そのアニメ版の新聞の紹介記事の中に

「日本人にとって、ロボットは常に友だちだった。

手塚治虫の残した素晴らしい遺産である。」

だったかな。



ロボットSFの第一人者、アシモフは「ロボット3原則」を設定しました。

大抵のハード系のロボットものでは出てきます。

石ノ森章太郎の「ロボット刑事」でも出てきたかな?

でも、この「ロボット3原則」は、秋山瑞人氏の小説の中ではっきりと否定されています。

考えてみればその通りで、この「ロボット3原則」はロボットを縛る奴隷の首輪のようなものです。

これを日本の小説が否定した、というところに「ロボットは友だち」という日本人の意識があるような、ないような。

ヨーロッパではロボットに対しては「フランケンシュタイン・コンプレックス」があるみたいですね。

自分の被造物に襲われるという。



いきなり脇道に逸れて失礼しました。

これも題名の呪い・・・。

つまり、昔はロボットというものは空想の産物、実現性のないもので。

作ろう、などと言うと、のけぞられるほど驚かれるものでしたが。

現代では普通にロボットは実用化されていて、工場現場では既に四半世紀近く使われていますし。

ご家庭にもアイボや掃除機がおり、そのうち会社の受付当たりにも挨拶して、お話しして、身振りで案内するロボットが置かれるという事で。

何を今更、と思われるでしょう。

まあ、そうです。



だけれども良く見て下さい。

ロボットは普通に、どこにでもいますか?

街角やオフィス、店舗で見かけますか?

いませんよね。

今のロボットは、限られた空間、準備され整えられた空間にしかいられないのです。

または家庭内の愛玩ロボットか掃除機か。

私が提案するのは、日常生活の中に身近にいるロボットです。

人間と同じように人間のいる空間に普通にいて、人間と同じように生産活動の出来るロボットです。

謂わばアトムの世界にいるロボットです。



そういうものを目指して研究開発がされているのは知っています。

ホンダのアシモなどに代表される二足歩行ロボットですね。

現代の社会の道具や設備は、人間が使用する事を前提に作られています。

人間社会で働くロボットは、人間と同じ動きをする、人間の使う道具が使える方が使い勝手が良い。

人間を互換する、という目的で作られるならば、人間型を指向するのは正しい考え方だと思います。



ただ、私はここでひとつの疑義を呈します。

人間は、全ての仕事において、その肉体機能の全てを使っているでしょうか?

それは、一見肉体全てを使っているように見えるアスリートにおいても、です。



足を振り上げて踏み込み、腰は鋭く回して、肩と肘は力を撓め。

限界近くで振り下ろし、手首は離れる瞬間に素早く切り。

反対側の腕は思い切り身体に引きつけて。

野球のピッチャーは五体を思い切り躍動させますが、実はこれ、手に掴んだものを早く動かすため、だけのものです。

バッティング練習用のピッチングマシーンというものが存在します。

近頃は余り見かけなくなりましたが、バッティングセンターというゴルフの打ちっぱなしのような娯楽施設にも置かれているような割かし安価なもので。

要は機械から突き出した回転する棒に腕が付いていまして、その先に保持したボールが腕の回転に合わせて撃ち出されるものです。

機械によっては生身の身体では難しい160km/hのボールも投げる事が出来るそうで。

つまり、人間が五体全てを使っているピッチングといえど、機械的に分解すれば至極単純な作業だという事です。


挿絵(By みてみん)


人間の行う肉体作業の殆どは手、腕アームではなく、手ハンドで行われています。

まあ、偏見が入っているかもしれませんが。

理論的に証明するには人間工学の面から研究しなければならないのでしょうけれど。

今まで私が目にしてきた人様の仕事の風景から判断すると、そう考えられます。

せいぜい、他には足首がペダルを踏むときに使われているぐらいですね。

それでも、車や飛行機の運転や操縦、ミシン操作、ピアノ演奏ぐらいしか思いつかないのですが。

それ以外には家事も、倉庫業務も、港湾業務も、事務仕事も。

思いつく限り手ハンド以外の肉体の部位を使って仕事している例を知りません。

皆さんには、これは違うだろ、という仕事の心当たりありますか?



これに気づいたとき、同時に

「ロボットってそんなに難しいものか?」とも、思いました。

つまり、人間の仕事の代替をさせるロボットに要求されるものは。

手ハンドの性能と、手を指定の位置に運び、動かす機構。

だけという事です。

おそらく、これだけで人間の肉体作業の殆どは代替できる。



手ハンドという物は、確かに人間の手と同じ動きをしなければなりません。

徹底的に模倣しないとダメでしょう。

でも、手を運ぶ部分は生物的では無くても良いのでは?

機械的手段で充分でしょう。



昔、生産技術の人間と大げんかをした事があります。

まあ、生産の自動化において、機械に人間の作業動作を模倣させようとするそいつに、

「馬鹿か。

機械には機械の動きがあるだろう。」

と言って、大げんかになりました。

まあ、そうですよね。

言い方というものがありますが。

でも、私の方が正しい。(ドヤ)



簡単な例で言えば、荷物を運ぶ、という事を考えます。

人間は手や肩に荷物を保持して、2本の足で歩いて運ぶ。

家畜は背に荷物をくくりつけて、4本の足で歩いて運ぶ。

なら、人間や家畜以外、人工物を使って荷物を運ぶには。

生物の動きを模倣して作るならば、足が必要になる。

でも、21世紀現在、生物の足の動きを正確に模倣できていませんよね。

なら、人類は人工物で荷物を運べていないかというと。

車輪というすこぶる簡単な道具を使っています。

車輪は生物には絶対出来ない構造です。

人間の首は左右90°、計180°程度しか回転しない。

ミミズクなどは真後ろを見られるそうですが、それでも左右180°、計360°が限界な訳で。

無限に回転する車輪などというものは、生物の構造上不可能なものの訳です。

もっとも、SFの中には車輪を持つ生物が出てきたりします。

ハードSFの第一人者、石原藤夫氏の「ハイウェイ惑星」は傑作です。



他にも、掴む、という動作を機械的に行うとすれば。

人間の指のようにチャックで保持する方法もありますが。

バキュームで吸い付けるとか、電磁石で貼り付けるとか、機械ならではの方法がいくらでもあります。

これが機械的です。

少なくとも私は、磁力を発生させて物を吸い寄せる生物を知りません。

バキュームの方は、まあタコの吸盤などが該当しそうですが。

つまり機械的な構造を導入すれば、ロボットというものも意外に簡単に出来るのではないか、そう考えた訳です。



なのでまあ、手ハンドを運ぶものとして、人体の動きを機械的に置き換えてみたところ。

本体の移動は、人間や生物は足ですが、これは車輪で良いでしょう。

倒れないようにするには、車輪部分にジャッキを組み込んで。

膝、腰を曲げて行う上下動は、エレベータ機構で良いかな。

腰のひねりはエレベータ部分に回転機構を組み込みます。

人間の肩関節は球状関節で、肩を中心に360°、ほぼ全球に近い範囲にアクセス可能ですが。

んなもの、ヒンジを2つ組み合わせれば簡単に出来ます。

手と肩の距離の調整は、肘を曲げて行いますが、これはシリンダーとピストンで代用できます。

手首の動きはやはり2つのヒンジを組み合わせて。

で、まあ、出来たのがこれです。


挿絵(By みてみん)


各部の構造自体は、それこそ技術的に枯れきった物でしょう。

フォークリフトやクレーン、またはジャッキなどに散々使われ続けてきた物です。

または精密工作機械や産業用ロボットにも、いろんな型式の物が採用されているでしょう。

新しい技術やブレークスルーは必要ありません。

もし課題があるとしたら精度と出力とコストでしょうが、おそらく量産化レベルの課題だろうと思います。


挿絵(By みてみん)


駆動は基本的に電動モータです。

ステッピングモーターとウォームギヤで充分かな。

人間並みの力、最大でも100kgを出せれば良いでしょう。

ただし、動き自体は等速度ではなく。

サインカーブ?正規分布曲線?のように、動き出しはゆっくりで徐々に速度を上げてゆっくり減速して止まる。

ビルのエレベーターがこのような動きだそうですが。

そのように動かさないと、保持したものが壊れたり倒れたりします。



さて、肉体というかハード面はこのような形で安く作れるでしょうが、制御面、ソフトはどうするか。

もちろん、ハード面だけでは人間の代替はできません。

人間にはこれらの機構をコントロールする機能がある。

具体的には視覚、聴覚を主とする感覚器官と、その情報を元に機構を作動させる指令システム、結果を観測し指令システムを改善するフィードバックシステムなどがあります。

でも、そろそろこれらをカバーできるAI、人工知能が出来てきていますよね。

ならば、ロボットも出来るのではないか、まあそう考えたわけです。



このロボットのコンセプトは

「アルバイトを雇うように導入できるロボット」

表題のアルバイトロボットの意味は、これです。

もうひとつの意味。

製造原価、100万円。

現在開発中の二足歩行ロボットに代表される人間互換ロボットは、人間に出来ない事をさせるのが目的のようですが。

普通に人間並みの能力で、人間と同じ事をするロボット、寧ろ人間と同じ事しか出来ないロボットが目標です。



さてここで、もうひとつの課題が出てきます。

コンセプトはアルバイトを雇うように、どこででも使えるロボットです。

つまり、専門のオペレーターはいないものとして考えなければなりません。

仕事を教えてくれるのはアルバイトの先輩であったり、店主のおっさんであったり、パートのおばちゃんだったりする訳です。

彼らが人間のアルバイトに教えるレベルの指導で、アルバイトロボットは仕事が出来るようにならなければならない。

でなければ、アルバイトの代替にはならないのです。



まあ、そこら辺は私は詳しくないのでAI人工知能の研究家に丸投げですが。

丸投げですが、投げる前に少しは考えてみますと。



まず、位置情報は確保しなければならないでしょう。

移動するにおいては基準点の設定は必須です。

GPSや携帯電話の基地局をランドマークにして、北緯、東経、海抜を算出しておく。

次にフィールド情報の取得と空間の把握。

仕事場に着いたら部屋の内部を全て、CCDカメラとレーザー測距具で測定する。

自分が働く空間を3次元で構築して、動けるエリアを規定する。

ものにぶつからずに動けるルートはどこか、自分の手ハンドが届く範囲はどこか。

床面の状態も把握して、通過時のサスペンションの動きを決めておく。

細かな凹凸、床面の傾き、または滑りやすさ、摩擦係数など。



事前情報を蓄積しておかなければならないでしょう。

厨房の手伝いをさせるならば、例えば包丁とはなにか、まな板とは、サツマイモとは。

CCDカメラで捉えた映像と測距儀で測った大きさなどをデータバンクに登録しておき。実際の作業時には視覚情報から、それらを認識出来るようにしなければなりません。

サツマイモを切る、という動作はどういう動作か。

最初のうちは人間が動作を教える必要があるでしょう。

例えば手首や指にマーカーを埋め込んだ手袋をはめて、実際に人間がサツマイモを切る。

モーションキャプチャーを使えば、同じ動作をなぞる事は可能です。

それらのデータもあらかじめデータバンクに蓄積しておく必要があります。



それらの情報を集めて最適な作業ルーチンを割り出す。

後は蓄積です。

経験を積んでいくほど作業ルーチンは洗練されていくはずです。

最初は特定の業種から。

例えば”厨房の手伝い”などから始めれば、開発会社の社員食堂などでデータが蓄積できます。

まあ、思いついた事はこれぐらいで、後は本当にAI人工知能の専門家に投げます。

これはAI人工知能の研究にも役立つはずです。

なんせ、実際に動いて働く実例が存在する事になる訳ですから。

理論の実証など、簡単に出来るようになるでしょう。



そうして作業ルーチンの構築方法がある程度規格化されたら、後は民間というかソフトメーカーに任せます。

彼らはいろんな業種の作業用ソフトを開発してくれるでしょう。

そうしてそれらのソフトと抱き合わせで各業種に売り込みを図る。

コンビニ店員ソフトとロボット。

宅配業の倉庫管理ソフトとロボット。

そのうちマグロ漁船船員ソフトとロボットも作られるかもしれません。



基本的にロボットには高性能なコンピュータは載せません。

AI人工知能は元となるサーバーに載せ、各ロボットはネットで結合します。

100万円ロボットに高度なCPUを載せられるはずがないです。

電源、並び情報処理用に有線でつなぐか、または蓄電池と無線LANでつなぐかは業務環境次第です。



ロボットに搭載するセンサーはどうしましょうか。

現在の工場用生産ロボットは、基本的に情報取得なしで動いているはずです。

目も耳も効かない人が、手探りというか、決められた動作を反復しているようなものです。

外部情報を得て動作を判断するアルバイトロボットでは、それらを得る手段は必須です。

一応、視覚情報(可視光だけでなく赤外線なども含む)と聴覚情報(こちらも可聴領域だけでなく)を取得する装置を載せてみました。

それと、人間は複眼で対象までの距離を測定していますので、測距儀レーザーでしょうかを併せて搭載しました。

腕部に付けてあるのは、手ハンドが捉える対象までの距離を正確に測定するためです。



各関節部の可動量はきちんと測定できるように。

右肩関節は何度回したか、シリンダーは何ミリ伸ばしたか。

この値を作動ごとにきちんと測定し、フィードバックする必要があります。

人間にはそういう肉体各部の稼働状況のフィードバックセンサー、神経があります。

例えば暗闇、何も見えない状態で手を動かしたとして、自分の手が大体どこら辺にあるか判るでしょう。

それはこの神経のおかげです。



例えば目の前のものを掴む。

対象の位置は視覚で捉えて判りますね。

もちろん正確な数値など判らないでしょうが、仮に水平方向で左10°、垂直方向で下8°、距離350mmとして。

この情報を元にして左肩関節が腕を動かすわけです。

同時に左肘を伸ばして腕を伸ばす。

どこをどの程度、動かせば良いか。

人間は経験の蓄積により、正確な動かす量、作動量を決める事ができる。

経験の蓄積とは、人間が自分の身体をどれだけ動かしたかのデータです。

人間は、特にアスリートはこのデータを大量に蓄積する事により、一連の動きを正確にする事が出来る。

トレーニング、反復練習とはそういう意味を持ちます。

ロボットにも可動量センサーは必須です。



手のひらと指には感圧センサーが必要でしょう。

感圧センサーがないと握った物を握りつぶしたり、手から滑り落としてしまいます。

卵を潰さないように、重い鉄の棒を滑り落とさないように。

微妙な制御が出来ないと、人間の仕事は出来ません。

まあ、人間の中にも不器用な人はいますが。

手のひらと指には弾力性のある、出来ればエアクッションのようなものを使うのでしょうか。

でも表面の皮というか接触面がずれたりすると、精密な操作ができなくなりますし。

まあ、いろいろな素材でテストを繰り返すしかないでしょうか。



後、大事なものは脚部です。

1.7mのものを安定して立たせておくためには、広い土台というかベースが必要ですが。

人間のベースは実に狭い面積しかありません。

足の大きさが27cmの人の場合、両足揃えるとせいぜい30cm四方程度の面積でしょうか。

通常だと、ちょっとバランスが崩れただけで簡単に転倒します。

人形を立たせようとしたら直ぐに判ります。

人間はその狭いベースを、半ば無意識の脚部や腰部の動きで重心位置を調整して転倒を防いでいる訳ですが。

同様の事がロボットにも求められます。

素案のロボットは直径60cmのベースですが、これでも転倒防止にはぎりぎりでしょう。

ですが、これだと人間のベースの倍以上の大きさがあり、人間が入れるけれどロボットは入れない、という場所が出てきてしまいます。

つまり人間の代わりが出来ない場面も出てくるという事です。

床一面にものが散らかっていて空いてるところがない、などという仕事場は論外ですが。

狭い場所での仕事はいくらでもあります。



バランスセンサーとフィードバックシステムは、やはり不可欠でしょうね。

2足歩行ロボットでも研究されている高価なシステムの様ですが。

レーザージャイロのようなものが装備されているのでしょうか。

実際のバランスコントロールは、中央の動輪を囲む4つの従輪を使うことになります。

従輪に上下動可能なジャッキシステムを組み込んで、常に上下動させながら重心位置を調整し続ける。

何かがぶつかってきたときにも、とっさに重心を衝撃方向に動かして転倒を防ぐとか。

後、重量物を手で持って運搬しようとする場合、何もしなければ重心が前に動いて前かがりに倒れます。

従輪の高さを調整して本体が後傾してバランスを取れるようにしないと、重量物が運搬できなくなります。



作業を行う手ハンド部分はアタッチメント方式にするのは、まあ当然でしょう。

一番酷使される部分ですから。

損傷、疲労、汚染、焼損などに応じて交換、または修理。

それ以外にも作業に応じて、大きい手、細い手、繊細な手、力のある手、などに交換して使えます。

まあ、指は5本でしょうねえ。

「がんばれ!!タブチくん!!」の中でヤスダ投手が8本指手袋で摩訶不思議な魔球を投げたりしていましたが、普通の人間には無理でしょう。

建築などの道具を使う業務では、手ハンドの代わりに直に道具を取り付ける方が良いかもしれません。

ドリルハンドは何処かしらの人々にアピールしそうですが。



どちらかというと4本腕の方が使えそうです。

素案では胴体はひとつですが、その下にもうひとつ胴体を入れる余地があります。

腕が4本あれば、下側の両腕で被加工物を保持して、上側の両腕で加工ができます。

溶接なんかも対象物を万力などに固定する必要がなくそのまま溶接が出来ます。

他にもお魚を下腕で持って、上腕の包丁で捌くとか。

荷物を両腕に持ってドアを開けるときは、普通は足を使いますが(普通か?)ノブを足で回すのはテクニックが必要で・・・・・。

腕が4本あるのはきっと楽です。



まあ、業務に応じ作業に応じて、いろいろなパーツや型式が考案され使われていくでしょう。

ある程度の拡散は仕方ありませんが、時期を見て規格化をするべきでしょうね。

規格を抑えるという事は、その業種を主導できるという事です。

主導権は、渡してはいけません。



さて、何のためにアルバイトロボットを作るべきか?

需要はあるのか?

将来の展望は?

プレゼンなどでは最も最初に話すべき内容ですね。

つい面白くて技術面を先にしてしまいました。

でもまあ、アルバイトロボットの実現の可能性を説明しておかないと。

話をしても無意味というか、プレゼンなどでは聞いても貰えないでしょう。



お判りだと思いますが、アルバイトロボットの目的は少子高齢化に伴う労働人口の低下を補うためです。

労働人口の低下に対して、工場やオフィスなどでは自動化、OA化で対処してきましたが、それでは対処できないところがあるでしょう。

SFなどでは喫茶店で食事を頼むと、テーブルから料理が出てきたりしますが。

現実にあれを行おうと思うと、床下に搬送路を設置しテーブルと厨房にはエレベータ、と大規模な設備が必要です。

普通の店舗で簡単に出来る物ではありませんし、これからの将来においても出来るようにはならないでしょう。

寧ろドローンが運んでくる未来が見える?



人間の行う肉体労働を、装置による自動化で補うのには限界があります。

人間が行うしかない労働、作業、業務というものはどうしても残るのでしょう。

小規模店舗、コンビニなどや、農作業などなど。

かつては学生アルバイトなどが、現在は外国人労働者や主婦などがそれを充当していますが、いずれ限界がきます。

外国人労働者も帰化する、または故国の経済が発展して仕事口が見つかるなどして、減少、または高給化するでしょう。

単純労働の人間の担い手は、そのうちいなくなると覚悟しておいた方が良い。

なのでロボットです。

製造原価100万円、売価200万円程度、ランニングコスト50万円/年ならば、ちょっとした乗用車と同じ価格です。

小規模経営者や店舗のオーナーにも充分手が出ます。

大規模な店舗の改修などは必要ありません。

そしておそらく、人間を雇うよりコストダウンにもなるでしょう。

ロボットは食事もしなければ休憩も必要なく通勤もしません。



経済政策面から述べれば、アルバイトロボットの開発はロボット産業を大きく育てるためです。

コンピュータの発展の経緯を知っていれば判ると思いますが。

ある物の性能を高めるためには、市場を大きく、つまり裾野を広げる必要があります。

廉価版というか普及型というか、そういうものが大勢の人に使われなければなりません。

コンピュータが開発されていた当時、この機械は特別なものとして開発されていたでしょう。

元は砲弾の弾道計算のために開発されたと聞いていますが、そういう高度な計算にしか使えない、一般人には無縁の物、と考えられていたはずです。



だってそうでしょう。

一般人の生活に、コンピュータなんていう高機能なアイテムなど必要なかったのですから。

それがパーソナルコンピュータとして市販され、インターネット環境が整えられ、各種ゲームが発売され、ワープロ、表計算ソフトと充実し。

現在では、パソコンのない生活が考えられないほどになりました。

この裾野があって始めて、量子コンピュータや富嶽などの先端技術が開発できるようになったのです。

パソコンがなければ。

おそらく予算も人材も設備も、今とは比べものにならないほど惨めなものになっていたはずです。



今のロボット開発を見ていると、かつてのコンピュータ開発の時と同じように先端技術、特殊用途用にしか考えていないように見えます。

確かに、ロボットの特徴を生かそうとしたらそうなるでしょう。

でも、それだと産業として活性化しない。

普及型、パーソナルなもの、産業の底辺を支えるもの、一般人に使えるもの、身近なもの。

今のロボット開発は、こういう面での開発を疎かにしているように思えます。

というより、産業政策面の認識違いでしょうか。

こういうの、アメリカのベンチャーが得意そうなので気をつけないと。

T型フォードやウィンドウズでも判るように、その産業の主流を獲るのは高機能なものより低価格なパーソナル品です。



後、ロボットが普及すれば、人間社会の方も準備が進むようになる。

自動車が人間社会に入ってきたとき、道路交通法や自賠責保険など、いろいろな社会システムが必要になりました。

ロボットも同じでしょう。

ロボットを人間社会に受け入れ有効に使うためには、それなりの社会システムが必要になるはずです。

まずは簡単なロボットから。

それが社会に浸透するにつれて、徐々に社会システムも整備していって。

必要な議論も充分積み重ねて。

こうして社会環境を整えておかないと、いざ高性能で高機能のロボットが社会に出てきても有効に使えなくなる怖れがあります。

それを怠ると・・・・、原子力船「むつ」は結局どうなりましたか?



ロボット産業は発展してくれないと困ります。

これから先、リサイクル事業が最も重要視されるでしょう。

なにしろ人口の爆発が起きており、世界の資源が枯渇するのは目に見えていますから。

リサイクル事業は単純作業、労働集約型産業です。

人間は今まで、本当に無秩序に、いろんなもの作りまくりましたからねえ。

装置、設備で対応しようにも種類が多すぎて無理でしょう。

どうしても人間が臨機応変に身体を使う必要がある。



食品のプラスチックトレイの分別に、コンベアの両側で人間が働いているのを見た事があります。

今はまるで手つかずですが、そのうち都市鉱山の採掘もしなければならないでしょう。

都市鉱山、かつてはゴミを埋め立てた場所には各種金属を始めとしたいろんな資源が眠っています。

パソコン類を埋めた場所は、下手な金鉱山より金の含有量が多い、という話を聞いた事があります。

ブルドーザーなどの重機では到底対処できない細やかな作業、人間と同じ作業ができるロボットが必要です。



ロボットは人間の友だち。

だから人間のピンチに立ち上がって欲しい。

この日本のどこかにいるであろうお茶の水博士、よろしくお願いします。


書き溜めがなくなったので、一応完結です。

ここまで読んでいただきまして、ありがとうございます。


次のテーマは「軍艦をデザインする」です。

ちょっと「戦艦大和」に挑戦してみようかと。

まあ、読まなければいけない本も描いとくものも一杯あるので、連載再開が何時になるか判りませんが。

それよりエタらないかの方が心配です。


まあ、とりとめもなく書いていくことにします。

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