脇道8 :太陽光発電について
郊外に向けて電車に乗りますと、広い空き地に太陽光発電パネルがいっぱい設置されていて、ああ、ご苦労様だなあと思います。
近頃は民家の屋根にも太陽光パネルが設置されているのをよく見かけます。
以前は屋根に設置されていたのは温水パネルでした。
パネルに水を溜めておくと太陽光で温められて、温水になりお風呂なんかに使える。
燃料代が節約できる。
あれ、採算はどうなっていたのでしょうね。
水をあの高さまで持ち上げるには、普通の水道の圧力だけでは無理じゃないかなあ。
二階建てだと一階の水回りから絶対に揚水できない。
揚水用の別売りポンプでも付けていたのだろうか。
まさかバケツで運んだという事はないでしょうが。
パネル代と節約燃料費で採算計算(少なくともパネルメーカーは)したとしても、他の諸経費込みだと赤字じゃなかったかな?
太陽光発電も似たような状況だと思っています。
国や各地方自治体は助成金を出して普及に努めていますが、あれ助成金を織り込まないと赤字、採算割れというところで事業としては破綻しています。
多分、CO2排出抑制を進めているぞ、という国としてのポーズでしょう。
本当に効果があるほど太陽光発電が普及したら、おそらく助成金で国庫や地方自治体の財政は破綻するのでは?
ですので、助成金申請の審査段階で数量を調整しているのではないでしょうか。
本気で普及させるならわざわざ助成金申請などさせずに、パネルメーカーの方に報奨金出して価格を割り引かせれば良い。
一部の安売り店の常套手段ですね。
カメラは相当するのかな?
一定数以上販売するとメーカーから報奨金が出る。
その報奨金分を価格に割り当てて、割引して安く売る。
小規模店では絶対使えない手で、でも効果があるからメーカーは続けて、そのせいで小規模店が絶滅危惧種になりかけていますが。
現在の太陽光発電の変換効率は、どのようになっていたでしょうか?
シャープのインジウムガリウムヒ素太陽電池が35.8%で世界最高とありますね。(Wiki情報)
他は軒並み10~20%程度でしょうか。
ざっとWikiの太陽電池の項を読んでみたのですが。
これはどうしようもないかも。
技術が沸騰して発展している真っ最中ですね。
これ、下手に手を出したら大やけどだ。
最終的には最も有力な技術が主流になって、他は淘汰されると思いますが。
有力な技術の目処が付かない状況で下手にベッドしたら、つまり一部に集中して補助金や開発援助をしたりしたら、技術開発の足を引っ張りかねない。
専門学校でも有力な研究などしている。
これは様子見でしょうか。
発展している方向として、材料系。
シリコン主体からレアメタル使用の無機系、それから有機系が出てきて、まだ使えそうなものがありそう。
製造方法もシリコンウェハーを切り出す方法から、カスシリコン使った廉価版、液体から蒸着、メッキまで。
表面形状を工夫して、受けた太陽光を数回反射させてエネルギーを絞り尽くすライトトラッピング技術。
それ以外にも柔軟性など使い勝手から。
高温や耐水などの環境に耐える性能、光を受けて劣化しない性能など。
なまじ使い勝手が良い物だから研究開発されたものも、すぐ需要が発見されて量産化されます。
発展という意味では良いのですが。
もう少し様子を見た方がいいのかなあ。
でも、そろそろ本格的に行かないとまずい気がする。
いい加減、化石燃料の使用をやめないと取り返しが付かなくなります。
まあ、これについては後述します。
国としてきちんと目標を決めて動かないと。
環境省と経済産業省あたりでしょうか、主体は。
後は文部科学省と農林水産省かなあ。
目標としては現在の発電システムの置き換え。
日本国内の現状の電力需要の70%程度は賄えるように。
どうせこれから電力需要は右肩上がりで増大します。
達成した頃には多分、半分も賄えればいい程度に電力需要は膨らんでいると思います。
国としての太陽光発電パネルのガイドラインを決めておきましょう。
屋外設置型。
日本の環境下において20年は劣化しない事。
変換効率は晴天時、50%は欲しいところですけどね。
現状は30%が良いところでしょう。
多分、これでも現在の技術だとぎりぎりでしょうね。
コストは1m四方のパネル、発電面積0.9m四方でパネル代1万円以下。
という感じで。
はっきりと普及目的の太陽光発電パネルの仕様を決めて、各社に開発を指示しましょう。
そうして太陽光発電パネルの目処が付いたら、本気で普及を進めましょうね。
私が、国は太陽光発電の普及に本気ではない、排出抑制の社会圧力に対するポーズである、と判断するのは有力な2業種への協力要請をしていないからです。
太陽光発電で大規模発電をするために必要なものは、大量のパネルを設置するための土地です。
もちろんパネルの性能とコストの問題もありますが、最終的にはパネルの量が必要です。
数億枚というパネルに、充分な太陽光を当てるための上が開けた広い土地。
少々の空き地じゃ無理なのは判るでしょう。
ところが、日本には(日本だけではないですが)膨大な土地を所有する2つの業種があります。
そこが土地を提供してくれたら、設置場所の問題など直ぐ解決する。
それをしていないという事は、まだ太陽光発電に本腰入れる状況にはない、と国は判断していると思うのです。
まあ、もしかしたら私の思い込みで実は気がついていない(それはそれで問題ですが)という可能性もありますが。
膨大な土地持ちの2業種というのは鉄道と道路。
駅前の土地とかサービスエリアの土地とかではありませんよ。
ずばり線路と道路の上です。
お近くに鉄道の踏切がありますか?
何気なく渡っている踏切。
あの踏切部分の面積だけで結構大きな家が建ちます。
そんな土地が延々、数千キロと続いているのが鉄道というものです。
道路公団。
首都高や大阪、名古屋環状線。
東名、名神、中央。
僅か数秒で走り抜ける部分だけで50軒ぐらいの家は軽く建てられます。
サービスエリアは下手したらサッカーグラウンドぐらいの面積あるのじゃないかなあ。
凄い土地持ちでしょう。
鉄道は大抵の路線で電化されていて、架線を吊す鉄柱が延々立っていますね。
あの鉄柱同士をフレームで結んで上にパネルを並べる事は可能でしょう。
関越自動車道や圏央道を通った事がありますか?
関越だと高坂SAの近くに、道路の上が金属の網で覆われた場所があります。
何でも近くのゴルフ場から下手くそが打ったゴルフボールが道路に飛び込まないように(下手くそ、でしょうね。まさか道路の上にコースがあるとは思えない。)するための覆いだそうですが。
たかがゴルフボールぐらいであれが作れるならば、同じような構造で上に太陽光発電パネルを並べる事はできるでしょう。
2つの業種は公益性が高い業種です。
つまり地球環境のため、または国の施策のために土地の提供を依頼したら応じてくれるでしょう。
特にデメリットはありませんし。
鉄道線路に延々、太陽光パネルの屋根ができる。
まあ、撮り鉄には不評かもしれませんが。
鉄道にとっては発電以外のメリットがあるでしょう。
電化された路線には架線があり、それはむき出しで電気が流れている。
電気物は本来は水厳禁なのですが、実際には風雨にさらされるしかなく。
それなりの対策をしているから運用できているのでしょうが、屋根が出来て水がかからないようになればいろいろ良くなるのではないでしょうか?
パネルを並べる屋根には、冬季雪が積もるところもある。
下手な作り方をすれば雪の重みで潰れることもあるでしょうが、きちんとスロープや雪排出路などを整備すれば、線路への積雪防止に使えます。
即ち雪による運転見合わせがなくなります。
昔、雪が降るとターミナル駅近くの線路では、沢山ある切り替えポイントが凍らないようにオイルランプを各ポイント下に置いて温めていたものでした。
夜、雪明かりの中に沢山の火がちらちらと揺れて、それは綺麗でしたが。
あれ、保線の人は大変だったろうなあ。
屋根が出来ればそういう事はなくなります。
道路も同じですね。
特に高速道路の積雪はチェーン規制やスノータイヤ制限など運行管理が大変になりますし、除雪費用も馬鹿にならないでしょう。
雪道運転が危険なのは言うまでもなく、慣れない人はのろのろ運転になる。
北海道の高速道路などでは積雪は良くある事で。
現地の人は限界が判っていて平気でスピードを出しますが、本州から行った人は怖くてまともに運転できない。
冬場の北海道の高速での玉突き事故は、大抵原因は本州の人だそうです。
(昔、ガソリンスタンドで聞いただけですが)
屋根を付ければそれが解決する。
積雪対策のためだけに屋根を付けるのはコスト的にも効率的にも無意味でしょうが、太陽光発電パネル設置に併せて、となれば現実味があります。
発電自体にも意義があります。
鉄道はもちろん、電車の運行に自社発電の電気が使えるようになりますね。
JR東日本はちゃっかり自社用の水力発電ダムを持っているようですが、そういう鉄道会社ばかりではないでしょう。
他は少なからず火力発電された電気を電気会社から購入しているはずです。
それが自社で賄えるようになるのは大きいはずです。
道路公団もそう。
今後、電気自動車が増えていくでしょう。
サービスエリアでの給電施設の増強は必須であり、それには自社発電で電気の供給元を確保できていれば整備はそれほど難しくないはずです。
それ以外にも道路照明などで大量の電気を使っていませんか?
そこら辺が自社発電で賄えます。
まあ、ここら辺が太陽光発電本格化の未来図ですが。
まだ、モデルケースの話も聞きませんから先の話かなあ。
首都高の一部で始めたとか、ゆりかもめの上に付けたとか、そういうモデルケースが出来てきても良いのですが。
やはりパネルの性能がネックでしょうか。
なのでいち早く設置して、先駆け、または捨て石?になって下さっている方々に対して、ご苦労様と思ってしまいます。
実際問題として、発電事業は大規模装置産業なので個人がするような事ではないのです。
線路や道路以外にも、市街地に大きなフレームというかそんなものを家屋の上に設置して太陽光発電パネルを設置する、という方法も採れます。
パネルシティ、とでも呼びましょうか。
この場合、権利の問題、家屋の上の空間の所有権をどう認めるかという問題、が複雑になると思うので簡単ではないでしょうが。
ただ、間違っても日照が必要な農地や山林に安易にパネルを設置しないように。
今後、必要になってくるのは電気だけではありません。
食糧もです。
化石燃料の使用については次回に書きます。




