9.日本はなぜ太平洋戦争をしたのか。 朝鮮半島と日露戦争の戦後のこと
疑問のもうひとつが、朝鮮半島の事です。
朝鮮半島をロシアに渡すと、本当に日本は危なくなるのか?
日本の干渉というと具体的には江華島事件当たりからになるでしょうか。
日本は明治維新で政権が変わり、その挨拶を兼ねて李氏朝鮮に国書を送りました。
江戸時代からの国交はあったのですが、複数回送った国書はそのたびに受け取りを拒否されました。
その頑なな朝鮮政府の姿勢を変えさせるため、朝鮮版黒船と言うべき江華島事件を引き起こし、日朝修好条規、通称江華島条約を締結しました。
謂わばペリーを上回る強引さで朝鮮政府の横面を張り飛ばし、むりやり開国させたわけですが。
やってなかったらどうなったか?
国書受け取り拒否のまま、国交を結ばずそのまま放置していたらどうなっていたか?
現代21世紀の韓国では、現在の韓国の状態は日本が朝鮮半島に干渉したせいだ、という意見があるそうですね。
日本が朝鮮半島に干渉していなかったら、朝鮮半島は自力で近代化を達成し現在より優れた国家になっていたそうです。
ぜひ、やっていただきたかった。
本気でそう思っているのなら、証明してくれませんか?
世界中の近代アジア史の歴史学者に、論文と言う形で証明して貰えばいいでしょう。
論文募集。
テーマ:日本が江華島事件を起こさず以降の干渉も一切行わなかったら、21世紀の時点で朝鮮半島はどうなっていたか。
どこかの財団当たりが賞金を出してやってくれないだろうか。
韓国の人は、日本人は朝鮮半島を欲しがっている、という妄想を抱いているようですがそんなのウルトラマンの常識、より非常識です。
注)ウルトラマンの常識:
なぜ、毎週怪獣は日本に来るの?
日本が地球で一番いい国だからさ。
朝鮮半島のどこに領有するメリットがあるのでしょう。
穀倉地帯というわけでもなく、レアメタルのような希少金属が採掘できるわけでもなく。
壬申・丁酉倭乱、文禄・慶長の役の頃ならいざしらず、大した文化があるわけでもなく。
正直、地震でも起きて水没してくれたなら、日本の防衛担当者は100年前も今日も喜ぶでしょう。
朝鮮半島は、そこにあるだけで日本にとって迷惑な国なのです。
上記テーマでの私の推論では、朝鮮半島はロシアに侵略併合されついでに朝鮮人も強制移民でいなくなり、沿海州のようなロシア人の国になる、です。
筋書きは、そうですね。
1880年代、ロシアがウラジオストクを建設、沿アムール総督府を設置した頃から豆満江あたりで小競り合いを始めるでしょう。
出兵理由を作っておかなければなりません。
で、1900年代にシベリア鉄道が完成した時点でヨーロッパから近代軍隊を送り込んで一挙に制圧、というところでしょうか。
鴨緑江南岸を通り朝鮮半島に降る軍とは別に、鴨緑江を渡り遼東半島と山海関を窺う軍を分派すれば清国軍は救援出来なくなります。
後は東学党の乱でさえ自国で抑えられない官軍と、奴婢や素人に武器を持たせただけのご自慢の義兵でどれだけ抵抗できるか。
野砲と機関銃で武装した軍隊 vs 火縄銃と刀槍だけで武装した義兵、まあ、3年保てば良い方じゃないでしょうか。
おとなしくしていれば21世紀の時点でも、朝鮮人はまだ朝鮮半島にいられるかもしれません。
が、義兵とかで反乱を起こすと沿海州の朝鮮人みたいに中央アジア大量強制移住もありえます。
スターリン時代にやったら、数10万人規模の大量粛清でしょうね。
跡地にはロシア人が喜んで移住してくるでしょう。
やっぱりロシア人の国になっているかな?
朝鮮半島をロシアが獲った場合、欧州列強との関係はどうなるかですが、干渉してきそうなのは英国ですね。
クリミア戦争で対戦して関係は最悪ですが、互いにアジアで戦争するほど戦力はありません。(三国干渉がないので旅順に太平洋艦隊はいません。せいぜいウラジオストクの巡洋艦隊だけでしょうか)
ですので、ロシアが自国の権益を満州、朝鮮半島、遼東半島に限定して英国との棲み分けを約束すれば、英国は了承するかもしれません。
英国の権益は中原から華南に集中していますから。
まあ、ロシアは問題なく朝鮮半島を併合できると思います。
さて、この状態で日本に危機、ロシア軍による渡海侵攻があるでしょうか?
異論はあるでしょうが、私はないと思います。
そこまでロシアの国力が続くとは思えません。
まず、占領された朝鮮民族がおとなしくしているとは思えません。
史実でも日本の保護国化直後に大規模な反乱が発生しましたし。
まず各所で義兵が反乱を起こすでしょう。
その鎮圧のためにはロシア軍の大部隊が駐留する必要があり、それを支えるためにシベリア鉄道が能力の限界まで使われる。
日本侵攻のためには大量の物資の備蓄が必要ですが、その余裕があるとは思えない。
海を越えて侵攻するためには多くの船舶が必要で、それは遠くヨーロッパでチャーターするしかないでしょう。
後、必ずイギリスが横やりを入れてくる。
イギリスは明治維新で新政府に散々援助して、これからそれを回収しようと考えています。
邪魔はされたくないでしょう。
日本海軍も日露戦争当時のような決戦兵力、戦艦6隻、装甲巡洋艦6隻までは揃えてはいなくても、無防備というわけではないはずです。
吉野クラスの軽巡12隻程度であれば、さほどの財政的負担もなく揃える事はできるはずで。
それを使って、釜山-博多間のロシア補給線を破壊するのは容易いことです。
それに、日本は植民地にしてメリットがある国とは思えない。
ろくな鉱物資源もなければ、プランテーションで価値のある農作物を栽培できるわけでもない。
人口が多すぎる上に、ついこの間まで内戦をやっていて実戦経験のある危ない連中が山ほどいる。
誰がこんな国に手を出すでしょう。
日本の実情はニコライ2世が皇太子の頃、訪日して実地に見ています。
もしロシアが日本を侵略するならば、シベリアから間宮海峡を渡りサハリン、宗谷海峡経由で北海道に入るでしょう。
そっちのほうが戦力的にも楽ですし、占領する価値もあります。
それに、せっかく手に入れた釜山港や仁川港を使って貿易をしようとするならば、一番の取引相手は日本になるはずです。
戦争仕掛けて、お客さんなくそうとはしないのでは?
思うに。
朝鮮半島を獲られたら危ない、というのは日本人のトラウマではないでしょうか。
文永・弘安の役、いわゆる元寇では高麗が元、モンゴルに占領されて発生しました。
その経験から朝鮮半島に侵略性国家が来ると侵略される、という固定観念が日本人の中に出来てしまったのではないでしょうか?
それ以前にも「防人」を作って、侵略を警戒していました。
まあ、日本人の祖先自体も朝鮮半島から渡来した侵略者みたいなものですし。
実際、ロシア帝国当たりならまだ付き合い方次第ですが、これが共産ソ連に将来は変わるわけですから。
朝鮮半島南端に核ミサイルを配備されたり、釜山当たりにソ連艦艇が出入りされたりするのは確かに脅威ですね。
それを考えると朝鮮半島をロシアに渡さなかった事は正解かもしれません。
3つめの疑問は何故、保護国化したか、です。
言うまでもなく李氏朝鮮のような遅れた国家をまともな国家にしようとするとお金がかかる。
余裕があるならともかく、日本自体欧米列強に追いつこうと大規模投資をしている状態です。
鉄道、道路、港湾のインフレ整備を始め、各種産業基盤を作る、など。
よその国にまで資金を投下する余裕はないはずです。
日露戦争は、それまでの日本が経験した事がないような莫大な戦費がかかりましたが、これを国債、国の借金で賄ったはずです。
講和で賠償金を獲れなかった以上、この借金は日本人の税金で返していかなければならない。
日露戦争が終わってロシアの朝鮮半島侵攻が遠のいた状況です。
もう、当分の間は盾は必要ないのですから放り捨ててしまえば良かったのに。
つまり、朝鮮人の希望通り独立させてやれば良かったのに、と思います。
もうひとつの疑問。
ロシアへの盾として使うつもりならば、別に李氏朝鮮の内政に干渉する必要はなかったのでは?
政治的にロシアの朝鮮半島侵攻を食い止めるのは、清の李鴻章がイギリスをうまく誘導して行うでしょう。
李鴻章は対イギリスの海防派で対ロシアの塞防派とは対立していましたが、だからといってロシアの脅威を無視する事も、イギリスとのパイプを持っていなかったわけでもないでしょう。
露清秘密協定で満州の利権はかなりロシアに渡していますが、朝鮮半島までは渡すつもりはなかったと思います。
ただ、軍事的来られると対抗能力はないに等しい。
シベリア鉄道でヨーロッパロシアから兵力を動員できる極東ロシアの陸軍に対し、これに対抗できる陸上兵力はない。
日清戦争までは清国陸軍がそれに該当すると考えられていたようですが、日本に負けて馬脚を表した。
イギリスならばインドからグルカ兵を持ってこれるでしょうが、それをやるとクリミア戦争の再現になる。
インドからでさえ遠い極東の地で、クリミア戦争はしたくなかったでしょうし。
結局日本が引き受けて日露戦争を行ったわけです。
日本もやる気でしたし。
でも、他に手がない訳ではありませんでした。
つまり、朝鮮半島の人間に自分たちの祖国を守って貰えばいいのです。
最新兵器で武装した近代軍に、前時代の武器しかない朝鮮人義兵は勝ち目がありません。
そして近代軍を作るには普通は近代国家を整備し財政基盤などを整えます。
まあ、史実で日本が朝鮮半島に行った事です。
しかし、手っ取り早く強力な兵力を作り出す方法はあります。
かつてはベトナム、アフガニスタンで行われてきた事。
現在進行形でシリアで行われている事。
長期の内戦です。
この時期、東学党の乱、甲午農民戦争が起きており、朝鮮半島の1/3から1/4を占拠していました。
これに武器と食料を援助して勢力拡大させてやればいい。
日本軍自体は第一次蜂起の段階で在留邦人を保護して帰国させ、日本軍自体も撤兵する。
東学党の乱から表面上は手を引きます。
その場合、東学党の討伐は清国軍になりますが、武器援助と作戦指導でこれを打ち破らせます。
表面上は日本からの援助は受け取ろうとはしないでしょうが、東学党に影響力を行使しないつもりならいくらでもやりようがあります。
清国軍も敗戦を重ねれば、兵力増強と強力な兵器の投入をしてくるでしょう。
それに合わせて野砲とか機関銃を供給してやれば力を付けていくはずです。
そうして10年から20年ぐらい内戦が続けば、東学党軍も近代軍と互角に戦えるようになります。
その後、ロシアが出てくるかどうかは朝鮮王朝次第ですが、その場合は日本が参戦してもいいでしょう。
少なくとも単独で戦うよりは負担が少ないはずです。
甲午農民戦争の指導者全?準は、井上馨をしてその人物を惜しみ処刑をしないように要請するほどの傑物です。
もしかすると現実の戦争を経る事で、東学党を良い方向に変えていくことができたかもしれない。
東学の理念は「斥倭洋」で日本、西洋排斥の攘夷思想ですが、その中には権力の横暴に対する抵抗の意志と、人間の尊厳と平等がありました。
何より一般民衆に根付いています。
明治維新も最初は攘夷から始まった事を考えれば、東学党が固陋な朝鮮の権力構造を一新し、近代国家を築けた可能性もなかった訳ではない、と思います。
ただし長期の内戦の結果、朝鮮の国土は荒れ果て一般民衆の犠牲は餓死も含めて膨大なものになったでしょう。




