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番外編 ブルーリベレーション part3

「本日の不幸レベルを設定してください?」


なんだこりゃ。

他人の不幸を喜ぶヤツはいても、自分の不幸が嬉しい奴なんかいないだろ。



部活が終わって、部室から出たところでスマホを開いたら……、通知だけじゃなくてアプリが勝手に起動しやがった。


電源を落として再起動しても、この画面から動かねぇ……。


う~ん。

本気で明日、機種変更かな。これ。



とりあえず、スマホが使えないと姉貴たちと連絡もとれない。



仕方ねーなぁ……。


俺はイヤイヤ、「プチ不幸」を選択した。



『テレテレテレ、テーレン』



どこかのRPGゲームの呪い効果音のような音がして、「本日のミッション開始しました」と画面に表示された。

やっとのことで通常の待ち受け画面に戻る。



「本日のミッション?」

嫌な予感はしたが、とりあえずスマホは通常通り使えるようになったようだ。


「あ、メール来てる……」

和奏姉ちゃんからだ。

仕事遅くなるのかな?今日はこれから、母さんが入院している病院でおちあう予定だったんだが……。


『仕事で疲れたから、栄華堂パーラーでプリン買ってきて』

……ふざけんな。


俺は姉貴のパシりじゃねぇ。

しかも栄華堂って、病院と反対方向じゃねーか。



『やだよ、自分で買ってこいよ(怒りスタンプ連打!)』

送信っと。


ピロロン。



『奏太のクセに生意気ね。ママが好物だから持っていってあげようと思ったのに……。親不孝な息子(泣き顔スタンプ)』

嘘だ。絶対自分が食べたかったからに決まってる。

母さんがスイーツ好きなのは、間違いないんだけどさ。


もう、無視を決め込んでスマホをポケットへしまった。

姉貴に付き合ってたらキリがない。


どうせ、仕事でヘマでもしてイライラしているんだろう。

和奏姉ちゃんは今年の四月から社会人になったばかり。どうにもまだまだ慣れないことが多いらしく、精神的に不安定だ。




「奏太、お疲れ~」

「お疲れ~っす」

部室を出ると二年生のマネージャーが予定表を配っていた。


大抵は体育館で練習しているが、うちの高校は運動部がひしめいているので、月に何回か外のグランドや試合前は市の体育館を借りて練習することもある。


「明日はグランドで筋トレね~」

「げっ」

ということは明日の主な練習メニューは走り込みが中心かぁ。


別に走るのは嫌いではないんだけど、グランド練習は色々厄介事が……。



まぁいいか。明日は休もう。


「痛っ」

突然、指先にチリッとした痛みが走った。

「大丈夫?」

マネージャーが心配そうにのぞきこんでくる。


「あぁ~」

プリントの紙で皮膚が切れていた。薄く、血が滲む。


「何やってるのよ、奏太。はい、絆創膏」

「すみません」

ヒリヒリする指先を舐めながら絆創膏を受け取って、俺は駅の方に歩き出した。


小雨が降ってきたが、今日に限っていつも鞄の中に入っている折り畳み傘がない。



降水確率0%って天気予報だったよな……。


恨みがましく空を見あげると、ザアーッとバケツをひっくり返したように激しく降りだした。


「嘘だろ~っ!!」

見る限り、現在地は道路の真ん中で雨宿りするところもなく、駅前まで俺は猛ダッシュした。


で、駅に着くと……、止むんだよな。こういう時ってさ。



荒い呼吸を整えながら、駅のホームで濡れた髪や肩、鞄をタオルで拭いた。



あ~、なんか冷えたなぁ……。

次の電車、待ってる間に温かい飲み物でも買ってこよ。


で、一番近い自動販売機の前に立つと……。



「マジかぁ~!」

あったかーい、の表示の飲み物がすべて赤色ランプ。


売り切れだった。



「そんなことあり?」

真冬ならともかく、もうすぐ夏本番直前のこの時期に全部売り切れって、ありえないでしょ。



「もしかして……」

これがプチ不幸ってヤツか?


俺は溜め息をついて駅のホームに座り込んだ。

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