表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/134

番外編 ブルーリベレーション part2

「どうした奏大、ほれ」

隣の席の佳彦が購買でパンを買ってきたらしい。

半分割って、俺に袋ごと渡してくれた。


「ん~?サンキュ。よく買えたな」

ベーカリーの焼きたてメロンパンは1日に10個限定。人気で直ぐに売り切れてしまう。

まだ2時限目だ。いつもなら手に入らない。


「いんや、貰い物」

「なんだ、女か。俺が半分食ったら恨まれるパターンなんじゃ……?」

もう一口かじってしまったが、俺はメロンパンを袋に慌てて戻した。


「大丈夫、三年生だからバレねーよ」

「今度は年上かぁ。相変わらずムダにモテるな、お前」


俺は切れ長の涼しげな瞳、鼻筋のすっと通った佳彦の男前な横顔をじっと見つめた。


こいつ本当に綺麗な顔してるんだよなぁ。吹き出物一つないツルツルの肌。本当にアイドルみてぇ。


こいつが来ると姉貴たちがいつも羨ましがって、スキンケアを聞いてこいとかギャーギャーうるさくて。

女子でもね~し、俺がそんなこと聞けるかよ。


「奏大。お前だって部活の時、キャアキャア女子に言われてるじゃね~か」

「俺は女には夢がねぇんだよ」

「あぁ、あの美人の姉ちゃんたちか。一人っ子の俺からみたら、贅沢な話だけどな」


美人かぁ?姉貴たちも昔から妙にモテるんだよな。

基本、俺と姉達達は同じ作りの顔だから、佳彦みたいに姉達を綺麗だと思ったことはない。


よく似た姉弟ね、と言われるだけあって俺が、女顔だなぁと鏡を見て思うことはあるが。



「いつでも言え。代わってやるぞ」

「イヤ、俺は家事ができないからムリだ」

「ちっ。お坊っちゃまが。大体、家事なんか覚えたら何とでもなるぜ。今は便利な家電が揃ってるからな~」


佳彦は私立エスカレーターでそのまま進学できたのを蹴って、何故だかウチみたいな公立高校を受験した。

ここら辺では有名な高級住宅街に住んでいる、昔風に言うと「良いところのボンボン」だ。


俺なんか、毎日炊事洗濯……。姉貴の下着も洗ってるんだぞ。まぁ、洗ってるのは洗濯機だが。

あいつら、人にやらせておいて俺がうっかり下着も運んじまうと、変態だなんだとなじってきて……。


誰が姉貴たちの下着なんかで興奮するか。

俺が女嫌いになったら、ぜってぇ姉貴達のせいだ。



「俺は不器用な男でな。細かいことは苦手だ」

「良く言うぜ。女相手は超器用じゃねーか」

なんかどっと疲れて机に突っ伏した。


あ~、このまま午後の部活まで寝てえ……。


「なんか、奏大。めっちゃ疲れてんな。ひょっとしてお袋さんに何かあったのか?」

「いんや、まだ目を覚ます気配はないな」

机に頭をつけたまま、俺は答えた。


「そっか」

「疲れてるとしたら、昨日あんまり寝れてなくて……。ぁあっ!そうだ。なぁ、佳彦。ブルー・リベレーションって知ってるか?」

「何だそれ。新しいゲームか?」

「いや、どうやらアプリらしい。不幸のアプリ的なもんって、今流行ってたりするのか?」

「ふ~ん。不幸のアプリねぇ。イマドキはそんなのもあるんだなぁ」

「え……、お前も知らないの?」

「全く」

俺と違って暇な佳彦は流行チェックも余念がない。佳彦が知らないってことは……。これから流行るんかな。


「なんか、勝手に通知がきて起動するんだよ」

「げ、めっちゃ怪しいな」

「だろ?」

「見せてみろ」

「ほい」

佳彦に俺のスマホを渡す。別に付き合ってる女もいないし、佳彦に見られて困るモノもない。


「ん?どれだ?」

「あれ?」


ない。


昨夜も今朝もスマホを起動したらしつこく通知してきた、青いダイヤのアイコンも見当たらない。


「良かったな、ちゃんとアンインストール出来てたんだな」

「う、うん」

おっかしいな~。


「あ、林が来たぞ。次、世界史かぁ。即寝だな」

「お、おぅ……」


世界史を担当する林女史が淡々と入室してきた。


彼女は趣味の世界を念仏のように抑揚のない声で唱えていくので、間もなく殆どの生徒が眠りに入る。



俺は林女史の「中世ヨーロッパの紛争の歴史」を目をこすりながら聞いていた。



もうダメだ。寝よう。


そう思って下を向くと鞄にしまったスマホが、青い光を発しているのが見えた。


「げっ……!」


昨夜と同じ、通知光。


(おい、佳彦っ!これ見てくれよっ……)

隣の同じく、うつらうつらしている佳彦を突っついた。


「…んん?」

佳彦が半目でこっちを向いた。


怖ぇえ。イケメン台無しだな、おい。


(どうした?)

(これだよ、やっぱりアンインストール出来てなかった……、あれ?)


佳彦にスマホを差し出すと青い光は消えていた。

(奏大、寝ぼけてんのか?)



「んっん~、うぉっほん」

(やべっ)

林女史に睨まれて、俺は慌ててスマホを鞄に放り込んだ。


確かに、光ってたんだけどな。



俺はコッソリと再び足元の鞄の中身を覗いた。


やはり、鞄の中でスマホが通知を報せる青い光を放っているのが見える。


……どうなってるんだ?



ひょっとして、このアプリ。

俺以外の人間には見えないようになっているんじゃないか……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ