番外編 ブルーリベレーション part1
二部への繋ぎの物語です。
暫く投稿いたしますのでよろしくお願いいたします。
「人生、何が起こるか分かんないよな~」
「そだね~」
俺の言葉に適当に相槌をうちながら、スマホを弄ってソファーに寝転がってるのは俺の姉ちゃん。
「あ、奏大。明日の牛乳ないから買ってきてくれる?」
ほら全然人の話、聞いてねぇ!
「やだよ、自分で行けよ」
「え~。じゃあ明日ママの病院寄ってからで良いや~」
起き上がったと思ったら、スナック菓子の袋に手を伸ばしてるし。
「そんな食っちゃ寝してるとデブるぞ、姉貴」
「いいの、体質だから」
「知らねぇぞ。この先、ババアになったら生活習慣病まっしぐらだからな」
俺は溜め息をついて、床に転がったペットボトルを集めてキッチンに運んだ。
ほとんど、姉ちゃん達のものばっかりだ。一応、気になるのかカロリーゼロの表示が笑える。
「あ~あ」
キッチンも汚れた皿の山。
食洗機も既にパンパンだ。
「母さんがみたら泣くぞ……」
仕方なく、スポンジを握る俺。
男の子も家事が出来ないとモテないのよ~、なんて言われて母さんと洗い物をしていたのを思い出す。
そう。
俺達の母さん。
数日前に近くの市民病院に入院してしまった。
最初は救急車で運ばれたと聞いて、母子家庭の俺達は大慌てだった。
病院に駆けつけて、近所の大手スーパーの特売日に派手にスッ転んで頭を打ったんだと聞いて「そんなことか」と安心したんだけど……。
なぜだか、母さんは目を覚まさないまま。
もうすぐ一週間になる。
特に外傷も脳の異常もないとのこと。
病院で点滴に繋がれて、スヤスヤ寝てる母さんは元気そうだ。
俺達も「そのうち起きるだろう」と軽く考えて、昼間は普通に学校に行っている。あ、一番上の姉ちゃんの和奏は会社だけど。
しっかし、この一週間で我が家は荒れ果てた。
母さんのありがたみを思い知ったわけですよ。
女が二人いても、「仕事が大変だ」「受験生に何をさせるのよ」と姉ちゃん達は何にもやらない。挙げ句の果て、「どうせ暇でしょ、奏大やっといて」で、全部俺に押しつけるんだ。
ぜって~、嫁にいけねぇな。
こういうのが、マメな旦那を捕まえるんだろうけど。
あ、マメな旦那って俺みたいな奴か……。
ちょっと、まだ出来るかも分からない未来の姉達の旦那に同情する。
とりあえず、シンクの皿の山をやっつけ終わったところで、俺も姉ちゃんの向かい側のソファーに座った。
あ、姉貴。涎垂らして寝てるわ……。
世話の焼ける姉にブランケットを掛けてやってから、ようやく俺も自分のスマホを開いた。佳彦に明日の課題、LINEで聞かねば……。
あ……?
何か、見たことのない通知が来てる?
「ブルー・リベレーション?」
初めて見るダイヤモンド型のアイコン。
こんなアプリ、インストールしてたっけ?
首を捻りつつ、半ば反射的にスワイプした。
「ブルー・リベレーションに登録して下さい」
登録?
んな面倒なことするかよ…。
backしても、何しても消えねぇ!
電源ボタン押しても落ちない。どうなってるんだ?
仕方なく、画面が動くのかどうか確かめるために登録画面を触る。
動くじゃね~か……。
スマホ不調かな?
「あなたの性別を教えて下さい」
→男だけど。
「次にあなたの種族を教えて下さい」
→……?種族ってどゆこと?
人間、動物、虫、植物、妖精、小人、獣族、魔族、機械…。
まぁとりあえず、この選択肢なら人間っと。
「興味のあるジャンルを選択して下さい」
→プチ不幸、まぁまぁ不幸、普通に不幸、ガッツリ不幸、ドン底に不幸……。
はい?
なんだ、この選択肢っ!?
「規約 ①命の保証はいたしません。②当方は一切の責任を負いません。③損害、命、霊魂、その他パーツについての返却も致しかねます……」
怖…っ。
ヤバいでしょ、これ。
不幸メールならぬ、不幸アプリってやつ?
聞いたことないけど、最近はこういうの流行ってるのか?
「本規約をお読み後、本アプリに登録して下さい」
登録なんかするヤツいるかよ~!!
「何やってるの、奏大?へぇ、新しいアプリ?あと、登録だけじゃん。はい」
いたよ、登録するヤツ!
俺じゃないけどなっ!!
「何してくれんだ!」
いつの間にか帰ってきた、制服姿の歌音姉ちゃんを睨みつける。
「人のスマホを勝手に弄るんじゃねぇ~!!」
「ハイハイ。奏大のクセにうるさいわねぇ。ところで、このアプリ何?」
「俺も知らねぇよ……」
「ちょっと、何やってんのよ。架空請求とか来たらどうするのよ」
「登録押したの、姉貴じゃん……」
もちろん即、アンインストール。
しましたよ。
確実に。
でも、このアプリ……。
どういう仕組みか知らないけど、何度アンインストールしても甦ってくるんだけどぉぉ!!
何故?




