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番外編 カイロス時間へようこそ~有華国嫁取事情~その5

抜けるような青空に白い花が浮き上がっていた。有華(ユッカ)城の庭に植えられた早咲きの桜は今が見頃である。


「昼間っから昼寝とは優雅ですね」

まだ、午後になったばかり。日ははるか上空高い。


「どうした。敏尖人(ヴィンセント)

「実は夜這いをしたんです」

「は?」

俺は居眠りをしていた縁側で敏尖人の台詞に目を擦った。


こないだコイツが姫を拐っていった時、幸いなことに悲鳴を聞きつけた蒼部(ソーヴェ)様が変態行為に及ぼうとしている息子を止め、あの時は事なきを得たのだったのだが……。


蒼部様、だいぶお怒りだったなぁ。



「お前……まだあきらめてなかったのか」

「昨夜も母上の見張りを眠らせて、姫の部屋に侵入したんですが」

敏尖人は澄ました顔でそう続けた。


「それが……」

眠っている有瑠(アル)姫の寝所を目指して、足音を潜めて潜り込んだが、寝所は空っぽだったという。


「どう思います?」

「単にバレて逃げたんじゃないのか?」

「毎日ですか?」

「お前、毎日忍び込んだのか?」

「姫の布団でこの一週間は寝ましたよ。それで実は頼みがあって……」

「やなこった!!」

俺は速攻で断った、はずだったのだが……。



§§§


「しっ」

「誰か姫の寝所から出てきたな」

「男か?」

何故か、俺は有瑠姫の寝所の前で敏尖人と一緒に身を潜める羽目になっていた。


「許嫁がいるというのに、男を引き込むとはなかなかやるな」

「……捕まえましょう」

「あんまり酷いことをするなよ」

俺は釘を指した。

無言で頷く敏尖人。


本当にわかってるかな?



「さて、やっと捕まえましたよ。有瑠姫」

「まさか」

いや、こっちの世界のアルトならありえるか。アイドルのアルルになるぐらいだからな。


「そのまさかです。私の目は誤魔化されませんよ」

「離せ!」

敏尖人に腕を掴まれてもがく男は……、有瑠姫と同じ顔をしていた。


まぁ、予想通り。

でもどっちかな。男なのか、女なのか。


「本当は男ですね」

何でわかるんだ、敏尖人。


「くっ……」

「こんな本能寺からの知らせが来た夜にどこへ行くつもりです?」

「聞かなくてもわかってるだろう。ここを出るつもりだった。どうせ人質の価値がなければ返すつもりだろ?ここは見逃してくれよ」

懇願する有瑠姫。いや、有瑠斗か?どっちだ。


「まさか。お返しなどいたしませんよ」

冷たく笑う敏尖人。

「僕は女として育てられたが、男子だ。次の国主たるお前が嫁取りしても子はできない。全く意味をなさないぞ?」

「それはやってみないとわからないですねぇ」


「え?」

敏尖人の台詞を聞いて有瑠姫はさぁっと青ざめた。

「実は南蛮渡来の秘薬がありましてね。この世界は広いですから、貴方が孕めるようになるものもきっとありますよ。一緒に頑張りましょうねぇ」

「えぇえ!?」

有瑠姫の顔が恐怖に歪む。

未遂だったらしいが、こないだコイツに一体何をされたのやら……。


「さっ、早速色々試しましょうねぇ」

嬉しそうに有瑠姫を抱えて歩きだす敏尖人。


「いやぁぁぁ……!!お願い、誰か助けてぇぇぇ……!」

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