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番外編 カイロス時間へようこそ~有華国嫁取事情~その1

週末なので、恋愛歴史コンテストに投稿した番外編を投稿します(6話)

よろしくお願いいたします。

「おめでとうございまぁす」

パパパッパパーン!


「へ?」

いきなり、クラッカーを浴びせかけられて俺は動揺した。


気がつくと見渡す限り、どこまでも真っ白な世界に俺は立っていた。

ついさっき、研究室から割り当てられた工房の自室に戻ってきたはず……。


「ここは……どこだ?」

「それを知ってどうするのさ」

クスクス笑いがふってきた。


「なんだお前……ヴィンセント……じゃないな?」

俺は目の前の眩い金髪、冷たい整った美貌の白いトーガを纏った男を睨みつけた。

目鼻立ちは見慣れた俺の幼馴染にそっくりだが、雰囲気がまるで違う。


「ヤダ!もうわかっちゃったの?」

目の前のヴィンセントにそっくりな男の瞳が、邪悪な禍々しさを感じさせる魔物めいた紫色に光った。


「全然違うぞ」

「どこが?」

「喋り方も表情も雰囲気も……だな」

「ふん、つまんないの」

ぽん、と手を打ち鳴らすとヴィンセントもどきは一回転した。すると、ほっそりとした長い前髪をうねらせた美少年に姿が変わる。


「ボクはカイロス。ここのタイムキーパーだよ」

紫色の瞳を禍々しく光らせて、異様に赤い唇を妖しく舐め回しながら少年は名乗った。


「は?カイ、ロス?」

俺は記憶を手繰る……が、何も引っかからない。


「おめでとう。君は映えある時の旅人に選ばれましたぁ!」

妙なウキウキしたような口調でカイロスと名乗った少年は、俺の肩をバシバシ叩く。


「やめろ。俺にはさっぱり意味がわからん」

俺は冷たく振り払った。

「もう、冷たいなぁ。じゃあ僕も教えてあげないよ。君はこの大陸一の天才ウィルブラン・エストでしょ?自分で考えて」

「考えろって……お前が胡散臭い魔物だとかそういう事か?」

「ブブー。大ハズレ~」


「じゃあ何?」

「さぁてね。僕のことは時を司る神、なんて呼ぶ輩もいるよ?」

「あいにくと俺は無神論者だ」

俺は首をすくめて答えてやった。


「そうなんだ、残念。それは人生の半分を損してるね。神様信じないと大抵のイベントや祭りが楽しめないよ?」

「別に俺は不都合はない」

「はい、もうタイムアップ!時はカネなり~ってね。もう、行ってもらうから。悪いけど君のそのチートな能力は邪魔だから預かっておくよ」


カイロスが俺に向かって手をかざすと同時に、俺の身体は激しい脱力感に襲われた。


「おい、ちょっと待て……!」

俺は反射的に目の前のカイロスに『力』を集中させようとした。


が、何も起こらない。


「無駄だよ。力は貰ったって言ったでしょ」

「……!」

「はい、いってらっしゃーい。せいぜい楽しんできてねぇ」

ヒラヒラと笑顔で手を振るカイロス。


「ちょ、待てよ!」

どこかで聞いたことのある台詞を吐いた所で、俺の記憶はブラックアウトしたのだった。

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