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第14話 熱すぎる抱擁!

「じゃあ次は婚約破棄されちゃったから、俺を国外追放してくれよ、ヴィンセント?」

嬉しそうに、ウィルが言った。


「貴方、なんかやったんですか?」

「う~ん。思い当たることがあり過ぎる」

「その件はあとでゆっくり聞かせてもらいます。じゃあとりあえず、ウィルは国外追放ってことでよいですか?大公」


ええ~っ!

何かよくわからないけど、理由も雑だし。そんなあっさり銀の公子を国外追放して良いの?


仲が良さそうなのに、何故??


「ま、本人がそう言ってるならいいんじゃないか?じゃ、ウィルはしばらく国外追放な」


軽いな、大公!

可愛がってる息子なんじゃなかったのか?

息子、喜んでるから良いのか……。



「おいおい、ソーヴェ。儂はそっちをハッキリさせて欲しいと言ったわけではないんだが…」

ハゲ狸が婚約破棄宣言からの展開についていけず、口を開く。


「タウラージ、わかってるわよ」

ソーヴェ様が苦笑して答えた。


「ヴィンセント、あなたの真実の愛の相手は、どうするつもり?」


「個人的には熱心に勧めるものではないが、カルゾの跡継ぎということから考えると四公家より娶ることが慣例かと思うが?」

エスト大公の言葉にハゲ狸の顔が見たこともないぐらいに輝く。



「ゲンメ公、折角の大公からのお口添えも頂きましたが、四公家からの縁談は辞退させていただきます」

大公に膝を折って流れるように美しく礼をとるヴィンセント様。


あ、狸オヤジ。髪の毛散ってる……。

ヴィンセント様の言葉に天国から地獄に落ちたようにバーコード頭をかきむしるからよ……。


「では、どうするつもりだ。ヴィンセント。このままではマルサネもカルドンヌも気の毒なこと。いつまでもお前がそのような態度では、争いの種は消えることはない」

諭すような柔らかい大公の言葉にヴィンセント様が顔をあげて答えた。


「ここで申し上げてよろしければ、私の真実の愛はここに」

「ほぅ」


「失礼いたします」

ヴィンセント様はソーヴェ様の後ろに座っていたアルルにつかつかと歩み寄って行く。


「え?」

アルルは想定外の出来事にピンク色の頬を染めて大きな瞳をさらに見開いてビックリしている様子。

……恋人が来てくれたサプライズ?



って感じじゃないわ。

どうみてもなんか、めっちゃ嫌がってるように見えるんだけど……。



「私の真実の愛を受けとってもらえますか」

ヴィンセント様がニヤリと笑う。


え~!金の公子の笑い方じゃないわよ。スマートな夢の国の王子様とはかけ離れた、肉食獣のようなギラギラとした微笑。



アルルがその微笑みを見て怯えたように逃げ腰になる。

ヴィンセント様は早業でアルルの手を掴むと自分の胸に抱き込み……、



めっちゃ時間をかけてエロいキスをした。



アルルは最初、かなり抵抗していた。いくら、小さい手で押しのけようとしても力強く押さえ込まれてヴィンセント様はびくともしない。

アルルが小さな顔をふって逃げようとしても、がっちり後頭部を固定され、逃れられない。



めっちゃディープなやつよね、あれ。絶対舌入ってる…。


だんだん呼吸をするのも苦しそうなアルルの身体から、力が抜けていくのが見てわかる。


「……んんっ……ぅうっ…」

鼻に抜けるくぐもった声が、聞く者の官能を刺激する。

アルルの口許から透明な涎が溢れ、視覚的にも目のやり場に困る、あまりに扇情的な状況がユッカという国の会議場で繰り広げられていた。



呆然とするギャラリーなどものともせず、ヴィンセント様は激しく無心に貪っていらっしゃって……アルルが腰砕けになってぐったりしていても終わる気配がない……。



金の公子って実は俺様でエロいんだ……。



「うっわ、我が子ながらひくわ~。よくやるわね」

「若いっていいなぁ」

カルゾ女公とエスト大公の呟きに、呆然と皆と一緒に眺めていたウィルが我にかえる。


「いつまでやってんだよ、おい」

一向に終わる気配のないディープな口づけに閉口して、ヴィンセントをアルルから引き剥がしにかかった。


「全く、無粋ですねぇ」

「お前が言うか!こんなところで何してくれてんだよ」

「もう何もしませんから返して下さい」

「信用できるか!」


アルルは、気を失ってしまったようだ。ウィルに抱き抱えられてぐったりしている。


これは……これでまたネットニューストップを飾るネタよね。

今日はこの後、絶対にルーチェとネットカフェに行かなくちゃだわ。

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