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払暁の魔獣使い フォルナ  作者: 小鳥葵
道中の邂逅
15/31

13.紋章のある男

 ◆

 客室に着くと、まず三人は食事を満足するまで食べた。


「あんなに買っていた食材が、もう半分しかなくなっているわね……」


「これじゃ、すぐに僕の宝石を全部売る羽目になるよ……」


 リュキは宝石箱を抱え込み、悲しげな顔をした。


「霧の町で僕らは優遇されているから、ここでまたたくさん食材を買いたいところだけど……」


「普段の町の人の食生活もぎりぎりだし、ここで買うわけにはいけない、というかできないわ」


「仕方ない、この次の町で買い足そう」


 ひと段落つくと、二人はルルートの素性を聞いた。


 ルルートは、盗賊団に入り盗みで生活をしていた女の子であった。歳は数えておらず、わからないという。親も知らず、盗む以外の生き方を知らなかった。

 

 フォルナとリュキはこれまでの旅の経緯を話した。


「だから、ウチがプルシュカ語を話せなくてびっくりしたんだね……」


「そうよ。……そうだわ、後で本の解読ができる人を探さなければいけないわね」


「モランダさんの息子さんに聞いてみよう」 


 その後、言いたいことがあるようにルルートはじっとリュキを見つめていた。


「どうかしたのか?」


 そうリュキが聞くと、ルルートは「リュキは、宝石屋だよね?」と質問した。


「そうだけど……」


「うーん……フォルナとリュキは、トラモント村から来ているし……」


「ルル、どうしたの」


フォルナはルルートをルルと呼ぶことにしたのだった。


「それがね……ウチは、トラモント村から来た宝石屋から盗むように言われた。だからリュキがそうだと思って、盗んだんだ」


「よく、僕が宝石屋だとわかったね……」


「うん、ウチわかるよ!」


「私には……わからないわ。それで、何かあるの? ルル」


 ルルートはリュキの顔を見上げた後、決心したように突然リュキの手袋を外した。


「あ」


 目にもとまらぬ速さだったのでリュキにも止められなかった。


 リュキの手の甲には、紋章の印があった。


「やっぱり、リュキの手にある!」


 ルルートは困惑した表情で、二人を見つめた。


「ウチは、紋章がある悪人を捕まえろって、聞いたんだ……リュキ達は、追われているの?」

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