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意味はないんです

作者: 曲尾 仁庵

 どうしてもっと早く言わなかったんだって?


 決まってるだろう。言っても意味がないからだよ。


 例えばひと月前に僕が君にこの状況を説明したとして、


 君が一体何をしてくれたって言うんだ?


 何もしちゃくれないだろう。違うかい?


 そんなことはない?


 よく言うよ。


 君は自分の人生を振り返ったことが無いらしいね。


 今まで一度でも、


 僕が君に何かを相談して、


 物事が解決した試しがあったかい?


 無いだろう?


 人間ってのは馬鹿じゃない。


 やっても無駄だと分かっていることを、


 何度も繰り返しはしないんだよ。


 ひどい、だって?


 こっちのセリフだ。


 僕は君の自己満足のための道具じゃない。


 今、君がここにいるのだって、


 問題を解決するためじゃないだろう?


 どうにもならない僕を見下して、


 もっと早く言えば助けてあげられたのにって、


 何もせずに僕を見捨てる正当な理由を手に入れるためだろう?


 そんな面倒なことをしなくても、


 君が僕を見捨てたところで誰も責めやしないさ。


 だからもうお気になさらず、


 僕のことはきれいさっぱり忘れてくださいませんか?


 お互いに不快なまま、


 顔を突き合わせる理由なんて無いだろう?


 ん?


 ああ、なぜか背中が妙にかゆくてね。


 君と話しているからかな?


 冗談さ。そう怒るなよ。


 もういいだろう?


 そろそろ帰ってくれないか?


 このまま話していても不毛なだけだし、


 背中のかゆみがどんどんひどくなっていくような気がするんだ。


 もしかしたら感染るかもしれないよ?


 そんなのは嫌だろう?


 君がここに居続けるメリットは何もないし、


 僕が君といるメリットも何もないんだよ。


 理解したかい?


 それじゃ、お帰りはあちらだよ。


 もう二度と来ないほうがいい。


 お互いのためだよ。


 うん。それじゃあね。


 ああ、それにしても、


 背中がかゆい。


 背中がかゆいんだ。


かゆ、うま。

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