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第一話 失業からのちょっとした前進

初投稿です。

読んでいただけたら幸いです。

 年齢23歳。前職の勤務期間十一ヶ月。

新卒でIT系の会社に入社し、一年も働かずに会社を辞めた。

まぁ、仕事に合う、合わないを約一年で見切りをつけられるかと言われれば

それは人それぞれだと俺は思う。

俺は合っていないと思ったので、プログラマという仕事から逃げた。


 いや、少し違う。


 ……正直に言うと、上司から逃げた。


 同期の人間と比較され、仕事ができないと怒られる。

そんな日々からただ逃避したいがために仕事を辞めた。

まだ、若いからワンチャンあるだとか第二新卒だとか失業手当もらってからだとか

色々考えた結果、自分で決めた。

あの日常から逃避したい気持ちとまだ人生先はながいのだからなんとかなるだろう。


 そんな勢いに任せて俺は会社を辞めた。


* * *



「え、失業手当もらえない?」

「うーん、最低でも十二ヶ月働かないとね…」


 それは、翌日の就職支援センターでの出来事。


「…まじですか」

「うーん、そういう決まりだから」


 そんな会話を一通りした後、俺は就職支援センターから出る。

その場で求人を探すこともできたがなんかそういう気分ではなくなった。

まじか。まぁ今、後悔したところでだよな。

あと一ヶ月踏ん張れる気もしなかったし。

実家だから最悪なんとかなるけど、保険とかの料金を失業手当でなんとかしようと思ったのに。

貯金20万くらいしかないから結構な痛手だ。

これからどうしようと思いながら、最寄の駅へと歩く。


 現在の時刻は12時ちょうど。

就職支援センターのある駅には来たことがなかったので散歩がてらに色々まわるか。

気晴らしにもなるし、少し小腹もすいたので飯屋を探すついでに。

というこで、周りを物色しながら歩く。


 歩いて数分したところで

 ふと、チラシが目に付く。


---------------

正社員募集中!

未経験者歓迎!

ECサイトの運営に興味ありませんか?

詳しくは下記までご連絡下さい!

tel:012-XXX-XXXX

---------------


 電柱に張り付いている求人のチラシ。

やる気もないのかただの紙にマジックで書いたものだ。

昔の自分であったら、目にも留めていなかっただろう。


 ただ、今の俺には

 ・実はレア求人

 ・こうゆう会社は即採用するかも

 ・詐欺だとしても個人情報を売らなきゃいいだけだし、など

の思いから電話をしてみようかなという気持ちが湧いた。

ちょうど嫌なことがあったので、やぶれかぶれでもあったが。

スマホから電話だと自分の電話番号が知られるのがなんか嫌なのでまずは公衆電話を探すことにした。


 歩き続けること10分程度、公衆電話を発見。

スマホの普及の影響なのだろうか。公衆電話が減ったのはなどとそんなしょうもないことを考えながら扉を開けてこの密閉空間に入る。


 先ほどのチラシは写メをとっておいたので、電話番号は分かる。

そして、いざ電話をかけようとするが


 あれ、めっちゃ緊張してきた。

 まずなんていえばいいんだ?

 そもそもこの電話番号存在するのか?

 求人のチラシを見て応募をしようと思ったのですがか無難か、

 そもそも詐欺っぽいから電話しないほうがよくね?

 色々な感情や思いが湧いたが無職の俺にはもう怖いものなんてない!


 一応メモ用紙とペンも用意して、やぶれかぶれの精神で電話をかける。

もうこの時点で俺のHPは赤ゲージ。あと一発なにか嫌なことがあれば立ち直れなくなるぜ!

発信音より自分の鼓動の音が大きい。


 そして──


「お電話ありがとうございます。ダウンロードサイト"ヘルメス"でございます」

出た!女性の声だ!まずはチラシを見て連絡したことを伝えるんだ。

「え、あの、えっと。岩村といいます。チラシ、えっと、チラシを見て、その求人の応募を!」

うわわわわわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁ!口ごもった!

もうやっちまった。もう、いやだ。俺は、何もできないくずやろうだ。

「まぁ!本当ですか!ありがとうございます!」

「あっ、いえいえ」

「つきましては、選考のご案内をさせていただきます。明日の正午に弊社で面接を実施させていただければと思いますが、ご都合はいかがでしょうか?」

え、もう面接?書類選考とかないタイプなのか。ラッキー!

明日は特になにもない。問題なしだ。

「えっ、はい、問題ありません」

「では今から弊社の住所をお知らせいたしますので、メモなどのご用意をお願いいたします」

言われた住所をメモ用紙に書き、念のため自分のメモの住所であっているかも復唱で確認をとった。

「はい。そちらで問題ございません。それはで当日履歴書をお持ちになってお越し下さい」

「あっ、はい。こちらこそよろしくお願いいたします。」

失礼致しますといって、電話を切り。俺の緊張の糸はとけた。


 はぁ、疲れた。

まぁ、面接までもう選考が進んだと考えれば電話してよかったかな。

明日の正午までに、履歴書を作成しないと!


 俺は自宅近くの100円ショップで履歴書を買って、帰宅した。


* * *


 時計の針が23時を回ってから、履歴書を書き始めたもののここで重大な誤算が発生した。


 会社名分からん!


 職務経歴書ってなに?


 運営サイト名もヒットしない!


 電話番号でも会社は特定できない!


 面接先の住所は存在しているけど、会社名もそこで特定できず。


 面接場所は本社と違うのかな。といった疑問もある中

埋められない履歴書に苦悶していた。一応転職扱いということにもなるので

職務経歴書という紙も書く必要があると思われるのでこの紙も買って書くことにしたのだが…。

これも履歴書同様に苦悶中。

 

 空白の箇所とにらめっこをして、時間を過ごす。


 バックれようかな…。


 今日は見ず知らずの人に電話したし!人間的に成長したってことで!


 うん、そうしよう。


 いや、でも、さすがに。


 どうしよう。

 …。

 ……。


 こんなに探してもネットで引っかからないということはアンダーグランド感のある会社なのだろう。

そんなに、つっこんだ質問はこないだろうという希望的観測で、志望動機は当たり障りのない運営の仕事をしたいというのと正確な情報を登録をする着実なところが自分が向いていると思ったからという悪い手本みたいな志望理由でいくことにした。


 うん、これは落ちるな。


 まぁ、もういっか。面接で殺されることなんてないし。これも経験ってことで!


 もうどうにでもなれ。


 一応、空欄箇所をうめた履歴書と職務経歴書をクリアファイルにはさみ、ビジネスバックの中に入れる。

スマホのタイマーを設定し、電気を消して布団にもぐる。

不安、恐怖、わずかな希望などぐるぐる頭の中で考えながら目を瞑る。


…。

……zzz。


* * *


 俺のスマホからアニソンが流れる。

それは目覚ましでセットした時刻を意味する。

電車での移動時間は約一時間を想定。

ちょっとした見出しなみなどを考慮して九時にセットしたので余裕をもって面接に望める。

スマホのアラームを止め時間を確認。時刻は9時30分。


 スヌーズだと!まぁ、まだなんとかなる。

朝食、トイレ、髭剃り、履歴書の見直しを終え家を出る。最寄の駅についたのは10時20分。

電車での移動時間は約一時間。まぁ、なんとかなる。

10時23分発の電車に乗ればいいはず

…なのだが。


 10時23分を過ぎても、来ない。


 嫌な予感がする。

恐る恐る電光掲示板を見るとそこには


『遅延』の文字

『振替輸送』の文字


 なんで…。

こういう時に限って。


 …。

 ……。

 バックれようかな…。


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