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寝不足でも朝は来る。
翌日。
「ルエ、あんた、ちょっとひどいんじゃないの……」と、テオの口に食べ物を突っ込みながらリーリエがいう。対するルエは神妙な顔をしながら「眠気には勝てなかった」と答える。咀嚼が終わる前に次々と食べ物を押し込まれて、テオの顔がだんだんとハムスターのように膨らんでいく。
「リーリエ、テオが死にそう」
「ユーク、大丈夫よ。食べ過ぎて死ぬのなら死因としては幸せだわ」
「どっちかというと間抜けだと思うけど」
手に入れた蛇の皮は、アジェが朝の鍛練ついでに換金しに持っていったので、ユークの目にははいっていない。はずだ。そう信じたい。
しかし、アジェが一人で行くには些かの不安がある。
と、ルエが部屋の外を見据えた。
「……、……」
「ルエ、どうかした?」
「……呼ばれたから出てくる」
ルエは言うが早いか召喚士の装束を翻して、部屋を出ていった。
「……誰に?」
「さぁ……」
リーリエは、ユークに気がつかれないように息を吐いた。やはり、駄目だったのか、と。