表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

召還士は眠かった。


「……、という訳で皮ごと全部いただけたのはいいのだけど、このままだとどうやってもユークにバレるわね」

「あと、体力なくてへばってるテオをどうやって連れ帰るかも問題なんだな」

「……いぇーす」


はあ、と一つため息を吐くと、リーリエは指笛を鳴らした。これをならせば、ルエが救援を出してくれる手はずになっている。

……、はずなのだが。


「……こないわね」

「……来ないな?」


その間にテオは意識を失っている。アジェの背に持たれたままもはや動かない。


「寝落ちの可能性は」

「なきにしもあらず」

「……皮を持ち帰るためにはテオを犠牲にするしか」

「そんなことしたら本当にユークに泣かれるわよ」


テオは「自分にはなついていない」等と言ったが、ユークの心の拠り所はテオだ。

テオとユークがどうやって出会ったのかを二人はしらない。別段知ろうと思ったこともないが、彼らの結び付きはまるで家族のように思えるほど強固だ。本人たちがそれを知っているかどうかはわからないが。


もう一度指笛を吹くと、その瞬間にバサリ、と大きな翼をはためかせる音が背後から聞こえた。


「アイラ、あなたがきたのね。いい判断だわ」

「まったくだ」


振り返った先に居たのは巨大な漆黒の飛竜だ。


「こんな真夜中にありがとうな」と、アジェに声をかけられて気をよくしたのか、長い首を二人に擦り寄せる。

「ルエのやつ、どうせうとうとしてたんでしょ」というリーリエの言葉にはぐるる、と唸るだけであった。

アイラの黄色の瞳が若干泳いだのを見た二人は苦笑した。


まず、二人がかりで大蛇の皮を丸め込み、それから完全に眠り込んでしまったテオのことをアイラの背中に乗せる。ロープを使ってアイラの首の付け根にテオを括り付けると、二人も背中にしがみつく。丸めた皮はアイラの足がしっかりとつかんでいる。


「頼んだぞ」と言ったが早いか、黒の飛竜は薄ら明るい空へと飛び立ったのだった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ