ランク付けはそんなに大切なのか。
ユークは旅路に出る際に村にあった石を全て渡されたが、せいぜい十五個といった数だったそうだ。
それでは、何をするにも数が足りない。
ユークのパーティーはスキルを表す星の数も、残念ながら平均以下だ。
アジェとリーリエが星ひとつ、テオが星二つ。そして、なけなしの石を砕いてパーティーに入ってもらったルエの星が三つ。
最高位である星五つが一人もいない。
アジェが苦手だと言うこともあるが、交渉事がうまくいかない原因はこちらの方が大きい。先程のように大きな得物を持っていても信じてもらえない。
星一つは、何をするにも不自由だ。
「で、ユークは?」
「宿の裏を借りて、緊急回避の練習」
「テオ、見てやらないのか?」
「二人が帰ってくる前まで見てたんだけど、ちょっと、へばっちゃって。平気なフリはユークにはすぐバレるから素直に休憩中」
「なるほど」
窓際で外を眺めているのはそのためか。時折目を細めている姿はどうみても保護者だ。
「でも、どうするのよ、これ」
「道で拾ったとか」
「……流石に無理」
「デスヨネー」
「素直にユークに言おうよ、多分それが一番いいって」
「最初に怒ると思うぞ」
「……同意」
「うぐぅ」
「でも正直に話した方が後腐れないわよ」
「……確かに」
「じゃあ、いいね! ユーク呼ぶからね」
窓から身を乗り出しながら、ユークの名前を呼ぶ。
「ユーク! 二人が帰ってきたからお茶にしよ!」
嬉しそうなテオの声を聞いて、三人は小さく笑ったのだった。