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6話~混沌・アンドロイドは夢を見るのか~

アンドロイドのぼくは、少しずつ少しずつ カオスの中に身を浸していく。


ぼくはなんだかあたまがおもい。


たくさんのえいがを、

みすぎたときとか


げーむを、

ついむちゅうで

なんじかんも

やりすぎちゃったときのように、


くらくらしている。


映画?

ゲーム?


なんだっけ・・・?


ぼくは

いろいろかんがえていたいんだけど、


「もうねなさいよ」

あたまのなかで「まま」のこえがしている。






 一日のプログラムが終わって

スリープカプセルにはいる。

腰を固定するベルトがはまり、

扉がしまるのをまっている。

ぼくは指先で口を押し開けて、中から紙片を出した。

厚手の紙だ。

目を凝らしてみる。


文字は書かれていない。

さわやかな印象をあたえる色の、

これは洋服か?

そして耳の長い生き物。

これは知っている。

ウササギとかいう、獲物だ。

「ウササギを追ってしとめるキツネのように」という戦法を

インプットされたことがある。

ある?あるような・・・気がする。

では洋服をきているのがキツネなんだろうか。


そこまで考えたとき、自動扉が閉まりかけた。

ぼくはあわてて紙片を口に押し込んだ。

ぼくは頭がいい。

口はものをいれておくのに便利だ。

ぼくらアンドロイドにとって

口はなんの機能ももたないただの穴だから。




 ぼくはゆめをみた。

きょうのすいみんは、まばたきではなかった。

めのまえが、くろになっても 

あたまのなかで、

えいぞうがくりひろげられた。


そのがぞうは

じっさいにぼくがみるけしきよりも

ずっとあざやかだ。


みどりいろのもりがある。

かがやくような 

きんいろのかみのおんなのこが  

あおいふくをきて、

ほんをかかえてあるいている。


うさぎをみなかった?


おんなのこが

はなしかける。

くちがきけないぼくは、だまっている。

おんなのこはくすくすわらって、

ぼくのかおをのぞきこんだ。


どうしたの?ちゃーりー。

うさぎをおいかけなくちゃ

ものがたりは

はじまらないわよ。

はじまりがなくては、おわりもないのよ。



おんなのこは

ぼくのあたまをなでて、


かわいい、わたしのおとうと、


といった。




 ぼくは最近おかしい。

調子が悪い。

いや調子がよすぎるのか。

インプットされたこと以上の事が理解できるし、

知らないはずの言葉や画像が頭のなかに横切る。

それは順調にマスターブレインから

情報を吸収できている成果なのかもしれない。


知らなかったことを知るのは気持ちがいい。

まだまだぼくには未知のものがあるはずだ。

もっともっと吸収してみたい。


意欲。

好奇心。


一方で実は隊列を作って歩く事が

前よりやっかいになってきた。

まわりとあわせるということは、

これほど大変な事だったのか。


足をあげる角度。

手のふり幅。


もう一度プログラミングする必要があるのではないか。

とすれば、やはりぼくは不良品なのだろうか。

輪の中におさまれないぼくは、

欠陥品なのだろうか。


気をつけなくては。


不適合のリストにあがってしまえば

セクタを守る事ができない。

任務を遂行する事ができなくなってしまう。


セクタ。

守るべき都市。




でも、何のために?


 

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