5話~訓練所の異変~
アンドロイド・ぼくの異変に気付いた教官は・・
なにかがおかしい。
書類とモニター画面を見比べて、
進行状況をチェックする。
各アンドロイドの識別番号が映し出される。
教官は点滅するランプをみて舌打ちをした。
幸いな事に機械の異常は一機だけのようだ。
連動して全てのプログラムが停止しようものなら、
始末書では済まされない。
故障したブースは、
ああ、さっきの00213575番じゃないか。
あの違和感はブースの異常だったのかもしれないな。
教官はふんふん、と自分を納得させた。
00213575番だけプログラムの吸収率が遅れている。
まるで何かが詰まっていて、
ストローが吸えないような状況だ。
他の棒グラフは一定の速度で進行しているのに
ひとつだけ、中途半端なところで止まってしまっている。
彼は考えた末、一旦、ひとつの回線をオフにした。
リセットしてやり直すしかない。
しかし一体だけ時間延長というのも思案ものだ。
報告書にどのように書く?
一体のために、ほかのアンドロイドを待たせました?
ひとりぼっちでお家に帰すことができなかったので?
報告書の何倍の始末書が必要になることか。
彼は思い切って00213575番のブースに綱がる
回路を
蛸足配線から切り離し、
メインブレインに直接繋いだ。
高速ダビングといくか。
スイッチをふたたびオンにした。
00213575番のなかに
濃厚な情報がものすごいスピードで
注入されていく。