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序章~ぼく~
セクタ・シティ。
都市の名称。
ぼくが守るべき地域の名称。
この知識はぼくが「ぼく」として目覚めたときから
インプットされていたものだ。
整然とした灰色の四角い建物の間を走るまっすぐな道。
そこをぼくたちは毎日二回行進する。
明るくなった時間に、訓練所に向かうときと、
薄暗くなった時間に、スリープカプセルの並ぶ建物に戻るとき。
ぼくたちの隊列は二列縦隊。
足をあげる角度とリズム。
手の振り幅。
あごと首の角度。
全てはぼくの中にインプットされている。
インプット。
ぼくの脳の中身はすべて、
訓練所の中にあるマスターブレインのコピーだ。
「ぼく」になった日から、毎日少しずつ注入されている。
ぼくは、アンドロイドだ。
ぼくたちは、アンドロイドだ。