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魔導学園の頑張らない少年  作者: 暇な青年
第一章 頑張らない少年
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第六魔導 精霊講義

 さて、五月の夜に精霊たちと一緒に精霊講義と言ういきなりの展開だがまぁ、断る理由も無いので先ほど問われた『精霊との契約』について説明しよう。


 「あー……っと、精霊との契約っていうのは言ってみれば精神魔力の交換だ……だよな?」


 「その通りですよ主」


 確認のためディーネに聞いてみると頷いてくれた。

 さて、話を続けよう。


 「自分の持つ精神魔力が高ければ高い程、上位精霊との契約を結ぶことができる。で! 契約に必要な魔力は最低でも1000。一般的な魔力で考えれば下級精霊一体と契約がギリギリできる。ただし、魔力が足りたからと言っても契約ができる訳ではなく、精霊にも拒否権がある。まぁ、拒否されたら終わり。それと偶に向こうから契約内容を指定してくる場合がある。その内容を了承できれば魔力が足りなくても契約を結べる」


 「その通り。それじゃ柊羽、精霊の階級と階級で何が変わるのかしら?」


 うんうん、流石は主、って満足しているディーネの横にいたルフがツインテールを揺らして右手を挙げた。これじゃマジで生徒と教師の図だな。ははっ。


 「えー……たしか四つに分けられ下から下級精霊・中級精霊・上級精霊……さいごにそれぞれの属性の精霊を束ねる五人の精霊──────」


 一瞬だけ俺の前で生徒の様に俺の説明を聞いている五人の精霊を見下ろし内心でため息。

 なぜかって? 簡単だ。それは──────


 「五大精霊」


 だからである。


 「で、階級の違いは……言ってみれば覚える魔導の種類。例で言うと下級は10魔導しか覚えていなくても、中・上級なら20、30と魔導を覚えている。つまり、上の階級の精霊と契約した方が強い魔導を使うことができる。さらに下級精霊のみ契約者以外の人間とは喋れず、契約者のみと話せる。ただし、精霊同士では会話ができる」


 一旦言葉を区切り、他に何かないかを思い出す。他のを思い出すのはそんなに時間はかからなかった。


 「あとは……そうだな。精霊の姿、だな。契約精霊はみんな人形の様な可愛らしい姿になっているが実はそれは本性ではない。本来は俺たち人間の様な姿だったり、おとぎ話に出てくるような姿だ。で、誰かと契約した精霊は本来の姿から今の可愛らしい姿となり、元に戻ることはできない……ただし、五大精霊おまえらは別だな。やり方は知らないが元に戻ることもできるんだろ?」


 「さっすが柊羽せんせ~、大正解!」


 自分たちの事を言われたのが嬉しいのか満面の笑みで両手を上げるルフに可愛いと思ってしまう。思うというより可愛いな。


 「それじゃ──────」


 「まったまったシュウせんせ!」


 ……さっきから思うのだがいつから俺は先生になったんだか。


 「はい、シュラ君?」


 「普通の人はどれくらいの精霊と契約できるんだ?」


 「そうだな……生まれつき精神魔力が低い人もいるからなぁ……そういった人ならさっき言った通り向こうが提示してくる契約内容によっては結べるから…………

 一般的魔力なら一体だが魔力は人それぞれだからな。魔力が4000以上あれば二体。普通はここまでも十分凄いんだが、うちの学園には魔力を8000を超える生徒が数人いる。そいつらは三つ契約してるんじゃないか?」


 少なくとも俺は一人心当たり、と言うより契約している人を知っている。


 「そうそう、契約精霊の数で魔導師のランクも決まってる。

 下級精霊一体なら下級魔導師。下級精霊二体、または中級精霊一体と契約していれば中級魔導師。で、上級魔導師は下級精霊三体か、中級精霊二体。もしくは上級精霊一体と契約していれば上級魔導師だ」


 めんどくさかったから省略したが極級魔導師は上級精霊三体以上と契約し、尚且つ総合的実力が無いと選ばれない。いや、どれだけ強いんだって話だよ。


 魔導師ランクの決定は下級~上級魔導師ならその国の決定で。極級魔導師なら他の国の決議も必要である。


 「ほぉ~。それじゃ、五つ……それも五大精霊と契約している柊羽せんせは凄いんだ~」


 「うぐっ……それを言うな。学園では頑張ることの無い下の下レベルの男子生徒なんだからな?」


 そういうとシュラはブーブー、とブーイングするが取りあえず無視。さて、これで十分かな? なんて自己満足をしていたらディーネ達の表情が一斉に険しくなった。俺の方でも遅れながらその理由が分かった。


 そのうえでシュラがもう一度しかし険しい顔つきで質問してきた。


 「最後にシュウせんせっ。次にするべき行動は?」


 「そうだな……取り合えずめんどくさいのに巻き込まれる前に撤収だな。お前たちは戻ってくれ。俺は鍵を掛けるから」


 イメージで言うと現在進行形であふれ出る精神魔力を窮屈な壺に封じ込んで鎖でぐるぐる巻きにして南京錠を掛けたようなものだ。ここまでの事を時間で5秒。精霊たちもすでに姿を消していた。


 「さて──────」


 俺としてもさっさと部屋に戻りたかったため、できるだけいつも通りの足取りで第三グラウンドから出て土手を上ったのだがタイミングが悪かった。


 「この学園の生徒か?」


 土手の上には一定間隔で電灯が設置されている。それなのに声を掛けてきた相手のシルエットは見えるが顔の表情や服装などは闇の中にいるようでまったくわからない。


 分かるのは──────相手の背中には身の丈程の刃物を背負てるってところだな。


 やれやれ、本当にぶっそうな世の中だよ、と心の中で運の無いことを呪う俺だった。


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