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魔導学園の頑張らない少年  作者: 暇な青年
第二章 闇の精霊強襲
42/54

第四十魔導 水蒸気爆発?

本編には関係ありませんが先週に一番初めの方に『魔導劇場 キャラ紹介』を割り込み投稿しました。内容は柊羽と菜月がお喋りしながら(ネタバレ込の)キャラ紹介です。よろしければ読んでみてください。


キャラ紹介の続きは今度。


※2/24

智香の創具名を変更

 よいしょ、と屈伸を数回した後に腕のストレッチ……アーム・プルってやつだっけか? 片方の腕を逆側に持っていき、もう片方の腕でその腕を抱え込むようにするやつ。それを離れた場所でしている智香。


 結界内をぐるりと見回すが見えるのは隣接している結界内で戦闘している生徒たち。それを見て点数を付ける先生たち。はぁ、とため息をついて俺は上を見上げる。透明な結界よりさらに上に存在する空……まぁ曇天なんだけどな。とりあえずボーッと眺めているとよし、と元気のよい声が聞こえてきた。


 「もういいのか?」


 「うん。準備万端! 柊羽こそ覚悟はできた?」


 「まぁ……」


 覚悟なんて最初っから無いけどな。正直言えば、この実技テスト自体、毎回サボりたいぐらいだよ。めんどくさいし。だが、そんなことしてたらマジで留年しちまうからなぁ。よく分からんが俺が留年したら美緒が泣いちまうからなぁ……


 「そんなわけで頑張ってるように見える様に戦って、さっさと負けるか」


 「いくよ柊羽」


 「はじめっ!」


 丁度俺たちの中間ら辺に立っていた先生が手を掲げ、一瞬で下に振り下ろした。それをと同時に……いや、若干フライングじゃないか、と思えるぐらいに智香が動き出した。


 智香の使える魔導の属性は炎と水の二つだっけか。以前は魔導だけで戦う凛姉と似た戦闘スタイルだったんだが、この学園に入学してからは魔導を使いつつ、接近戦もできるオールラウンダーって感じになったんだよな……ちょっと俺と似てる気もするな。


 「おっと! 紅」


 俺から一定の距離を保って動いていた智香がピタッと動きを止めたので、透かさず紅を放つ。

 一直線に放たれた炎を跳躍して避けてみせる智香はまるで舞台の役者のようだ。そんなことを思っていると空中でくるん、と一回転してみせた智香はいつの間にか魔方陣を完成させていた。


 「我、契約図を描き、此処に招来す──────散花火さんかび」 


 魔方陣から形成されたのはサッカーボールよりちょっと大きめな炎の球体だった。それを俺に向けて放つのかと思ったが、智香は再び空中でくるん、と空へと体を向け、炎の球体を放った。

 炎の球体は結界ギリギリまで飛んでいくと爆音と共に破裂した。それは無数の火の粉となって花火の様に花の形を作り出して……降り注いできた。


 たく、めんどうな魔導を覚えてることで。つか周りの観客もおー、とかたまやー、とか声を上げるなよ。


 心の中で関心しながら頭の上に魔方陣を描く。青色に輝く魔方陣を完成させて、さっさと詠唱。


 「我、契約図を描き、此処に招来す──────朧水面」


 頭上に形成された水で出来た円形の盾に無数の火の粉が降り注ぐ。一つ、また一つと火の粉が朧水面にぶつかり蒸発していく。それは次第に俺の姿を隠して行った。


 いや、逆か。俺が視界を遮断されたのかな?


 右を見ても左を見ても水蒸気によって何も見えない。これは困った。風魔導を使えば吹き飛ばせるが……ここで風魔導を使ったらまた周りから、お前風精霊とも契約してたのか、とか聞かれるだろうし……あー、どうすっかなぁ。


 「とりあえず─────」


 右腕を透かさず斜め後ろに持っていき魔方陣を描く。


 「気配がある方にぶっ放すか。くれ─────」


 紅を放とうとしてた俺は動きがピタッと止めた。 

 あれ?ここで紅ぶっ放したら水蒸気爆発、なんて事になんないよな?


 「あ~、めんどくさいなぁ! 流蒼」


 爆発なんて起きたらシャレにならないので炎魔導から水魔導に変えて、放つ。水蒸気を一直線に貫く水流はそのまま気配のあった所を貫き、結界内にぶつかる音が響いた。が、これは─────


 「あたった感じはしないなぁ……それとも気のせいだったのか?」


 再びキョロキョロと周りを見ると徐々に水蒸気が晴れていくのが分かる。

 いつでも撃てるように魔方陣を描き、魔力を注ぐ。そこで動作を止める。


 「……ん?」


 晴れていくなか、俺の視界にはビー玉サイズの丸い影が見える。それも一つや二つではなく、数十と言う数。


 「何かの魔導か?」


 完全に晴れ、視界良好となった俺の前に現れたのは半透明な玉がユラユラと浮かんでいた。

 やべぇな、と距離を取ろうとしたがいつの間にか囲まれていた。水蒸気で視界を遮られている間に智香がやったんだろうけど……一体なんなのやら。


 「触れたら爆発する、とか?」


 うわぁ、それはやめてほしいわ。


 と苦笑いを浮かべていると奥の方に智香が居た。口の高さまで持ってきて右掌をこちらに向けながら口元を緩めてる。

 そして俺の目が悪くなければ右手の指と指の間には俺の周りに浮いている半透明な玉を挟み込んでいる。


 「そろそろ本気出してよ、柊羽」


 「やだよ、めんどくせぇ」


 そう返すと一目でわかる程、智香の表情はムッと険しくなった。


 「なら本気になってもらうまでよ! この乱鎖玉輪らんさぎょくりんで!」


 「乱鎖……玉輪?」


 聞いたことないな。さすがに五大精霊がしらない魔導なんて考えられないし……考えられるのは智香だけの専用武器。つまり創具か。


 適度に頑張って負けるつもりが大変なことになったな。はぁ、さっきの散花火で負けてればよかった。とまぁ、嘆いても仕方ないか。あっちも創具を引っ張り出してきたことだし、もう少し相手しますか。


 「妹の成長ぶりも見てみたいしな」


 ポツリと小さく呟き、微かに俺は笑った。


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