第三十七魔導 雪奈の正体
久しぶりの更新です。
内容薄いです。
重く閉じた瞼を開くと、そこは辺り一面真っ白の空だった。いや、違う。真っ白の天井だ。俺がそれに気づくと薬品特有の匂いが鼻を、心地よい夏の風が頬をくすぐってきた。
「……ここは」
「あ、目が覚めた? 柊羽くん?」
「……麻美さん? あれ? 俺は──────」
麻美さんが安心した表情で俺を見下ろしてた。
とりあえず今がどうゆう状況か理解できず麻美さんに聞こうとしたら、それを遮って別の女性の声が。
「目が覚めたか、如月 柊羽」
視線だけを彷徨わせるように声の方へ向けると腕を組んで、壁に寄りかかってる雪奈先生が見えた。そこでやっと思い出した。
確か、よくわからん理由で雪奈先生に試合(死合?)を申し込まれて、嫌々やってたが途中でマジになって最後は─────
「あー……不死身鳥に貫かれたのね。俺」
状況が理解できたことによって、ここがどこかも理解できた。ここは魔導学園の保健室で、俺は室内のベッドの一つに寝ている。隣のベッドに暴発しそうになった生徒がいるかも、と思ったがどーやらもう帰ったらしい。
暴発少年、意識戻るの早かったな。
「え? 鳥?」
目を開けて呟いたら麻美さんが不思議な顔して聞き返して来たので、なんでもないです、と答えた。
「思い出したか。まぁ、学生にしたら中々の実力だが……五大の契約者としては半人前だな」
「すいませんね。半人前で」
いじける様にそっぽ向く俺に、くっくっくっ、と笑う雪奈先生。そのやり取りに一人頭の上に?マークを浮かべる麻美さん。
そーいや、麻美さんに五大の事話してなかったっけ?
「あー、実は俺の契約精霊って─────」
◆◇◆◇◆
「つまり、あの五大精霊と柊羽くんは契約を交わしていて、でも柊羽くんは五大精霊の能力を全開に使えてないって事ね?」
「……まぁそんなとこ」
五大精霊の事を説明したから驚いてたけど、それ以外はなんも無かった。つか、本当の事だがちょっち傷つくわ、と内心泣いてたり。
「それにしてもやっぱり涼子ちゃんは凄いね!」
「ん?」
なにが?とでも言いたそうな表情で雪奈先生は麻美さんを見る。麻美さんも笑顔で雪奈先生を見る。
「昔と変わらない強さ。それと、柊羽くんの秘密に気付いた事だよ。やっぱり、涼子ちゃんが極級魔導師だからなのかな?」
……?
あれ? 今、麻美さん、雪奈先生の事何て言った? 何魔導師だって?
俺の目は今、点になってるだろう。その点になった目のまま俺は麻美さんと雪奈先生を何度も交互に見る。
「戦闘面に関してはそうかもしれないが、如月 柊羽の五大の事は私ではなく、契約精霊が教えてくれたのさ」
雪奈先生は特に隠す事も無く普通に返してる。
……マジで?
「あ、あのぉ……」
「なんだ如月 柊羽」
「そのぉ、雪奈先生は極級魔導師……なんですか?」
それを聞いた雪奈先生は哀れむような目で一言。
「今の話を聞いてなかったのか? それとも不死身鳥に貫かれた所為で記憶障害でもできたか?」
酷い言われようだな。だが、んなことはどうでも良いんだよ!どーりで強いわけだ!つか、なんで極級魔導師がうちの学園にいるの!?
「そうだよ柊羽くん。涼子ちゃんは世界で三人しかいない極級魔導師の一人なんだよ~。そして私の大事な親友よ」
「麻美……そーゆうのは私が居ないとこで言って」
口元に手を当てて恥ずかしがってる雪奈先生と笑顔の麻美さん。俺は、と言うと未だに目が点状態で口を金魚の様にパクパクしているのであった。




