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魔導学園の頑張らない少年  作者: 暇な青年
第二章 闇の精霊強襲
36/54

第三十四魔導 相手をしてくれるか?

新ヒロインです!


クオリティ?なにそれ?

クオレ・ディ・レオーネの間違いじゃない?www

 俺たちは謎の紫髪の女性に襲われたのち、騒ぎを聞きつけた担任の宮根先生によって謎の女性と一緒に学年室に連行されることになった。とりあえず、めんどくさかったのであの場であった出来事は菜月と美緒、それに智香に説明してもらった。


 うんうん、と話を聞いて頷く学年主任の隣で腕を組み、じーっと睨み殺すような視線を向けるスーツの女性を何とかしてほしいわ。直登は視線だけを、剣呉は腕を組みスーツの女性を見る。


 俺は、と言うと──────


 出来るだけあの人と目を合わせないようにあさっての方向を眺める。学年室はエアコンが効いているため丁度良い温度なのだが、先ほどの出来事があったため汗が冷えて若干寒い、とも言えるな。


 「─────わかった。如月!」


 「ふぇ?」


 いきなり呼ばれたので変な声を出してしまった。

 とにかく学年主任の方へ向くとバシッと肩に手を当ててきた。それはいいのだが痛いわ。


 「よく暴発しそうになった生徒を助けてくれたな。俺は信じてたぞ、お前がやるときはやる男だって!」


 「……はぁ」


 嘘つけ。去年まではあんだけ万年ビリッケツや見下した視線ガンガンにやって来ただろあんた。

 とまぁ、心の中で毒づいてもしょうがないんで一先ず肩に乗っている手から逃れる。


 「それで暴発しそうになった生徒はどうした?」


 「それなら……どうしたっけ?」


 スーツの女性ばっかに目が行ってたから忘れてたわ。その生徒をどうしたのか、と目で菜月に訴えると困った表情で代わりに答えてくれた。


 「あの子は担任の先生である、宮根先生が保健室に連れて行きました」


 そーいや、俺たちを学年室に連れてくまで生徒を担いでたな。あれから保健室に連れてったのか。

 納得した俺は学年主任と同じくうんうん、と頷く。頷いていると美緒が学年主任に声を掛けた。


 「ところで先生、聞きたいことがあるんですが」


 「ん、なんだ天城? 言ってみろ」


 美緒はチラッと学年主任の隣で腕を組み、俺を睨んでいる女性を見てから続きを言った。


 「その人は何者なんですか? いきなりあたしたちを襲ったと思えば、宮根先生や学年主任である先生までも、あの人には控えめと言うか、なんというか……」


 そこまで言って美緒は言葉に詰まった。

 そしてその疑問は俺たち全員が思っていた。


 そう、すぐに駆け付けた宮根先生はあの女性をグラウンドで見かけた時、一瞬だけ驚いて頭を一回下げた。何よりここに連れてくるまでの間、宮根先生は彼女に失礼のない様に話してるように見えた。で、学年室に来たら来たで、学年主任までも彼女に頭を下げ、失礼のないような言葉使いだった。


 ここまで先生たちが緊張する相手ってことは相当な人なんだろうな。


 「あ、あぁ。この人はな─────」


 「結構です。緒霧おぎり先生。ここは私が説明します。とりあえず……久しぶりの学園なので彼らを連れて散歩しても?」


 冷たい表情から向けられる鋭く刺さるナイフのような視線が俺から学年主任に移った時、先生は蛇に睨まれた蛙、と言う言葉が俺の頭の中に浮かんだ。


 「え、えぇ。もちろんですよ、雪菜先生」


 先生!? こいつがぁ?

 目の前の女性が教師と言う事実に俺だけでなく、直登たちも表情が大きく変化していた。


 「それでは失礼します。お前ら、私に付いて来い」


 鋭い視線を一瞬だけ向けると学年室から出ていく雪菜せつなと呼ばれる教師。俺は一人一人と顔を合わせると、雪菜先生の後を追いかけるのだった。 






 ◆◇◆◇◆

 雪菜先生は学年室から出てすぐの窓を開け、外の景色を眺めていた。夏風にそよぐ紫の髪と美しい横顔に一瞬だがドキッとしていたら俺たちに気付いたようだ。そして再び向けられる鋭い視線。何とかならない? その視線。

 俺の思いが伝わったのか、はたまた顔に出ていたのか分からんが雪菜先生は鋭い視線をしながらふっ、と笑った。


 「すまないな。生まれつきこう言う目つきなんだ」


 「え? あ……いや、別に謝らなくてもいいですよ」


 冷たい表情の中にあった優しい表情。麻美さんとは違った大人の笑顔に再びドキッとする。が、次の瞬間、足から痛みが駆け上がってきた!


 「いっ……てぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」


 「ふん!」


 痛ぇ……智香の奴いきなり足を踏むなよな。それも思いっきり踏みやがって。若干涙目になっているである目を雪菜先生に向けるとすでに彼女の表情から笑みは消えていた。


 「久しぶりに学園に帰って来たんだ。話し相手になってもらうぞ……それともこの後何か用事があるか?」


 歩き出そうとした彼女は一旦止まりこちらに振り向いた。俺は特に無いので顔を横に振る。それにあれだけの魔導を使え、尚且つ俺が五大と契約していることを知っているこの人が気になるしな。


 「すいませんが、私はこれから姉さんと会う約束がありますので……」


 ちょっと言い難そうに智香が言うと彼女はそうか、と言って他の奴の返事を待つ。続けて直登と剣呉も予定があるとか言いだした。菜月と美緒も最後だからか言い難そうに予定があると言った。


 え?お前ら自主練の後に出かける気満々だったのな。俺だったら部屋に籠って寝るわ。

 と心の中でこの後する予定だったことを思い浮かべて笑った。


 「そうか。一人になってしまうがそれでも相手をしてくれるのか? 如月 柊羽?」


 「別にいいですよ。どうせ暇ですしね」


 笑って答える。


 「そうか。それでは行くぞ。他の者は授業で会おう」


 それだけ言って彼女は廊下を歩きだす。俺も直登達に後でな、と言って彼女の横まで走っていく。 


 「廊下は走るな、と教えられなかったか?」


 「雪奈先生はそんなことを気にする人なんですか?」


 「私自身、そんな事は気にしないが、これでも教師なんでな。言う事だけは言っておく」


 またしてもフッと笑う横顔に心臓が跳ね上がるのだった。

 俺、大丈夫かな……


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