第三十一魔導 なかなかお似合い?
八月一発目だっZe!
クオリティ? んなもん関係なーい!
女性陣からの視線を回避するため、勿体ない感があるが凛姉を引き離し、一呼吸した。
「まぁ、五大精霊との出会い話に、若干俺が頑張らなくなった理由を言っちまったな」
「そーだな。だがこれからはそーは言ってらんねぇぞ?学園内でもお前の実力はそれなりにバレてるしな」
そうなんですよ直登君! あの……あー、相手の名前忘れちまったが何か月か前の実技テストでバレちまったし、その次の月の実技テストであっさり負けたら怒られた記憶が……
「いっそのこと毎回、全力でやればいいじゃない? 柊羽が思ってたことは子供の頃のことであって、今の私達からしたら才能・天才って言葉で尊敬されるし?」
「やだよ、めんどくさい。今の俺はこの生活が気に入ってんだよ」
美緒の提案にないない、と手を横に振りながら笑って拒否する俺。たしかに公言した範囲で頑張るのは……まぁ、頑張ろうと思えば頑張れるけど、如何せんこの数年間頑張らない生活をしてきたからな。この生活が俺に一番合っているような気がして頑張る気になれんのよ。
「そう言えば柊羽君。あの時の事なんだけど……」
智香の横に座ってた凛姉は何かを思い出したようで、ちょっと言い難そうな表情をしている。
「あの時?」
対して俺は、と言うと……『あの時』が『どの時』なのか分からないので凛姉が何を聞きたいのかサッパリわからんのだ。
それが分かったのか凛姉は五大精霊を召喚する前に言った事、と言って来た。
「……あぁ。あれね」
少し遡って思い出した。確か……
『でもって、今から起こる事を見ないでくれ』
とか言ってたな、俺。
「あー、今となっては杞憂だったな」
「え?」
後ろ首に手を当てて言うと凛姉は何とも言えない表情になってしまった。
「いやー、極級魔導師みたいに魔力を10000以上持ってる人って魔力だけで相手に威圧を与えるって言うじゃん? 実際、さっき昔話した時に他の生徒が怯えてたのはそれも関係してるって、前にディーネに聞いたし」
「でもそれは10000以上保有してた場合だろ? お前はその時2000だろ? それだけで相手に威圧を与えるのはおかしくないか?」
「剣呉の言う通りだ。だがその『10000以上』ってのが実は間違えなんだよ。そこら辺の話はディーネたちに聞いたんだが人によって変わるらしいが自分の保有している魔力より5倍~10倍の魔力を持つ奴に威圧を感じるらしい」
この話はぶっちゃけ世界中でも知られてない。いや、極級魔導師レベルになると分かってるのかな?
おかげでまたも部屋の中には驚きによる静寂が広がってるよ。
「簡単に言うとRPGゲームならレベルがちょっとの差ならまぁ、作戦と運で勝てるけど10レベも離れてたら作戦も運も無く一発でゲームオーバーだろ? そんな感じよ」
「はぁん……まさかの真実だな」
「そうだな。これは魔力の低い奴は戦い方を考えないとな。俺はもともと魔力が低い方だし」
男子である直登と剣呉は二人してこれからの戦い方など、いろいろ話し合い始め、ゲームの例えで女性陣には分かったのか? と疑問は残ったがどうやら分かってくれたようで知らなかったー、などの呟きが聞こえる。
そして静かだな、と思ってたらシュラ寝てるし。他の連中もディーネの頭や肩に乗っかってるし。
こう見ると一家族って感じだな。そーするとお父さんがシュラでお母さんがディーネか。
「なかなかお似合い?」
膝の上ですやすやと寝ているシュラの頭を優しく撫でるディーネの姿につい和んでしまった。
精霊にも恋愛ってあるのかね? 今度聞いてみるか。
「何か言いましたか? 主?」
俺も恋愛……
「いや、なんでもないよ」
いや、今が幸せなら別にいいか。




