第三十魔導 過去
やっと……やっとでけた!
クオリティ?なにそれ、美味しいの?状態です!
矛盾?なにそれ、美味しいの?状態です!
久しぶりなんで暖かい感想が……ほしいなぁ
「どこから話すべきかな……とりあえず初めから、でいいか」
今から言う内容を、記憶を思い出し、五大精霊に視線を向ける。向こうもなんだ?と言いたそうな目線が返ってきた。
なつかしいな……お前たちと出会わなかったら今の俺はここに居ないようなものだし。
俺は一人ひとりに視線を向けてから口を開いた。
◆◇◆◇◆
まずはじめに言っておくが、俺は何も最初っから頑張らなかったわけじゃない。そりゃ、小さい頃は世界一の魔導師になるんだ、って張り切ってたさ。
……あの頃まではな。
それは小学校二年生の時の話だ。
知っての通り、俺たちは小学校では知識としてだけ魔導を覚え、中学校では精霊との契約ができる。魔導を使うときも教師たちが用意した的に向かって魔導を撃つだけの授業だ。対人戦・応用魔導などは魔導学園に入学してからだからな。
分かってると思うが魔導、つっても精霊と契約してる訳じゃない。教師たちが用意した『簡易魔導』と呼ばれる御符を使ってな。
簡易魔導は腕に付けて魔力を注ぐだけで魔導が撃てる、と画期的なアイテムだが、やはり精霊と契約した方が何倍も威力があるため、小学校の授業でしか使われてないな。
で、小一では出来なかった魔導が二年生になって撃てる、と言うわけでどの生徒も無邪気にはしゃいでたな。もちろん俺もその一人だ。だが、はしゃぎ過ぎたんだよ……俺は。
小さかった俺は人より魔力が多い、ってことがどれほど重大な事なのか分かってなかった。小学生、それも低学年の魔力は多くても200ちょっと。教師たちも安心して撃たせてたんだろうな。
やー、だのいけー、だの無邪気に魔導を撃ってた友人たちに合わせて俺も炎弾を放ったよ。
……半分の魔力でね。
◆◇◆◇◆
「半分って……当時のお前の最大魔力は?」
思い出しながら喋っていたため、次の出来事を思いだしてしまい一旦口が止まってしまった。直登は俺が再び口を開く前に聞いてきた。いつの間にか皆は黙っており、部屋の中は静かになっていた。
「当時の最大魔力は……2000。下手すれば一部の大人より多かったな」
「「「……!」」」
魔力を聞いた直登はそうか、とだけ返してきた。凛姉や智香……いや、部屋にいる者、全員次の出来事が分かったのか黙ってしまった。それでも俺は構わず話を続けた。
◆◇◆◇◆
俺の放った炎弾は簡易魔導だってのに、周りの炎弾を弾き的に一直線。炎弾が的に当たると的を中心に炎が渦巻いた。炎はそのまま空の柱になったかのように空高く伸びていき、熱風が俺らを襲った。
立ちすくんでしまった生徒。泣いてうずくまる生徒。逃げだす生徒。反応は様々だったな。
俺は、と言うと……
自分の手を眺めてたよ。
俺としては他の奴と同じようにやってみただけだった。それなのに目の前では炎の柱が伸び、教師たちは顔色を変えて生徒たちを避難させたり、水魔導を放ったり、散々だったな。
その日はそれで休校。
次の日学校に行ってみると他の奴らの目はいつもと違ってたよ。あれは人を見る目じゃなかった。化物を見る目だった。
ちなみに誰があれをやったかはクラスと教師たちだけの秘密だった。
◆◇◆◇◆
「……酷い」
菜月の一言によって俺は思い出すことを一旦止め、視線を向けた。そこでは菜月が目に涙がたまっていた。
「おいおい、泣くなって。それに今思えばあいつらの反応は正しかったよ。今の俺たちが優れた魔導師を間近で見たら憧れる、もしくは超えてやる、って気持ちになるかもしれないが、あの歳で見てしまったら化物でしかないよ」
苦笑。
「そして俺は気づいた。力ある者は憧れる存在ではなく、疎まれる存在だってことに。だったら頑張って凄い魔導師になる必要ないじゃん、って」
◆◇◆◇◆
その日を境に俺は孤立した。教師たちも表ではお前は才能がある、だの極級魔導師なれるぞ、言ってたけど内心どうだったのかね?
だから学校には行ったけど魔導の授業には出なかった。
そんな生活が小六まで続いてた。そんなある日、一体の精霊と俺はであった。下級の炎精霊“バル”だった。
バルは今までの俺の生活を影で見てきたらしい。どうも見るに見かねたらしく、俺の前に現れたらしい。
おい、人間! 俺がお前を救ってやる! とか抜かしてな。
あの時は何言ってんだこいつ? とか思ってたけど今ではバルに感謝しかないよ。
バルは夜の学校に来い、つってその時は消えたよ。で、俺はと言うと何となくで夜の学校に行ったよ。
10時くらいだったかな? 門をよじ登ってグラウンドに行くとバルが居たよ。バルだけじゃなく、五大精霊もな。
『こいつか』
『確かに膨大な魔力を感じるわ』
『ふーん』
とまぁ、口々に色んなことを言われたな。
ディーネの言う通りその頃の最大魔力は今と同じ20000だったな。
『どうだ? オレらと契約してみねぇーか?』
内容すっ飛ばして結果だけ言って来たシュラには驚いたな。いきなり五大に契約しないか? って言われたら誰でもきょとんとするわ。
なんでも五大の力を使えば俺の魔力を抑えることができるらしく、これで俺が疎まれることは無いだろう、との考えだったらしい。丁度二か月後には卒業して中学に入学って時だったからな。俺はこちらからお願いしたさ。
一人4000×5体で魔力すべて使ったけどな。
◆◇◆◇◆
「まぁ、これが俺と五大精霊の出会いだ。これで十分か?」
なつかしいな~、とか頷いてるシュラやニコニコと笑っているディーネ。菜月と美緒は涙目でうなずき、智香も黙ったまま頷いていると、その隣に座っていた凛姉がすくっと立ち上がって近づいてきた。
なんだ? と思って声を掛けようとしたらギュッと前から凛姉に抱きしめられた。いきなりの出来事にあたふたしていると凛姉は涙声で体を震わせていた。
「ごめんね。私……柊羽くんが辛かったことに気付いてあげられなくて」
俺は凛姉を抱き返し、ポンポンと背中を叩いた。
「……別にいいよ。俺も家族には心配かけたくなかったから。それに凛姉やみんなが居てくれたから俺は大丈夫だったよ」
「うん……うん!」
背中を優しくたたきながら凛姉が落ち着くのを待っていたのだが……視線が痛いです皆さん。
それも女性陣からの視線が。菜月と美緒は涙目のジト目。智香は赤くなった両眼でキッと睨みつけてくるし、後ろではディーネさんが薄ら笑いが若干聞こえるんですが。
「柊羽くん……柊羽くんっ!」
凛姉はわざとなのか知らないけどさっきより強く抱きしめてくるのよね。その……胸板に凛姉のお山二つが、ね。
「「「「柊羽 (如月君)(主)……?」」」」
「ちょっ……!?」
慌てふためいている俺を他人事のように楽しんでる(他人事だけどね)二人が見えた。
「やれやれだな」
「シリアス展開じゃねーのかよ」
直登と剣呉は面白そうに笑っていた。




