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魔導学園の頑張らない少年  作者: 暇な青年
第一章 頑張らない少年
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第九魔導 フラグ?

  『五大』を狙うシルエット男。当然、次の日に何があった職員に問われ菜月と美緒と一緒に起きたことをそのまま話したのだが……やる気の無い俺が言ったからなのか職員たちは半信半疑、と言った風に聞いていたが、そこはあれだ。菜月と美緒のフォローで信じてくれた。 てーか、最初っから信じる気ないなら呼ぶなって話だよな?


 結局この話は生徒に教えることはなく、俺としても問題になるのは困る。そのため生徒で知っているのは俺と菜月、美緒。それ以外は直登と剣呉にはこっそり教えた。それと、約束していた直登たちとの戦闘だが無くなり、ホッとしたのはここだけの話。



 

 ◆◇◆◇◆

 ってことで現在遭遇から三日経ったお昼。

 この前みたいに教室で即席テーブルを作り昼食をとっている。菜月と美緒は弁当持参で俺と直登、剣呉は常時売っている購買で買った普通のパンであって、人気のパンではない。


 「そーいや、パン買い忘れたとき、寮の食堂に行けばよかったんじゃね?」


 「バカ言え。そんな疲れることするぐらいなら飯抜きにする!」


 直登の質問に胸を張って答える俺に周りからはため息、苦笑、呆れ、などの態度が見られたが特に気にしない。

 そんなことをしていると隣に座っていた剣呉がふと、何かを思い出したように声だけを向けてきた。


 「そーいや、あの二人と会ってないけどいいのか? あの二人の事だ、そろそろ怒ってるんじゃないか? 新学期始まって一度も会ってないんだろ?」


 「……おまえ、俺に死ねって言ってるのか?」


 今の剣呉の言葉は俺にとっては死ね、と同意義であった。それは剣呉も知っているはず。だからなのかふっ、と笑うだけでそれ以上何も言ってこなかった。

 確かに剣呉の言う通り二年生に進級してからまだ一度も会って無いな……まぁ、俺としても学園では会いたくない。百歩譲って寮の部屋でなら……う~ん。


 なぜ俺がここまで会うのを渋るかと言うと問題は相手にある。小さい頃に両親が他界してから俺はお隣の家で厄介になっていた……後で聞いた話によると両親の学園時代の親友らしく家が近い方がすぐ会える、と言うわけで仲良くお隣同士で住んだらしい。で、厄介になった家には姉妹が居たんだが……それがとっても可愛くてガキだった俺でも顔を真っ赤にしたよ。


 と、小学校に入る前の記憶を思い返しているといつの間にかの買っておいたパンが綺麗に無くなっていた。ん?


 「あれ? 無意識に食ってた?」


 首をかしげる俺を口に手を当てて笑うのを堪えている直登の表情が見えた。

 つまりこれは……

 

 そこで俺は隣に座っている美緒に視線を向けると惚けた顔して何?と聞いてきた。それも口に物を入れて手にはパンの袋を持って。


 「おまっ……また人の昼飯食べたのかよ!?」


 「失礼ね! あたしはしっかりいらないなら貰うよ? って聞いた。ねっ、菜月?」


 菜月は頷いてはいるがその表情はどこか憐れみを含んでいるように見えたが無視しよう。無くなってしまったのはしょうがない。


 そんなこんなで今日の昼が終わりをつげ、午後の授業となった。




 ◆◇◆◇◆

 午後の授業は普通の数学である。木曜日の今日は週で唯一、魔導実習の授業が無い日。つまりただの高校である。俺は片肘を付き、適当に勉強しているふりをしながら外で野球をしている三年生を眺める。どーやら普通に体育をやっているらしい。


 じーっと第一グラウンドで汗水たらして野球をする姿を眺めてると後ろから背中を突かれた。俺は顔を外に向けたまま視線だけを頑張って後ろに向ようとしたが、顔の位置を動かさず視線だけ動かしても横の窓が見えるだけ。当然 俺は顔を動かそうとは考えず、ため息を付く。


 なにかの公式を黒板に書いている先生を確認してから俺は上半身を後ろに向ける。当然後ろの席には美緒が座っていた。それも俺にとっては悪魔のような笑顔で。


 「……なんだよ?」


 手で押さえつつもあくびを一つ美緒に見せてから呼ばれたことに対して小さく口を開いた。それでも美緒は悪魔のような表情を崩さない。


 まったく、俺が何したってんだか……


 胸の内でため息交じりに呟くが誰に聞こえる訳でもない。


 「なーんであたしが呼んだ時にこっちを見なかったのかなぁ?」


 「いや、見ようと頑張ったんだがな、如何せん見えなかったから──────」


 「嘘言え。顔を一ミリも動かさなかったくせに」


 「……さーせん」


 こいつは俺の一挙手一投足見てるのかよ。俺としては怖いぞ、美緒。大体そんな集中してみるぐらいなら彼氏の一人でも探せって。美緒に好意を持ってるやつはそこら中に居るだろうに。


 「で、何で呼んだよ?」


 すると美緒は一瞬、菜月に視線を向けた気がした。俺は確認のため菜月に視線を向けてみるが菜月は真面目に黒板に現在進行形で書かれている公式をノートに写していた。ちなみに菜月の席は俺の斜め右前である。薄紫のロングヘアーが窓から入ってくる風に揺られていた。


 「やっぱり何でもない」


 「え?」


 菜月を見ていたら美緒が呟いた。再び視線を美緒に戻すとあら不思議。ちょっと不機嫌な顔をしていた。

当然、俺が菜月を見ていた間に何があった?と聞こうかとも思ったが、地雷を踏むのは嫌だったのでそっか、と俺は 上半身を黒板に向けた。


 こうして今日の授業はすべて終わり、俺たちは五人で四〇二号室に戻るのであった。


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