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「…悠兎、もう行くの?」
「ああ、そろそろ夜明けだ。俺も戻らないと」
「待って!…これ持っていって」
「!…これは…お前の母親の…」
「…形見だけど、悠兎なら使えると思うの。あたしじゃ能力が足りなくて…」
悠兎は形見を握ると、わかったと頷いた
「…それじゃあ、またな」
「うん、気をつけて」
彼女…雪刃で使えないものが俺に使えるのだろうか。そんな疑問が頭を巡った。雪刃の能力は全てを使えるようにしてしまえること…だが、それが通じなくなると言うのは稀なのだ。現に俺の能力も似た形状で出来ているが雪刃には及ばない。雪刃はこの国唯一の王位継承者であり、国を統べる姫。国の一番に立つ者だ。そんな彼女に俺が出会ったのは丁度一年前で、その時点で彼女との婚姻関係が定められていたのだった。




