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「…ほんとくだらないわね魔血鬼のくせに」
「…!」
剣を背負い、マントを身に纏った少女が闇に浮かんだ。まるで正義のヒーローみたいに現れた雪刃は剣を構えると一瞬で聖奈の拳銃を斬り捨てた。
「来たわね夜空雪刃。あなたを待っていたのよ」
「……」
雪刃は優羽たちをじっと見つめたあと再び聖奈を見た。
「…貴方には妹がいたわよね、聖奈」
「…何がいいたいの」
「彼女…魔蠣羚奈は私があるべき姿に戻した。もう二度とアンドロイドにはならない」
雪刃がそう口にした瞬間、聖奈は胸ぐらを掴み頬をひっぱたいた。
「羚奈に…なんてことしたの!あの子は大事な妹なの!たとえアンドロイドだとしても、羚奈と過ごした時間は紛れもない真実で幸福なのよ!なのに…なのに…っ…あんたなんか殺してやるーっ!羚奈を返して!私の大事なたった一人の妹なのーっ…」
泣き叫ぶ聖奈に雪刃はただ黙っていた。
「おまえ…聖奈様に何をした!」
「あるべき姿に戻る者を元に戻しただけよ。なにもしていないわ」
「…ざけやがって〜っ…!」
「やめとけ、優羽」
「けどっ…」
「いいから」
燿は優羽を制止すると雪刃の傍に立った。
「お前が雪刃か…確かに主君が言っていた通りの姫だ」
「…初めまして。あなたがあたしのクローン?」
「燿だ。お前は主君を殺し魔血鬼たちをなくすのか?」
「…あなたも殺すつもりよ?燿」
雪刃は妖しげに微笑むと燿を剣で貫いた。