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「…彼奴は俺や雪刃を狙ってきてる。けれど、彼奴が欲しいのは俺や雪刃自身じゃなくて能力や魔力だ」
「能力、ね…」
あたしや悠兎の能力は普通の一族とは並外れていて、強力だ。最大限以上になると自分では制御出来なくなる。
「!…誰か来る」
バっと振り返ると人影が見えた。
「やあ、姫。…と、その忠犬くん」
「誰が忠犬だ!」
「姫の為によく吠えるねぇ…なんとも忠実な」
「…黙れ」
「悠兎!」
雪刃の制止も聞かずに悠兎は颯真に近づき、刃を立てた
「それ以上言うと…どうなるかわかって言ってんのか、お前」
「ごめんごめん降参だよ。…けど、この俺に刃先を向けたこと許さねぇ」
「だめ!」
あたしはとっさに悠兎を捕まえて抱きついた。