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「悠兎…」
弱々しい声で言った悠兎をあたしは強く抱きしめ返した
「…雪刃…無理すんなよ…」
「うん…わかってる」
今は颯真たちを倒して計画を阻止して国を守らなきゃ。
「…お二人さん、随分とラブラブだね」
「誰…!?」
「僕の名前は咲桜羽姫弥乃。はじめまして、雪刃お姉ちゃん♪」
「!…なんであたしの名前を…」
「噂は颯真から聞いてるよ。強く勇ましい姫さまがいるってね♪」
「…雪刃、気をつけろ。何を隠してるかわからない」
「人聞き悪いなあー何もないって。でも」
ジャラ、と鎖鎌を取り出し刃先を向けた。
「君を殺す道具なら持ってるよ、翡翠悠兎」
「…!?」
「…お前…」
「颯真からの命令なんだ。君を殺して夜空雪刃を連れてこいってね」
「颯真が…あたしを?」
「お姉ちゃん、神子の反乱は知ってるよね?魅血鬼の姫として」
知らないはずがない。同じ魅血鬼たちが一度に消えた抹消事件。唯一の生き残りはあたしの母親に当たる夜空魅姫。その生き残りである魅姫の娘があたしだ。書物も残っているくらいなのだから、よほど酷い事件だったのは間違いないのだろう。
「…知っているけれどそれがどうかしたの?」
あたしは少し間を置いてから冷静に答えた。