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「…この国も、国民もあたしの財産だ。国民は皆優しくて姫様、姫様、と慕ってくれる。国は父様と母様が二人で築き上げあたしと悠兎に託してくれた。法律や能力を与え、教えてくれたのも母様と父様。でもあたしには何もない。託された国と国民以外、なにも…継承者なのに…魅血鬼の姫なのに…っ」
いつのまにか雪刃は涙を流していた。母親と父親が居なくなった途端、彼女は国ごと背負わなくてはならなくなった。何が起こっても嫌になったとしても言う人が居ない。それがどれだけ辛いのか計り知れない。他人を引っ張って法律通りに従わせると言うのは難しい。その法律が気に食わなければ反乱やデモを起こす者たちだって出てくるだろう。雪刃はそれさえ覚悟していると以前話していたことがある。もしあたしのやり方が気に入らず反乱を起こす者たちが出てきたとしたらそれはあたしの至らない部分があったと言う証拠だ、と。
俺は泣いている雪刃を見て居られなくて抱き寄せた
「!!悠兎…?」
「全部一人で背負うな!…お前には俺がいる。国も…国民も…背負って更に颯真たち「bloodylip」のやつらと戦うことも決めて…国の魅血鬼の姫として役目も果たして…全部一人でやってる…頼ろうとせずに…そんなにやらなくていいんだよ…倒れたらどうすんだよ…」
「ご…めんなさ…い」
「…俺だって辛ぇんだよ…そんなお前を見てるのが…」