19
「な…なに!?春姉…」
「なーにも?(笑)…それより秋冬」
「…?」
「…夜空雪刃を倒しに行くわよ。颯真からの一仕事だから」
「そ…そんなの出来ないよー…殺されたらどうするのさ…それに相手はき…吸血鬼なんだよ!?」
がくがくと震えながら答える秋冬。姫弥乃と私は同時に溜め息をついた。秋冬の被害妄想癖は生まれつきで、姉の春夏さえ直せないくらい酷いものなのだ。一度始まると終わらない、とは正にこのことだろう。
「秋冬、男なんだからもっと堂々としなさいよ!」
「だって吸血鬼の姫だよ!?殺されるに決まってるよ!血を吸われて食べられるんだよー(泣)」
「血は吸うかもしれないけど食べやしないわ!だいたいねぇ、あんたがそんなだからいつまで経っても幹部に昇格出来ないのよ、ばか!(怒)」
「ひぃぃぃ…ごめんなさいごめんなさい…」
頭を抱えしゃがんで謝り続ける秋冬とけなし続ける春夏。また始まったよ…と言うであろうその状況を止めるべく私は春夏に話しかけた。
「春夏、その辺にしておいたら?秋冬の被害妄想癖なんていつものことだし」
「そうそう。僕みたいに可愛く生きないと♪」
「「お前は男だろーが!(怒)」」