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「…雪刃、俺、まだお前に伝えてないことがたくさんあるんだ…でも上手く伝えられなくて不安に押しつぶされそうになる。こんなに大事な姫を俺はちゃんと守れてない。お前の父親にも母親にも任された身だってーのに……ごめんな…(ぎゅっ…)」
「…悠、兎……」
あたしはそっと、髪にふれた。すると急に抱きしめられる力が強くなって悠兎の"離したくない"って想いが伝わってくる。出会ってからずっと忠誠を誓い、傍で大事に守ってくれた彼はいつの間にか愛しくて離れられない人になっていた。何かあればすぐに来て助けてくれる……そんな存在。無理をしてでも助けに来ているのか、と一度だけ聞いたことがあるが、悠兎は笑って多少無理してでも姫を守るのが王子の役目だと言っていた。
「(ぎゅー…)…もう、そんな弱気でどうすんの!!」
「雪刃…」
「大丈夫!あたしがいる。…だから、この世界の為に、颯真を倒そう」
「…ああ」