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40. 今川氏真と東の野望

 ――駿府。

 静かに、しかし確実に“次の火種”が動き始めていた。


 「信長めが“紙と銀”で天下を取るなど……この東を侮るなよ」


 今川氏真。かつて桶狭間で父・義元を失い、国を追われた“落ちぶれた当主”。

 だがその男は今、甲斐・武田信玄、相模・北条氏康と“密約”を交わしつつあった。



今川、再起の構え


 「信長は、戦でなく“構造”で天下を制すと言う。ならば我らも、“同盟”という構造で抗おうではないか」


 氏真は従来の今川家の枠に囚われず、政略による再起を目論んでいた。


 「甲斐が兵を、相模が港を、我が駿河が道と政を出せば……

 三国は“東国連邦”として信長に対抗できよう」


 だがその同盟には、一つの“条件”があった。



武田信玄の影


 甲府――武田信玄は、文を読みながら静かに笑った。


 「信長。面白い男だ……だが、我が“騎馬軍団”が紙に負けるはずもない」


 彼は信長の制度改革に警戒を抱きつつも、それを逆手に取る考えを持っていた。


 「“金”を流すならば、その流れを断てばよい。岐阜と東をつなぐ“流通の動脈”――信濃を押さえるのだ」


 そう、信玄は“経済の動脈”を断つ構えだった。



信長、東の動きを察知す


 岐阜城。


 「甲斐・駿河・相模……三国が、表立っては動かず、密かに手を結んでいる。これは“遅れて来た連邦国家”だ」


 信長は唇を引き結んだ。


 「武によらず国を動かす者が現れれば、他国もまた“武以外の戦”を選び始める……当然のことだ」


 明智光秀が問う。


 「殿、先に手を出される可能性は?」


 「それならそれで構わぬ。“東国流通網”の掌握に先んじればいい」



“海道”計画、始動


 信長はすぐさま、尾張から三河・遠江へ抜ける「海道」の整備に着手した。

 これは軍道ではなく、商人と物資のための道。言わば“民の動脈”である。


 「まずは三河の徳川を確実に味方に付ける。東国の“防波堤”を築くのだ」


 そして同時に、“ある者”を密かに呼び寄せる。



松永久秀、再登場


 岐阜城の奥の間。


 現れたのは、混乱の京で一時姿を消していた曲者――松永久秀であった。


 「久しぶりじゃのう、信長殿。“理”の世はまだ、火薬の匂いがせんようじゃが……まさか、また戦を?」


 「否――情報と物流の戦だ。だが、お前の知恵は“混乱”にこそ映える。東国に“楔”を打ち込んでほしい」


 「おう、面白うなってきたわい……!」


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