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ep1.過ち

こんにちは。

今回は最近あらゆるところで起きてる犯罪をテーマに続編物を書きたくてスタートしました。


皆さんの周りでも心当たりのあるお話ではないでしょうか?



-誰か助けて…。-


私が一体何をしたというのだろう。

別に周りと違ったことなんて何もしてない、ごく普通の女子高生だったのに。


『ああ…なんて馬鹿なんだろう…私。』


もう、どうなってもいいや…。

諦めてすべて受け入れればいいんだ…全部私が悪いんだもん。


うつろな目から涙がこぼれる。


その瞬間、一筋の光が伸びる。


「あれ、ちょっと遅かったかも。あー、いやまだ大丈夫か。」


そういって、彼は現れた。


-----数日前-----


私には気になる人がいる。


最近ゲームで知り合った祐樹君という男の子。

25歳で私より8つ上のお兄さんで、よく学校の愚痴なんか聞いてもらっているうちに

好きになってしまった。


別に今の時代、ネットから始まる恋愛なんて普通だし

友達も応援してくれる。


『めあちゃん今日もお疲れ様~!今日もゲームするけどどう?』


彼からの連絡はどんな些細なことでもうれしくて、連絡が来るまでの間は

本当にソワソワしちゃう。


『うん!今日も遊びたい!18時に帰るね。』


なるべく好意は悟られないよう、当たり障りなく返す。

好きだけど、今の関係は壊したくないし何より彼に彼女がいるかすら知らないから。


終礼がおわり、彼とやりとりをしてそそくさと家路につく。


『そういえばメアちゃんって土曜日のオフ会来るっけ?』


忘れてた、そういえば明後日いつものゲームサーバーでオフ会が開かれるんだった。


なんでもサーバーオーナーのAKITSUさんが自分で飲食店を始めたらしく、

そこに集まるという話になっていた。


『土曜なら私も行けそうです!高校生なんで遅い時間はダメなんですけどね笑』


サーバーのみんなは大学生か社会人が多く、お酒も飲めないし遅い時間まで遊べないことに

早く大人になりたいとこの時ばかりは思う。


『わかった!じゃあAKITSUさんに伝えとくね~』


『はい!お願いします!』


二つ返事でOKし、口がほころぶ。

だっていよいよ祐樹君と会えるんだから。


その晩、ゲームをしながら当日の予定を立て談笑する時間は本当に楽しかった。


その先何があるかも知らないで。


-----土曜日-----


「それではえー、うちの開店祝い?と今回のオフ会を祝して~乾杯!」


「「かんぱーい」」


土曜の渋谷ということもありサーバーメンバーは30名ほど集まる大所帯になっていた。

乾杯の音頭を皮切りに各テーブルではがやがやと談笑が始まった。


「めあちゃん。何飲んでるの?」


祐樹君がほかのテーブルからドリンクを持って歩いてくる。


「あ、ピーチサワーです…。AKITSUさんが『俺は知らなかったことにする。』って出してくれて…。」


「えー何それ、ワルじゃん笑。」


「やめてくださいよ~。」


正直な話、『未成年なのにこんな場所でお酒を飲む。』そんなスリルを楽しんでいる私がいた。


「じゃあ乾杯イッキでもしよっか。せっかく会えたんだしさ。」


「え…。」


ほんの数口飲んだだけの今でも、本当は少しくらくらしていた。

でも折角会えた祐樹君のお誘いを断るのもなんだか申し訳なく、頷く。


グラスに口をつけたその時


「ほどほどにすれば?」


冷たい声に驚き振り返ると、後ろの席の彼が続ける。


「未成年なんだろ…。せめて大人しく飲めよ。」


この人はEIKA(イカ)さん。

サーバーにはよく上がってゲームをしてるみたいだけど、あんまり話したことはない。


「イカくんさあ~俺らの事はいいってば~!関係ないんだし、そっちで楽しんでてよ。」


少しイラついた様子の祐樹君の声色が少し怖い。


「いい歳して未成年に酒煽ってんのがダサくて…ごめんごめん。」


「あ?」


互いににらみ合い一触即発の空気に耐えられなかった私は「あの、私飲むんで…ありがとうございます。」とイカさんに会釈をしてグラスを飲み干す。


「めあちゃんいいね~!よいしょ~」


祐樹君は上機嫌に私の頭をなでる。

なんだか気持ちよくて、今ならいいかと口ばしる。


「あの、私祐樹君が好き…です。」


祐樹君が目を細めて笑って、俺もだよと返す。

ああ、今日は本当に来てよかった。幸せだな。


「いたた…頭痛い…。」


気付けば寝ていたらしく、ベッドからゆっくり体を起こす。


あれからどれくらい飲んだだろう。

いつ頼んだかもわからないままに、かなりのお酒を

飲んでいた。


「私いつおうち帰ったんだっけ。」


「あ、めあちゃん起きたんだ。早いね…。」


あれ、なんで彼が家にいるんだろう。


「祐樹…君?あれ、なんで。」


「なんでって、ホテルだから?めあちゃん寝てたし1人じゃ危ないでしょ?だから連れてきたんだよ。」


ほんのり暗い部屋に少しずつ目が慣れていく。

ベッドのパネルに雰囲気のあるライト、無知な私でもこの場所の意味くらい知っていた。


「え?でも、ここってラブホテル…?」


「そだよ~。初めて?」


余裕そうに笑う祐樹君が少し怖くなる。


「てかめあちゃんもぶっちゃけさ、その気だったでしょ。

ちょっと勧めたらあんなに飲んじゃってさ。」


「そんなこと…ないです。それにこういうのってもっと時間をかけて…その。」


そんな言葉を遮るように彼は乱暴に私の体を触りふっと笑う。


「あのさあ、JKでウブのが価値あるんだろうが。俺そういう子が好きなの、わかる?」


「え、祐樹君は私の事が好きなんでしょ…?」


「ああ好きだね、JKでまだ汚れてない君がね。どうすんの?うっかり学校で彼氏なんてできて

エロいことなんてされたら。ここまでの努力無駄じゃねえか。」


その言葉で一気に現実引き戻される。


私って本当に馬鹿だ。

いくら後悔したって足りない。


ネットが危ないなんて、そんなの知ってた。

でもみんなしてるんだよ?出会いだってあるじゃん。


クラスの男子と違う大人な男の人がいたら好きになっちゃうじゃん…。

そんなのって…ないじゃんか…。


「うう…最低…ひどい。」


後悔とともに、こんな状況でも救いを求めてしまう。

誰か助けて、と。


しかし、それも虚しく彼は続ける。


「泣いてるの?そういうのもそそるけどね…まあいいやゴムはちゃんとするし、経験ってことでね。」


慣れた手つきで服を脱がされる。


ああ…もう、どうなってもいいや…。

諦めてすべて受け入れればいいんだ…全部私が悪いんだもん。


「じゃあ、初めてもらっちゃうね…と。」


その瞬間、バンッ激しくドアを開ける音が響く。

すたすたと廊下を歩き部屋の扉が開く。


光の先には見覚えのある人がいた。


「あれ、ちょっと遅かったかも。あー、いやまだ大丈夫か。」


「イ…イカさん…?」


さっきまでオフ会にいたイカさんの姿がそこにはあった。


「は?笑…え?いやイカお前なんでここに…。」


「あー…まあどうせこうなると思ってたし、つかお前マークしてたんだよ。」


そういって彼はスマホの画面を見せる。


「もう警察にも通報済み、フロントから鍵もらってきてるから逃げ場ないかんな。」


淡々と告げる彼に祐樹君がワナワナと震えぶつぶつと何か言っている。


「邪魔すんなよ…邪魔を…邪魔をさぁ、すんなってよぉ…。あとちょっとだったのによぉ。」


「てかまず25歳って何だよお前…本当に28歳で、ああおまけに無職かよ。とことん救いようのないクズだな。」


「ふふふ…はは…ふざけんなよオオオオオオ!お前さアアア!糞が!殺す!」


いきなり襲い掛かる彼を軽い動作でいなし、一瞬のうちに制圧する。

そして、さも何事もないように「服、着ろよ。」と私に服を投げつけた。


その後すぐに来た警察に祐樹君は連れていかれた。

私とイカさんも事情聴取のため同行し、全て終わる頃にはすっかり遅い時間になっていた。



そこで残ったイカさんに私は事のあらましを聞くこととなる。


そもそも彼の祐樹とは偽名で、あらゆるゲームや掲示板、サーバーで未成年の女の子を狙い、色恋に持ち込み、最終的に行為に及んでいたそう。

これまでの被害者は二十名を上回っていた。


今回は団体のオフ会が開かれて介入の余地があるとみてイカさんは様子を伺っていたとの事だった。


そして未だ残る恐怖心で震える声で尋ねる。


「それなら、早く助けてくださいよぉ…。なんかたくさん飲まされちゃって危なかったんですよ…。」


「まあそうなんだけど、民間人である以上現行犯に以外には何もできないのが現状だからな。様子見させてもらったんだわ。」


「なるほど…そもそもなんでイカさんはこんな事追っかけてたんですか?」


私の疑問に彼はスッと名刺を出す。


「江古田…自警団…?」


「そ。警察の及ばない範囲での犯罪が増えてる昨今、俺らがあらゆるコミュニティに入り込むことで事件を防ぐ。まぁボランティアみたいな、ね。」


「じゃあイカさん?だけじゃなくて他にもいるんですか?」


「江古田でいいよ、それ本名だからさ。

まあ…そうだな。全国の至る所にメンバーはいる。みんな現代の犯罪に思うところがある奴らだよ。」


「じゃあ江古田さんも、その何か…。」


彼は静かに頷く。


「とりあえず、これに懲りたらもう危ない真似はしないように。わかったか?あとこれ、早く帰れよな。」


私の頭をポンポンと叩きタクシー代を手渡すと、彼は去っていく。


「あの!ありがとうございました!」


手をひらひらとさせる後ろ姿にポツリと呟く。


「江古田自警団…か。また会えるかな、江古田さん。」


私の中で彼とこの団体に対する興味が密かに湧いていた。



今回は序章なので割と少なめのボリュームで書いてみました。

でもこういうのよくありますよね。まあ最もこの手の事件は大抵明かされる事がないのがほとんどですけど。


大体は泣き寝入りや、『これも人生経験』なんて言い方がで終わらされるわけです。

バカなことしたなってね。


でもそうやって被害者にどうにか合理的ふうに納得させて、『大人』にすることで犯罪者の幼稚な考えを放置して良いのかと僕は思います。


長くなりましたが、ぜひ一度考えていただからばと思いますし、周りにそういう人がいれば引き返すために手を差し伸べていただければ、と思います。

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