第3話 異常は続く
空の奇妙な現象が起きて以来、ユステア王国では他にも奇妙なことが起き始めた。
「なんだこれは……!?」
「作物が……!」
農民たちは収穫を目前に控えた畑を見て驚きの声を上げる。
一部の作物は枯れてそのまま腐ってしまい、また別の作物は種の状態に戻ってしまっていた。
まるで、誰かが植物の時を進めたり、巻き戻したりしたかのように。
またある地域では、家畜でも同じような現象が起きていた。
そして奇妙な現象はユステアだけに留まらず、世界中に広がっていた。
謎の現象の影響を受けた作物や家畜を戻すために、ルイザが毎日奔走しているのをアルケは目撃している。
(ユステアに……世界に何が起きているんだ……?)
彼の疑問と不安は、日に日に増していった。
ついに緊急会議が開かれる日が来た。
王宮にある大会議室に、国の重要人物が集まっている。
「それでは宰相、現在の状況の報告を」
「はい」
議長である国王に言われ、宰相は立ち上がって資料を読み上げる。
「まず、各地の畑で作物の異常な現象が発生しています。これを調査した結果、植物が急成長して枯れたり、あるいは種の状態に戻ったりということが頻発しています。そしてこれはユステア王国だけでなく、他国でも起きているとのことです」
人々はざわついた。
現象が起きていることは、すでにわかっているため驚くことはなかったが、それが世界中で起こっていることに驚いていたのだ。
宰相は説明を続ける。
「そして、家畜にも同じことが起きています。また、異常の始まりとも言える昼夜が逆転するような現象も、いまだに起きることがあります。以上です」
宰相は話し終えると、着席した。
「続いてルイザ、予言はあったのか?」
国王が尋ねると、ルイザは静かに立ち上がった。
彼女の表情はいつも通りの冷静さだったが、それが逆に不気味にも思えた。
「結論から言うと……予言がありました」
人々は一気にざわついた。
国王は軽く手を上げ、それを静めるとルイザに尋ねた。
「その内容は?」
「予言の内容は……今現在起きている現象らが解決されている様子でした」
彼女の言葉を聞いて、会議室中が喜びの声をあげた。
国王は何も言わずにルイザを見つめ続ける。
彼女は一呼吸置いてから再び話し出す。
「長い時間はかかりますが、必ず解決されるでしょう。解決されるまでの間、他の国との取引や外交などの関係で心配なことはあるかもしれませんが……」
ルイザは大臣に視線を移した。
大臣は頷きながら言う。
「それは我々に任せてください。各国との連携は綿密に取っていくつもりです」
他の大臣たちも賛同した。
「ありがとうございます。皆さん、落ち着いて対処をしていき、信じて何年も待ちましょう」
人々は再び喜びの声をあげた。
しかし、ルイザの顔はどこか暗かった。
プロフィールにも書きましたが、学校が始まってこれから忙しくなると思うので、投稿頻度が少なくなります。