表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

邪魔だ!クソガキっ!

作者: 孤独

あまり強い言葉は使わない方がいい。

そんな場面に出くわすと、優しさだって辛いものである。



ブロロロロロ


「ふぁ……眠っ……」


自分の目の前でトラックが通過していく。

仕事でバイクに乗っているが、停止中。後続車両はない。ただの信号待ちである。

あまり大きな通りではないし、見通しも決して良いものではない。しかし、小学生達の通学路。この信号を利用する子供達は多いし、歩道も広くはない。立地の問題はしょうがない。


「でさー、動画でー」


子供達だって、はしゃぎたい……というより、自分の知る何かを語りたい。それが子供等の会話。とにかく、楽しんでいるのは伝わっていた。そんな子供達は律儀に信号待ちである。会話も弾む。

自分はバイク。子供達は歩道上。対向車線には車が一台。

交差点の信号は、自分と子供達から見て赤信号ならば、逆側の歩行者達は青信号。信号の点滅はもうすぐ始まり、……やがて、赤信号になろうとする時。


「ん?」


自分もサイドミラーで分かっていたため、アクセルに手すらかけなかった。後方から猛スピード……じゃないけれど、おじさんが自転車を飛ばして渡ろうとするのだ。右折する感じだ。後続車がいないからバイクである自分の後ろを通って行こうとするんだろう。そうすると、歩道で信号を待つ子供達の後ろに行くところなのだが、……右折するんだから、進行方向に子供達がいる。



「邪魔だ!クソガキっ!!」



おじさんは怒鳴って子供達をどかそうとした。それに気付いた子供の1人が、友達2人を引っ張るような形で避けさせる。そうでもしなかったらと、ゾっともするんだが、……子供達は通学路だから分かっていた。バイクに乗っていた自分にも、見えていた。

その先は危ねぇ。……って言うのには遅かっただろう。



ドオオォンッ



自転車のおじさん。

停止中のトラックの後ろに追突して、転倒する……。この先、水道管工事をしているため、通行規制をかけていた。先ほど、信号を通ったトラックはまだ停止していたのだ。(この道路は一方通行だった)

見れば分かるじゃんって思うのだが、こーいうタイプには見えていないんだろう。


「なんだぁっ!?」


トラックの運転手はビックリし過ぎたせいか、何かしていたのか。出てくるのが結構遅かった。自転車に乗ったおじさんはパニックになったが、それはもう慌てて自転車を起こして、反対方向に逃げようとするのだ。……今、


「赤信号だよ!」


子供の声などロクに聞かず、とにかく動揺しまくるおじさんは、赤信号にも関わらず走行。自分はまだ止まっていたから良かったが、対向車の方はクラクションを鳴らしながら


「危ねぇじゃねぇか!待てコラーー!当て逃げするなー!」


おじさんを注意するのだが、そんなのは無視して逃走。車もバイクも、一方通行を逆走できんからしゃあねぇかと思うし。


「……は~、なんだよもう」

「大丈夫ですか」

「ああ、いいよいいよ。めんどくせー」


トラックの運転手も呆れる。怪我はないだけいいんだろうが、子供達は心配していた。


「警察呼んだ方がいいんじゃ」

「めんどいめんどい。仕事中なんだよ」


ホントは呼ばなきゃいけないんだが、忙しい状況だし、その先が水道工事中ってのもあったんだろう。そんなにトラックにもデカイ傷はなさそうだった。

トラックの運転手もすぐに仕事に戻ってしまった。


そんな様子を見ていた子供達は……


「あーいう大人達にはなりたくないね」


スマホを片手に彼等は言う。

ここに出てくる大人達。全員、ロクでもなかったな。



子供達が警察に連絡したからか。自転車に乗った警察官がここに到着し、子供達と工事の作業員の1人が、トラックも自転車もないのに現場検証を始めたのであった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ