第十八話 真なる最下層
※ショッキングな表現があります。苦手な方は飛ばしてください。
最下層に降りた俺は、機兵に上階への大型通路を構築するように命じる。
機兵は頷くと、天井を破壊して上へと向かっていった。
「さて」
どうしたものか。
この階にはIDの付与されていない生命反応はない。
つまりは、奴隷だけだ。
「チッ、一応二重ロックなんだな......〈上書き〉」
俺はセキュリティを上書きして扉を開ける。
ついでに最下層の管理システムの権限を俺に上書きして、奴隷の管理メニューを開く。
「取り扱い注意の奴隷は.........どうするか、レクス! 防疫ユニット投下!」
『分かりました、C型防疫ユニットと運送用機兵を投下します』
防疫ユニットとは、要は汚染物質などの運送用コンテナだ。
数分後、ぶっ壊した天井からコンテナが降りてくる。
「...........レクス、やっぱり普通の輸送用リフトも降ろしてくれ」
『はい、既に奴隷市場内に輸送用リフトを降下させていますので、そちらにも追加でお送りします』
俺は裏市場内に入り、異常奴隷区画を素通りする。
あちらはどちらにせよ俺一人じゃどうにもならん。
俺は欠損奴隷区画に入り、パン、と手を叩いた。
あちこちのケージから、物音が響く。
「皆、聞け。違法な奴隷市場は本日をもって閉鎖だ。俺がお前らを引き取る! 安心してついてこい」
期待をはらんだ空気が、欠損奴隷区画を満たす。
俺がパネルから操作をすると、ケージの扉が一斉に開いた。
「そ、そんな..........」
「自由に、なれるんだ........!」
嘘だと疑っていたのだろうが、俺がケージの扉を開けたことで確信に変わったようだ。
一斉に奴隷の男女たちがケージから飛び出してくる。
「え?」
「子供.............?」
「おい、俺はハーフエルフだ」
違うけど、これで納得してもらえるからな。
「ハーフエルフ............?」
「マジか」
「ハーフエルフ様が、私たちを助けてくれたの..............?」
俺は喜ぶ奴隷達を横目に、モニターをチェックする。
まだケージを出ていない奴隷が居るみたいだな。
俺は階段を上り、五階に当たる部分のケージを5つ進む。
そして、そこにある扉を開いた。
「うっ...........!」
その先にあったのは、人間の業の深さの結晶だった。
ケージの奥には少女が居たが、その四肢が無い。
当然、糞便も垂れ流しであった。
「...................分解」
咄嗟に俺は、排泄物を分解した。
汚れて臭気を放っていたケージが、あっという間に新品同様に洗浄される。
「大丈夫か?」
「.....................」
何も喋らない少女。
俺はその目を見て、察した。
精神を潰されている。
鑑定能力で身体状態を見てみれば、[四肢欠損、意識薄弱、声帯欠損]と出た。
意識薄弱ということは、首輪についたカプセルが原因か。
「クソが」
俺は首輪を握り潰した。
カプセルの中身は強力な魔法薬――――麻薬のような酩酊、過度の摂取で意識の混濁を引き起こすものだった。
何が目的でこんな仕打ちをしたのか知らないが、歩けるようにはなってもらうぞ。
「〈万物創造〉」
俺は自分の魔力を使い、少女の手足を再構築する。
幸い切断されてからそこまで時間が経っていないようで、神経はまだ繋がる。
俺は四肢の治癒が完了した彼女を担ぎ、ケージを後にした。
一時間後。
欠損奴隷の運搬と収容を終えた俺は、アルファと機兵4体を連れて異常奴隷区画を訪れていた。
『はい、異常奴隷については我々が収容いたします』
「よろしく頼む」
触手の集合体とか、スライムの融合体とか、その他キメラとか、俺の手には負えない。
アルファにお任せだ。
『まずは、BF-002番からですね』
全身に口があり、敵意を向ける奴隷。
俺はとりあえず、能力を使いコミュニケーションを試みる。
「――――大丈夫か?」
『コロス! ニンゲンコロス! イタイ! ニンゲン、イタイ――――』
ダメそうだな、「オレサマ、オマエ、マルカジリ」状態である。
人間より動物に近い思考になっているので、慣らしていかないとダメだ。
それに、改造はやっぱり痛みを伴うらしい。
そりゃ敵意を向けて当然だろ。
仕方ないので首輪で動きを縛り、防疫ユニット内に収容する。
「スライムはどうするんだ?」
『液状化していますが、人型部分とコアは分離できません。ですので、胴体とコアだけを運搬します』
「分かった」
防疫ユニットに用意した水槽にスライムとの融合体を収容し、残った異常奴隷も収容していく。
奴ら、相当趣味が悪く正規の獣人じゃない人工獣人などの生物系、水晶に埋め込まれた..........というより、体組織が結晶化して身体から結晶の生えてきている少女などの芸術系、筋肉を異常増強された男などの兵器系など滅茶苦茶に倫理観の崩壊が上限突破しているのだ。
「ようやく、終わったか............」
『お疲れさまでした』
俺は二体の機兵によって運ばれる防疫ユニットの上に乗り、夜風を浴びる。
眼下に広がる市場跡は激しく炎上し、黒い平原の如く広がる海の中で、一際明るく輝いていた。
「............ん?」
その時、俺の目は遥か先にて輝く人工の光を見た。
あれは多分、戦艦の誘導灯だ。
どうやら、素直に逃してくれる事はないみたいだな。
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