表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/70

第十六話 奇襲殲滅

寝てました、すいません。

夜。

エルエレ島大ブラックマーケット、その中央管理室にて、一人の男が画面を見つめていた。

画面は島周辺の魔導レーダー図である。

もっとも、完璧な隠蔽システムによって見破られることなどほぼないため、男の仕事は島から出た要注意船船舶に識別IDを振ったり、今や非正規軍と化した第六エスカリア警備隊に連絡をする事だけだった。


「.................................ッ!?」


その時、けたたましい音をレーダーが立てた。

男が画面を見ると、[浮遊都市接近]という見慣れない警報が出ていた。


「バカな、何が起こって――――」


男は驚愕した。

レーダーにノイズが走り、先程まで影も形もなかった巨影が姿を現したのだ。

その大きさは島よりは小さいものの、マーケットよりも遥かに巨大である。


「た、大変だ...........じょ、上層部に連絡だッ!」


男は机の上の書類やコーヒーを薙ぎ払い、通信パネルを開いたのだった。







『”裏市場”に接近。下部火器隠蔽解除します』

「ああ」


ブリッジの上部モニターに、隠蔽された山肌が映る。


「こんなもので...............レクス、薙ぎ払え!」

『了解』


無機質な声と共に、上部の砲塔が誤差修正を行い――――夜空を裂く閃光と共に、極光を放った。

光線は山肌を貫通し、マーケット上空で炸裂し光の雨となって降り注いだ。

犯罪者ども、雑多な艦艇、飛行機械、建造物が粉砕され、瓦礫の山と化していく。

その過程で幻影の投射装置を破壊したのか、山に偽装していたスクリーンがブレて、露わになった。

AVALONはスクリーンに接触し、文字通りビリビリと破るような形で降下していく。


「地上をサーチ!」

『完了済みです、奴隷の識別IDは確認できません』

「蹂躙しろ」

『了解』


下部砲塔が光線を放ち、地上の商店を蹂躙していく。

動くものはすべて抹殺だ、犯罪者じゃない奴はこの時間帯にここにいないからな。


『通信が来ています』

「スクリーンに」

『了解』


その時、通信が来たことをレクスが伝えた。

まぁここまでハデに蹂躙したら、交渉の一つもしたくなるよな、いいぜ聞いてやる。


『貴様ぁっ! どういうつもりだ!』


すまん、交渉じゃなかったわ。

恫喝だった.....


「どういうつもり、とは?」

『貴様らが何者かは知らないが、ここに手を出しておいてタダで済むとは思うなよ!』

「いや知らねえよ」

『いいのか!? ここで手を引くなら見逃してやってもいいんだぞ!』

「何で上から目線なんだよ? 懇願すべきだろ、犯罪者が」

『世の中綺麗事だけじゃ生きていけねえのはわかってんだろうが!』

「だからどうした、メシを食うだけならまっとうに仕事してればいいだろ? 何他人様に手を出してるんだよ、お前らなんて私腹を肥やすだけのブタだブタ、屠殺対象に過ぎねえんだよ」


俺は通信を切断するようレクスに命じた。

命乞いでもするのかと思えば、「バックに○○がいるんだぞ!」というお決まりのアレで、こっちが態度を変えないと見れば話題をすり替え開き直って説得を試みる。

こんなんでもどうせ下っ端だろ、上はもっと酷い。


「レクス、全武器使用許可承認(オールウェポンフリー)

『いいんですか? 地下まで破壊してしまいますよ』

「穴周辺に対してに限定する。縦穴には全機兵を降下させ、殲滅する」

『了解』


レクスが返答を返すと同時に、ローレンスのモニターに地上の映像が表示される。


「艦長さんよ、俺に撃てと?」

「いや、見逃しがないか見てほしい」

「了解」

『第一波誘導ミサイル一斉発射』


ブリッジにレクスの声が響き渡る。

地上の爆音も悲鳴も、このブリッジには全く届かない。

だがそれでいい。

例え相手がおぞましい犯罪者でも、助けを求める声を聞けば憐れみを抱きそうだからな。






地上マーケットは正に地獄と化していた。

月の明かりを覆い隠す超巨大戦艦の出現により、大パニックを起こす人々。

だが、恐ろしいのはその姿だけではない。

下部が開いて現れた、イガグリの針と見紛うような数の砲塔から、炸裂しては高出力の弾丸をまき散らす極光が放たれるのだ。

勿論、炸裂しないものもある。

そして、しばらく途切れずにバーナーのように焼き切る光線も存在した。

逃げようとした小型艦はただの一撃で内部から風船のように膨張した後破裂し、激しく炎上する。

暗かった空が、たちまち焔の赤に包まれる。

夜空に浮かぶ雲が、赤黒く下から照らされる。

AVALONの艦首から放たれた誘導弾が次々と地上に着弾し、焔と死を撒き散らす。

何とか飛翔することに成功した艦も、次々と誘導弾によって爆散していく。

対空砲を展開しエルエレ側も応戦するが、AVALONに対してまったくダメージを与えられない。

数分もしないうちに、空港側は完全に瓦礫と焔と死体の山と化した。

人間たちは我先にと穴周辺の違法物品マーケット側へと逃げ込んでいく。

勿論、AVALONに分別などという概念はない。

危険物だろうと違法物品だろうと、何を売っていようと関係ないとばかりに光の雨を降らせる。

轟音と共に次々と建造物が火を噴き崩壊していく。

炎に包まれながら、違法物品の売人は泣き叫ぶ。


「ふざけるな........俺が何をしたって言うんだよ!」


そしてついに、中央管理室の前に巨艦が迫る。

特に言葉を交わすこともなく、何の慈悲もなく、何の特権もなく放たれた非炸裂の光線によって中央管理室のビルは一撃で焼き払われた。


光線は穴の中央エレベーターに繋がる陸橋を吹き飛ばして退路を断ち、パルスレーザー砲で小さい標的――――つまりは人間の殲滅を実行する。

非戦闘員の人間を直接対象にする場合、レクスはプロセスを実行できないため、ユウキとローレンスの協力砲撃である。

眼下の人間はバタバタと倒れ、そして逃げきれなかった人間は生き残る可能性にかけて火の中に飛び込み、そこに数十の誘導弾が着弾する。

目的は建造物破壊、兵器破壊、地上部分に存在する全生命の抹殺である。

そしてそれは、AVALONが空域に達してからたったの半刻ほどで完了したのであった。


面白いと感じたら、感想を書いていってください!

出来れば、ブクマや高評価などもお願いします。

レビューなどは、書きたいと思ったら書いてくださるととても嬉しいです。

どのような感想・レビューでもお待ちしております!


↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ