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第十三話 偵察

『敵艦に動きあり、減速しつつ高度を落としています』


前を眺め続けて一時間、疲れてきた頃。

レクスが告げた。


「よし、こちらも降下だ」

『はい』

「艦長、このまま降下すると雲があってバレるんじゃねえか?」

「そうだな.......確かに」


下には分厚い雲があり、ここを潜ると見破られてしまうかもしれない。

かといって降りるのを待ってから潜るとバレそうだし.......


「よし、潜空艦を出そう」

『偵察ですか?』

「気づかれてないならこれが一番だしな」

『了解しました、右舷格納庫に潜空艦を待機させておきます』

「分かった、俺と........アリス、ローレンス、来てくれ」

「あいよ」

《分かった》


アリスがエレベーターで下に降りていく。

俺たちは人間用のエレベーターで下へと降りる。

艦内は俺があんまり考えて作ってないからか同じような構造ばっかりで迷いやすいんだが、レクスの先導でだいぶ歩きやすくなった。

道中、ほかの乗務員ともすれ違う。


「艦長、いつもご苦労様です!」

「ああ、そっちもな」


こいつらは第四エスカリアを裏切った負い目で俺に仕えてくれている。

本物の忠誠を得られればいいんだが、俺はそんな器じゃないしな.....

対して、エリナはすごく慕われている。

あいつの変態性は、近寄らないとわからないからな。


「そうだ、エリナといえば.......あいつ、どうしたっけ?」


艦橋には居なかったよな。

職務放棄をめったにしない性格だとはいえ、何をするかはわからないから放っておけない。


『エリナ様ですか? 現在第六格納庫にて開発中の新機体を鑑賞しに行ってますが.......』

「あのさぁ..........」


開発中の機体って言ったら最高機密じゃねえか!

あいつ、俺のバイタルパターンを偽装しやがったな。

それもレクスの高速演算中に........


「もう解雇しようかな........」

「意外と厳しいんだな、艦長さんよ」

「開発中の機体は機密の塊だぞ。まぁ、俺とレクスとハーデン以外に見てわかる奴なんかいないけど」


俺が創造した機構をレクスが分析し、ハーデンがそれに改良を加える。

これによって上位互換を組み合わせて一つの機体とすることができるのだ。


「何を作ってるんだ?」

「それはまだ秘密だな」


そもそも完成するかどうかすら怪しい。

出力系に大きな問題を抱えているので完成しても量産は難しいかもしれない。

秘密ということにして有耶無耶にしておこう。







『これが新型潜空艦です』

「うお、意外と格好いいんだな」

「だろ?」


火力・防御力・機動力に優れた新型艦艇である。

当然デカいのでさっさと進水させたい。

ドッグが埋まってるからな.......

ちなみにメイドインレクス、俺は無関係だ。


「いいか? こいつは単艦でも動けるが、内部にさらに小さい偵察艇を二機格納してる。こいつで海上付近に次元結節点を形成して、そこから飛び出す」


こいつの新しい点は、レクスの開発した新装備「次元拡張アーム」を装備していることだ。

現実空間と亜空間は次元結節点でのみ結ばれていて、潜空艦はここに自分の形の穴を開けて通る訳だ。

勿論無駄に穴を広げれば、その分魔力消費も膨れ上がる。

だがこのアームは、”ちょっとだけ”隙間を作り、コッソリと小型の艦載機を送り込めるというおばあちゃんの知恵的な装置なのだ。


『発進します』

「アリス、操縦は任せる」

《分かった》


アリスが艦内に設置されたプラグ付きの椅子にどすんと越し掛け、自分と艦をリンクさせる。

艦外に飛び出した潜空艦は、ただちに急速潜航を開始し亜空間へと潜空した。


「しかし、中々にやべえよなこの技術も.......艦長さん考案だろ?」

「全部が全部じゃないけどな」


どうも亜力と呼称した謎のエネルギーといい、亜空間内に放棄された遺跡といい、亜空間文明なるものが存在はしていたようだ。

俺はその技術を偶然能力で拾っただけに過ぎない。


「どうも原理としてはかなり単純で、レクスが言うには『長短距離転移の際に、接続先の空間として自動的に現空間が算出される仕組みを改良して亜空間の周波数を特定、そこに転移触媒の異常挙動時の空間断裂を利用して飛び込む』みたいな感じらしいぞ」

「いや、分からん!」


ちなみにAVALONが未だ潜空出来ないのは、次元結節点を形成する際の魔力消費が莫大すぎるからだ。

無限魔力機関も、無限とは言いつつも無限の井戸から魔力を汲み上げているだけで、一度に汲める量には限界がある。

潜空には一日程度の長いチャージが必要な段階までは進めたが、そんな膨大な魔力をどこに保管すりゃいいんだっていう問題も立ちふさがった。

魔力は何かに変換されていない状態では、何の属性も持たないエネルギーの塊だ。

それゆえに非常にほかの魔力に染まりやすく――――つまり揮発性が高いガスみたいなもんである。

火の属性に染まれば艦が炎上し、電気の属性に染まったらどっちにしろ俺らは全員死ぬ。

技術的に問題がありすぎるんだよな.......そこは遺跡の解析で変わっていくだろうけどな。


《作戦空域に着いた、格納庫に移動して》


その時、アリスの声が響いた。

もう着いたのか.......ってまぁ、下に降りて追随するだけだもんな。


「ありがとう、アリス」

《.........帰ってきたら、なでて》


アリスは振り向きもせず、そう言った。

顔を見たところで、顔の大部分を占めるモノアイには何の情緒も映らない。

俺はその一言でアリスの気持ちを察し、ローレンスと共に格納庫へと降りた。


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