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第十二話 飯と修羅場

俺たちはステルスを続行して敵艦を追う。

だが、隠密行動中だろうと腹の音は鳴る。


「ずずずずずずずず.....」

「変わらねえなぁ」


というわけで、俺たちは食堂へと向かった。

そして飯を食うわけだが。

カップ麺とおにぎりこそ至高な俺は、隠密行動を言い訳にこれらを食す。

ローレンスはビーフかは謎なステーキである。

胃がもたれそうだな。


「艦長さん、随分と不健康そうなものを食べているんですね.....」


背後から声がかかる。

この声はセレスかな?

振り向くと、お盆にパン、サラダ、スープという質素を体現したような食事を乗せたセレスが立っていた。


「たんぱく質が摂れなさそうな食事だな」

「卵を挟んでますから、問題ないですよ」


そうか、卵か..............

俺の能力で複製するとちょっと不安の残るこれだが、食う分には多分問題ないはずだ。


「艦長! お隣いいですかぁ?」


その時、右から声が聞こえた。

そこに居たのはファリンだった。

手に持つ盆には、俺がメニューに追加した牛丼が乗っている。


「問題ないぞ」

「艦長さん。私も隣に座っても?」


左から低い声が聞こえた。

ね、狙われている..........!


「あ、ああ.......いいよ」

「本当ですか! ありがとうございます!」


そして俺は、バチバチに視線を交わしあう女性二人に囲まれてカップ麺を食う羽目になってしまった。

前世からの癖で、女子の前で何かするときは余計に気を使っちゃうんだよな..........


「俺は無視かよ?」

「ファリンさん、彼氏のお隣に座らなくていいんですか?」

「ローレンスとは別に恋人同士ではないですから」

「ガーン!」


ショックを受けて硬直し、項垂れるローレンス。

落ち込むなって、いつかいい出会いがある。







ブリッジに戻ると、相変わらず移動する艦隊のケツが見えていた。

何時間移動する気なんだ?


「進捗は?」

『特には。暗号通信の内容を解析しましたが、符丁などの可能性がない普通の雑談でした』

「そうか」

『それよりも。食堂で私を差し置いて和気藹々としていましたね?』

「よしてくれ、当事者だぞ?」

『私のアバターを作成さえしてくれれば、いつでも艦内に投影できるのですが.........』

「まあまたいつかな」

『”いつか”の定義がなされていません、これは約束ですが、法的拘束力のない文面に絞るとはなかなかに狡猾ですね、艦長』

「気が向いたらやる。以上だ」


レクスは自己認識による暴走を防ぐため、アバターを自分で作れない。

人格はあるものの、その存在は神にも近い。

神の姿を造形するなんて俺にはできないしな、一旦保留だ。


「さて、かれこれ数時間飛んでるが.......何もなしか」

『現在位置は第六エスカリア東に22㎞程の地点です』

「第六に向かってるのか?」

『いいえ、それより南下した先にある”何か”を目的地として航行しているようです』

「通信を傍受したのか?」

『ハッキングして情報を取得しました』

「無許可の人工智核がハッキングを行う行為は......」

『わ、分かっています。ただ.........その、私も役に立ちたいと思いました』

「充分役立ってるだろ?」


俺は操縦桿を軽く撫でた。

掌に冷たい感触が伝わってくる。


「だいぶ感情豊かになったな?」

『はい』

「どうしてだ?」

『分かりません、ただ...............』


レクスはそこで言葉を切り、少し間を置いて言った。


『艦内に人が増えたからでしょうか、自然と誰かと接することも多くなりました。その思考パターンや感情について医療用に調査・分析するうちに、私もそのデータについて学習し、本来の完成形に近づいているのかもしれません』

「そうか.........早く完成するといいな」


俺はそうとしか言えなかった。


「おっ? どうしたんだ艦長」

「ローレンスか.......」


艦橋に上がってきたのはローレンス、ラムズ、ハーデンの三人だった。

ここは第二艦橋だが、新設の第一艦橋にはもっと多くの乗員がいる。


「何でもない、ちょっとゲームに負けただけだ」

「艦長には失礼だとは思うが、程々にしろよ?」

「勿論」


俺は椅子にもたれかかり、前を見た。

相も変わらず飛び続ける艦隊が見えていた。


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