第十話 艦載機の戦い
前後半スタイルなのでエタったら完結です()
夜。
俺たちはAVALONに搭乗して第七エスカリアの方向へ向かっていた。
いきなり救難信号が届いたのだ。
……まあ、罠なんだけどね!
そもそも王室へのホットラインを無視して周辺に展開している警備艦隊を呼ばない時点でお察しである。
そもそも俺が造りまくったせいで今王国軍は艦が余ってる。
内情に詳しくない奴がやったとしか思えない工作だ。
「おっ、2044Hzに感あり…奴ら、30年くらい前の回線でやり取りしてやがるんだな」
「流石だなハーデン」
「おう、これくらい出来なきゃな…っと、暗号化されてやがる」
『解析を完了しました、左右に展開し、本艦を囲い込むようです』
「バカだな」
「ああバカだ」
「バカですね」
俺が呟いた言葉に、ラムズとセレスが賛同するように発言する。
「艦が少ないから、密集して発砲すれば良いのにどうしてばらかすんだ?」
『恐らくですが、射程距離限界にて砲撃を行い、必要に応じて逃げる…つまり陽動と思われます』
「本命は別にいるわけか…」
事前に味方にも伝えないことで、情報漏洩を防ぐわけだな。
「よし、艦載機発進」
『よろしいのですか?』
「何で俺たちが真面目に相手してやんなきゃならないんだ? 無人艦載機に任せて陽動に備えようぜ」
『了解。ツヴァイハンダー、カラドボルグ発進準備』
〈ZWEIHANDER〉と〈CALADBOLG〉が発進していく。
ツヴァイハンダーは高速機動を得意とする戦闘機で、機銃二機と対艦魚雷を搭載している。
カラドボルグは表面装甲が厚く足も遅い重爆撃機で、ケツからポンポン爆雷を落とせるが、積んでるやつはもっとやばい。
積んでる弾頭は〈EXCALIBUR〉。
エクスカリバーの名に恥じぬ、魔導防壁を切り裂いて突き刺さり自爆ないし貫通するという恐るべき自律型兵器なのだ!!!!!
……あくまで理論上なので、まだ実験機に近いのだが。まあとにかく、そいつらが敵をボコボコにしてくれる。
「索敵警戒、ホコリ一つ見逃すなよ」
「艦長、それドラマのオバサンみたいで変だぜ」
「そうか」
この世界にも普通にドラマはある。
ただし、他都市のドラマを手に入れるのが難しいため殆どはアニメ作品が多いのだが。
「敵艦動かず、明らかにレーダーの索敵範囲なんですが…」
「ハッ、バカなんだろ」
動かない敵艦を訝しむ部下を、指揮官はそう言って笑い飛ばしたが、内心怖気付いていた。
「(まさかこちらの計画に感づいて?)」
だがすぐに、それはないと断定する。
何処かで漏れるようなことは絶対あり得ないからだ。
「おい」
「な、なんすか?」
「一応一番にずらかれるようにしとけ」
「それは…?」
「ヴァールに金貰って来てる奴が殆どだけどよ、俺だってヴァルハラで金を使う気はないんだぜ」
依頼主に殉ずる気はない。
そう判断した旗艦が、戦列を静かに離れようとした時。
カッ!
チュドオオオオン!!
派手な炎の花を咲かせ、前方に居た小型艦が爆散した。
「何だ!?」
「分かんないっす、砲火は確認されて…ッ!」
また別の艦が轟音を上げて爆散する。
「照明弾を打ち上げろ! 艦載機の攻撃だ!」
指揮官は素早く判断を下す。
何故レーダーに映らなかったのか謎だが、姿さえ見えてしまえば…!
「速い!! 対空戦闘!」
「固定式7.8mm機関銃一斉掃射!」
空を白い魔力弾が切り裂くが、それを撃っていた艦が次の標的になった。
炎を撒き散らしながら下に墜ちていく。
「一体何が…!」
指揮官は何が起こっているか理解できず、ついそう呟いた。
ツヴァイハンダーの一機が、夜闇を切り裂いて飛ぶ。
コックピットが存在せず、その機体は極限まで空気抵抗を減らした造形となっている。
見れば、眼下の砲火がツヴァイハンダーを捉えた。
ツヴァイハンダーは逆噴射を行い減速すると、素早く機首を下に向けて急降下する。
そのまま旋回しつつ螺旋を描きながら降下し、一瞬中型艦の甲板すれすれを通り抜ける。
その僅かな隙に、魚雷を落として。
ゼロ距離から雷撃を食らった中型艦は内部の弾薬に引火して爆散する。
周囲の小型艦からの射撃を回避しつつ、自律軌道を取るカラドボルグとすれ違う。
ツヴァイハンダーの背後で、カラドボルグが小型艦に突き刺さった。
それで致命傷になり得ないと判断した瞬間、カラドボルグが蒼い魔力を纏って爆発する。
小型艦は防壁を破ったカラドボルグの暴走自爆に耐えられず爆散した。
ツヴァイハンダーは別機と邂逅しつつ、次なる目標を定める。
戦列を離れようとしている旗艦らしき大型艦。
その厚い装甲と、火器の多さにツヴァイハンダーは救援を要請する。
咄嗟に周辺を飛んでいたツヴァイハンダー二機が、夜空を切り裂く魔導砲を回避しつつ旋回し、大型艦へと向かう。
大型艦は爆雷を投射し、ツヴァイハンダーの撃墜を試みる。
ツヴァイハンダーはそれを回転しながら爆炎を吹き飛ばす形で回避し、放たれる機関銃のカーテンを見事な軌道で回避する。
スラスターとエンジン出力の切り替えで行われるそれは、人間が乗っていれば確実にGで即死するほどのものだった。
ツヴァイハンダーの一機が魚雷を放てば、遅れて背後の二機も魚雷を放つ。
魚雷は真っ直ぐ飛翔し、大型艦に刺さって爆発する。
しかし、大型艦を沈めるにはそれでは足りなかった。
そのため、カラドボルグ7機が大型艦の背後から迫る。
大型艦の弾幕がカラドボルグを襲う。
精密なはずのそれは、カラドボルグの細みを生かした華麗な回避によって鑑賞物以外の価値を持たないモノと化した。
そして、大型艦の後部に突き刺さったカラドボルグが自爆する。
大型旗艦は魔導機関のエネルギーと誘爆したのか、内部から膨張するようにした後吹き飛んだのだった。
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