第五話 殲滅、そして到着
今日の分はこれで終わりです。
また次回をお待ちください、今度はそんなに間が空かないと思います。
「なんだ............アレは.............？」
「わ、分かりません！」
敵の防御を破り、損害を与えた。
こちらも大損害を受けたが、このまま囲い込んで叩けば余裕で勝てる――――――そう思って居た時――――――
鳴り響く警告音、空間が歪んだように少しずつその姿を現していく巨艦。
それはまるで、兎が茂みから出て来た熊に遭遇したようなものであった。
殲滅艦隊司令、ヴァールは部下に問いかけた。
部下が応えることを期待はしていない。
「ま、まさか................」
「どうしたウォンツ、まさか心当たりが？」
「あ、アレは恐らく.......＜悪殺の魔艦＞........！」
「何だそれは！？」
「第三エスカリア周辺で活動している、王宮の新兵器だって聞いてる......仲間が何百人か、こいつにやられたって話だ......！」
「何でここに居るんだ！？」
「こっちが知りたいですよ！」
次の瞬間、巨艦の砲が光を放つ。
直後......閃光、轟音、衝撃。
「何が起こった...ッ！？」
「い、今の一撃で！ 今の一撃で残存艦数の内、四割が壊滅！」
「んだとぉ！？」
ヴァールは驚愕する。
外から見たならば、AVALONから放たれた光線が殲滅艦隊の右翼を薙ぎ払い、そこに居た艦全てが貫かれ、爆沈したことがすぐに分かっただろう。
それだけではなく、右翼に居た小型・中型艦は爆風に呑まれ、誘爆していく。
「てっ.......撤退！ 長距離転移で逃げるぞ！ 機関出力最大！」
反転しつつ逃げようとするヴァール達だが、パリィィィィンと何かが割れるような音に意識を向ける。
「艦隊近くに巨大な次元断裂発生！ 転移するとアレに呑まれる！」
「チィ、逃がさねえ気かよ.......周囲の艦を操作しろ！ 盾にして逃げる！」
「了解！」
離反防止のため、ヴァールの乗る旗艦には他の艦を操作できる装置が搭載されている。
それによって怨嗟の声を上げる部下たちを盾にして逃げようとするヴァールだったが....
「後部に被弾！ 一気にエンジンルームまで貫通！」
「推進機大破！ 逃げきれねえっ！」
そして、トドメとばかりにAVALONから閃光が放たれる。
それは限界まで速度を上げて集合した艦隊の盾を難なく貫き、旗艦に襲い掛かって――――――――
「クソォ、クソォオオオオオオオオオオオオ！！！！」
旗艦はただの一撃で内部にて爆発を起こし、しばらく落下したのちに爆散した。
「何だ.......こいつは？」
映像を見ていた男が呟く。
ラムダと呼ばれた「アンラ・マンユ」リーダーの一人だ。
「.........アタシらじゃ敵わないね、帝国の一個艦隊でも無理じゃないかい？」
「――――ハイペリオン級でも、無理だろうな.........」
絶対の自信を持っていた殲滅艦隊が、たったの5分で、何の損害も与えられずに全滅した。
恐ろしい武力を見せつけたAVALONに、「アンラ・マンユ」のリーダー一同は警戒、そして自戒の意を強めたのだった......
殲滅艦隊を逆に殲滅したAVALONたちは、無事に第六エスカリアへと辿り着いた。
当然歓迎などされていないが、AVALONの露出させたハリネズミのような武装を見て表立って仕掛けようと思うアウトロー等居る筈もなく、AVALON達は特に抵抗も無く着艦した。
先走った小型艦が攻撃を仕掛けたが、魔導防壁を展開してなくともAVALONは硬い。
何のダメージも与えられず、対空砲火に引っかかって無意味に死んだ。
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