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第二十話 愛された娘のしたかった事

「レクス、お前何か仕込んだな?」


俺の声がブリッジに響く。

ここは普段は誰も来ない第二艦橋。

話をするには最適だ。


『何か、とは?』

「中央塔を吹っ飛ばす計画のアレだ」

『それが?』

「俺は中央塔を吹っ飛ばせと言ったが、周辺まで消し飛ばせとは言って無いぞ」

『それは—————』

「言い訳はさせない、お前が第四エスカリアのマップデータにアクセスしたのは知ってる」

『...........そうです、私は艦長の意に沿わず、復讐を成しました』


…………復讐、そうか。


「随分人間らしい思考だな」

『私は天才たちによって、人間と同じように考えられる人工の天才として創り出されました』

「.......まあいいや、起こってしまったことは問わないが.........次からは艦長である俺に相談しろ、そうしないと海の底に投げ捨てるぞ」

『それは.......最も恐ろしい罰ですね』


この世界の海はマジで誰も来ないからな。

そもそもこの惑星自体がどうやって維持しているかは知らないが木星サイズである。

浮遊都市がある以上海の上を通る人は少ないし、海が盛り上がりでもしなければ人に見つかることも無いだろう。


『分かりました、艦長』

「分かればいい」


俺は第二艦橋の窓から、流れる雲海を見下ろした。


「しかし......ちょっと悪乗りしすぎたかもしれない」


俺の悪乗りで、数万を巻き込んだ大事故を起こし、更に帝国に対して劣勢であるこの国に大打撃を与えてしまった。

このまま帝国に行けば、俺は勲章を授与されるだろうな。


「何らかの補償を求められるかもしれない、準備はしておこう」


AVALONは通常速度で航行を続け、数時間後には第三エスカリアへと帰還した。







『この損失をどうするつもりだ!』


画面の前で騒ぐのは、初めて見るおっさん————第一エスカリアに存在する軍司令部の最高司令官マーカス・ハドソンらしい。


『損失とは?』

『貴様の直下の騎士が巨艦を繰り、第三エスカリアに壊滅的な被害を与えたのは周知の事実だ!!』

『どうやってですか? AVALONが撤退後、数時間の空白を置いて第三エスカリア中心部が爆発しました。AVALONからの砲火は確認されていません』

『........しかし、損失は事実だろう! 王族といえども、技術区画を潰すなどという蛮行、決して許されるものではない! 第三エスカリアに制裁処置を........』

「待て」


俺は通話に割り込む。


『貴様、何者だ! この秘匿回線に割り込んで来るとは.........』

「俺の名前はユウキ! 第四エスカリア第九十九王宮騎士艦隊隊長だ」

『ほう、手間が省けたわ! 貴様の操る巨艦と共に我が第一エスカリアの直轄艦隊として所属しろ! そうすれば愛しき姫様には何のお咎めも無いぞ?』


急に強欲になったな。

やっぱりAVALONが欲しいのか......ふふん、その気持ち、分からないでもないぞ?


「俺の艦が欲しい? 対価は何だ」

『は? 対価だと? 罪人の分際で図々しい、もうよい! その貧弱な艦隊で戦場に出て勝手に死ね!』


そう言って、通信が切れる。


『ユウキ、何てことを!! 第一エスカリアの支援を失えば、我々は孤立しますよ!』

「俺にいい考えがある」


俺は最近思うことがある。

孤児院がある第三エスカリアが何故第一じゃ無いのか、と。

そして、他から守っても貰えない無価値な場所と思われているという事だ。

つまり充分な価値を示せばいい。


「明日までにエスカリア標準巡洋艦を5万、駆逐艦を5万、戦艦を3万隻建造するから、それを売りつけてくれ」

「なぁっ......はあっ!? 」

「第四エスカリアを再起不能にしちゃったし? 俺が造れば何の問題も無い」


既に作業用機兵は大量生産済みだし、亜空間でぬるっと出したやつを放り投げてれば数時間で終わる。

俺が心配すべきなのは精神が先にやられないかという事だけだ。


「あの......あなたは自分が何を言っているか理解していますか?」

「?」

「エスカリア王国で、戦闘可能な軍の人員は全体である約80000000人のうち、10000000程となります、そして、巡洋艦だけで115名ほどですから、8万の艦を満たせます、が.....それは350人の乗員を持つ戦艦にあてはめた場合は2万8000しか乗れません、つまり過剰生産です、大量の不良在庫を抱えることになってしまいますが......」

「いいじゃん余っても、俺が使うだけだし」

「まあ、そうなんですけど........」


姫サマは何より、パワーバランスの崩壊によるこれから先の危機を予測しているのだろう。

大量の艦を手に入れたエスカリアは、帝国を倒した後帝国化し、侵攻する側に回るかもしれない。

まあでも..........


「じゃあ、それぞれ1万隻に減らすけど完売させてくれよ」

「ええ、それであの司令官も納得するでしょう」


いつかAVALONとタメを張れる大きさであるハイペリオン級も量産してみたいもんだ。

まあでも、AVALONは不思議技術の塊だから強いのであって、同じ大きさと言っても大艦巨砲主義の屑鉄かもしれないけど。


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