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第十六話 特攻

また五話上げます。

転移から数分後。

振り切ったかな? と思いカップ麺———ではなく揚げ山芋とかいうこの世界の酒の肴を頂いていたのだが…


『空間振動検知、本艦後方に多数転移してきます』

「まだ諦めないのか!?」


畜生め、芋揚げを食ってるやつを追いかけてくるとは美学もクソもない奴だな…

この至福の時間を邪魔された恨み、晴らさでおくべきかぁ!!


『未知の形状の鑑を確認』

「何だ?」

「まぁ普通の艦じゃ太刀打ちできねえんだから、向こうも考えがあるだろうな」

『敵前方にさらに複数転移! モードレッド級です!』


オイオイ、造艦ドックを空にする気か?

モードレッドを6隻も出してくるとか、狂ってるとしか思えんが…


『転移してきたモードレッド級は従来のものと形状・塗装が異なります』

「スクリーンに出せ」


上部スクリーンにモードレッド級が並んでいる壮観な風景が写った。

たしかにモードレッド級は黒だったのに対し、こいつらは装甲が白い。

おまけに、ロングレンジの砲台が取り外されそこには何も無くなっている。

艦橋付近の装甲がとても厚く、前面装甲に至ってはホワイト・アダマンタイトのコーティングが為されている。


「一発は耐えるかな」

『そうですね、出力最大なら一撃で貫けますが』


あくまで通常の艦の攻撃には耐えられる程度でしかない。

何重にも増幅を重ね、空間拡張によって何億倍もの広さを持つ場所で収束された一撃に耐えられるはずもない。

そのはずだった………


「収納した砲台を出す必要はない、一撃で仕留め———」

『!!! 敵後方に未知の魔力反応』

「なに?」


次の瞬間、白いモードレッド級が白い光に包まれ輝く。


「ローレンス!」

「ああ! 出力最大、撃て!」


モニターに映る光景が、驚愕の事実を俺に見せた。

輝いているモードレッド級が、最大出力の魔導砲を受け止めたのだ。

3秒後、魔導砲が輝きを撃ち破り、そのモードレッド級は貫かれて爆沈した。

だが、たかが3秒、されど3秒である。

モードレッド級6隻を撃滅する頃には、準備は終わっていたのである。


『! 空間振動を検知』

「増援か?」

「違うぜ艦長、奥にいた旗艦が消えやがった…逃げたか?」


双眼鏡を覗きながらラムズが言う。

何をしてくる気だ…?

次の瞬間、凄まじい衝撃音と共に艦橋が大きく揺れた。


「うわっ!?」

「な、何だ!!?」


俺のサイドテーブルから揚げ山芋が幾つか転がり落ちる。

それを見て我に帰った俺は、レクスに問う。


「何が起こった!?」

『右舷後方に敵旗艦が現れ、船体をぶつけて防壁を一時的に突破しました!』

「ちっ…」


魔導防壁も万能ではない。

これは他の結界や障壁にも同じことが言えるが、大質量によるスカイ幅寄せなどというものを食らえば当然一瞬とはいえ破られてしまうものだ。

だが、装甲は突破できないはずだ。


『敵艦から63人分の生命反応が流出、移乗攻撃と思われます』

「野蛮人め…」


まさか海賊ばりの事をやってくるとは。

そんなにレクスが欲しいのか?


「まずはローレンス、あの艦を破壊しろ」

「分かった」

「レクス、甲板の結界を解除してやつらの風通しを良くしてやれ」

『オニですか?』


スクリーンに映る人間が次々と高速で飛行するAVALONに吹き抜ける風によって吹き飛ばされていく。


「アリス、第二層Bブロック付近に移動して潜伏しろ」

《分かった!》


アリスが床ごと下に降りていく。

デカすぎてエレベーターは使えないのでアリス用の機構として実装されているものだ。


「艦長、何を考えてる?」

「レクス、第一層Aブロックの扉を奴らがたどり着いた瞬間に解放して、そのまま放置だ。重要区画へは隔壁で閉鎖。内部に誘い込むぞ」


どうも指揮官はあの最初から最後までアホの総督の様なので、多少怪しくても来てくれるだろう。


「艦長、何故艦内に誘い込むんだ?」

「ああ、総督が欲しいからだ」


俺がそう言うと、ハーデンがポンと手を叩く。


「ああ、艦長って男色だったのか!」

「そうだよな、じゃなきゃあんなあからさまな好意に気づかないわけ———」

「違うぞ! 普通に、レクスを永遠に俺のものにするために必要なんだって」

『艦長、私なんかでいいんですか…?』

「お前以外に誰がいるんだよ?」


レクスがなんかよく分からない事を言ってきた。

お前より優秀で面白い人工智核なんて居ねえって。


「あー、イチャイチャするのはいいが、敵が来やがったぞ」

「分かった、レクス…艦内放送を俺のマイクに繋いでくれ」

『分かりました、接続完了』


オンラインになったマイクに、俺は緊張したように声を吹き込んだ。


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