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第十四話 ライドチェイス

「オラァ飛ばすぜェ!」


俺はフルスロットルで加速し、バンバン撃ってきた警備隊を蹴散らす。


『全警備員に告ぐ! ガキが逃走を試みている! ヤツの持っているものが重要だ! 命は奪っても構わん!』


という訳で、フル装備の警備隊に襲われているわけだが。

鎮圧用の兵器は早い速度で移動する俺には当てられないし、銃で撃っても効果は無い。

時折横から飛び掛かってくる奴もいるが、このバイクは重い、んだよな。

ピーキーすぎて俺にしか扱えないやつ。(事故っても俺なら死なないし)


「出口か」


警備隊のバリケードを吹っ飛ばして出た先はロビー、そして出口だった。

同時に、俺に光線銃の雨が襲い掛かる。

バリケードを机や椅子で構築し、そこから撃ってきているようだ。


「無駄無駄無駄ァ!!!」


俺はバリケードの前でバイクごと跳躍する。

重力機構を使った上に落ちる変態機動だ。

そしてバリケードを飛び越え、入り口の自動ドアを派手に破壊して表へ飛び出る。

外に出た俺の前に、わらわらと警備員が集まってくる。


「動くな!」

「投降しろ!」


どう考えても投降なんか今更しないと思うのだが、彼らも職務だからな。


「悪いが、無理矢理通らせてもらう」


俺はハンドルを切り、滑るように警備員たちの中に突っ込む。

何人かを跳ね飛ばす嫌な感触と共に、俺はバイクごと公道に向かって飛んでいた。


「おおおぉぉ!」


俺は重力操作でバイクを着地させ、ドリフトでもするかのように道に滑り込んだ。

そして、フルスピードで発進する。

初速からかなりの速度が出せるので、本当に命を捨てている改造である。







振り切ったか、と思ったその時。

1発の弾丸が頬先を掠めた。

バックミラーを見れば、背後の上空に大きな影。

走行音に紛れてローターが空気を掻き分ける音。


『逃さんぞ! 絶対にィィィィ!!!』


武装ヘリコプターだと?

この近未来世界に存在していたのか…


ドドドド!!!


「って、あっぶねえ!」


武装ヘリコプターの武装は、左右に大きく突き出た中型魔導砲と、その下のガトリング砲(実体弾)だ。

今地面を抉ったのはガトリング砲だな。

中型魔導砲を喰らったらいくら俺でもどうなるか分からん。


「ハーデン! 空間結節点を形成できるか?」

『無理だ! タダでさえ高速で移動してるんだぞ!? 同期ができねえ!』


うーむ、空間結節点を通る時のタイムラグを心配して最初から亜空間に潜らなかったのだが、完全に裏目に出たな。


『止まれぇぇぇぇ!』

「やなこったぁ!!」


ドォウと轟音が響き、目の前が陥没する。

が、こいつは浮遊できるので問題は特にない。

寧ろ……


「破片が邪魔だな」


顔にガンガンぶつかってきてうざい。


『貴様、何をしている! 早く狙ええ!!』


中型魔導砲が火を噴き、俺に魔力の砲弾が直撃するが…


「効かないねェ、結界があるから」


GRANIに結界を搭載していないとでも思ったのか?

魔導湾曲結界という、対魔導兵器に対する絶対的な結界だ。

この都市で見つけて、その内部構造をパク……もとい再現したのだが、十分な性能だよな。

何で戦艦に積めないかというと、大きな結界を維持するにはそれなりのコストが掛かるらしい。

AVALONですら、根こそぎ持っていかれてしまいそうだ。


『も、もっと撃つんだ!』


中型魔導砲が連射されるが、その程度じゃ結界を破れない。表面でつるりと滑るように弾かれて、何処かへ飛んでいく。


「ハーデン、なんとか空間同期出来ないか?」

『この速度じゃ無理だが、後少し速度を下げてくれれば…同速度でアリスさんを動かして、それを起点に結節点を形成するのもアリだ』


流石はハーデンだな、渡したばかりの新技術を直ぐに理解して判断している。


『こうなったら————死ねぇ!!』

「なんだと!?」


ヘリが体当たりを敢行してきた。

だが、俺の驚きはヘリの体当たりより、その判断である。

同軸線に乗ったことで、GRANI後部のマフラー部分が変形し、小型魔導収束砲になる。

そしてそれが放たれ……


ガンッ、ギィン!


右の中型魔導砲を破壊し、左のローターを破壊した。

大きくバランスを崩す敵ヘリ。

その隙に俺は速度を上げ、ヘリを引き離した。


「同期開始!」


恐らく亜空間上での真下に居るであろうアリスと、GRANIが連動を始める。


ガガガガガガガガガン!!


その時、GRANIの装甲が凄まじい音を響かせる。

何事かと思えば、ヘリの下部についた機関砲が砲火を上げている。


『逃すなって言ってるだろ! もう一回だああああ!』

「冗談だろっ!?」


動けないGRANIにヘリが突撃してくる。


「速度を落とすぞ」

『了解』

《わかった》


ヘリが再び突っ込んできたので、速度を下げて冷静に回避する。

それによって、同期が容易になる。


「同期開始! あいつはたった今無力化された」

『了解!』


武装ヘリの弱点として、後方への攻撃手段がない事が挙げられる。

一応機関砲があるものの———


「前面ラウンドシールド展開」


風から身を守るためのものを重装甲に改装したもので、結界を破ったとしても俺に届く事もない。

ヘリは右のローターを破損しており、なおかつバランスが崩れている。

素早い反転を防ぐ方法は簡単だ。


「ズドン、だな」


GRANIから放たれた小型ミサイルがヘリの左ローターに直撃し、破壊する。

右ローターが破損していたのでメインと左ローターに動力を集中しており、そこをぶっ壊されたので…


『ぎゃあああああああああ!!!』


派手にバランスを崩して独楽の様に回り出す。

これで安心だぜ、と思っていた俺だったが……


『暗殺は嫌だあああああああああ!!!!!』


回転しながらヘリが真っ直ぐ突っ込んでくる。

ギャグみたいな光景だが、俺は大丈夫でもGRANIが吹っ飛ばされたら走って逃げるしかない。


「急速潜航」

『了解、各部同期完了…急速潜航』


そうして、ギリギリで回避する様な形で俺は亜空間へとその身を沈めた。


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